note:56 あさごぱんセット【BreakfastNotes】
「朝食」は「朝、人を良くする」と書く。その日最初の食事は大切だ。
昼休憩で外に出ると、たまたまちょっと前に出た先輩や同僚に会ってしまうと、お互いに何を食べるか、一緒にいきましょうかというような会話になり、自分の思ったものが食べられない事が多い。
朝、出勤前は誰にも邪魔される事なく、自分で好きなものを好きなように食べる事が出来るので、好きなのだ。自由なこの時間が、たとえわずかでも代え難い。
おそらくそういう時間が人間には必要だと、考えている。
家を出る時、今日は軽めでいいなと思っていても、片道1時間以上の移動では状況が変わってくる。乗り換えをした電車も満員である。対照的に私は空腹だった。
定食や色々食べようかと考えたが、自然にプロントに入っていた。久々にあさごぱんを食べたかったんだなと自分を理解した。
あの、両親のいない、鉱山で一人で暮らしながら、たくましく生きる少年の朝ごはんのようなパンである。彼の吹く、朝を告げるトランペットのような爽やかを求めたのかもしれない。
パンの端にある焼けたマヨネーズが濃厚で、細く切られたベーコンと相性がいい。真ん中の玉子がこのパンの象徴だ。全てが一つになり、食べてた後のもっさりした感じをアイスコーヒーで流し込んで、お腹に朝を収めていった。
……私は朝食が好きだ。誰かのような朝ごはんを食べるとその人がどう生きているか感じることもできる。
……アニメのキャラだけどね。