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#026「バラそば 醤油とライス」【バクチ打ちの朝食】
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。私はとても朝食が好きだ。昨日までがどんな日であろうと、今日を迎えられる喜びを祝うものでもある。
生きているからお腹が空くのだ。
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今日も寒い。寒すぎる。暖かい電車を降りるともう耐えがたいほどだった。雪国生まれのはずなのに。
目の前には一輪の花、チャーシューの花が咲いていた。
れんげでスープを口に運ぶと、脳天に届く醤油と背脂。目が覚める。花びらを少し寄せて、中から麺を持ち上げて一気にすすっていく。パツパツの麺の歯応えと喉越しが気持ちよく、冷え切った体を温めてくれる。花びらを一枚食べて、ライスを一口放り込んで、スープと一緒にする。口の中では、ライスがスープで解けていくのがわかる。春のような陽気を感じる。
「こってり」で注文している。背脂がずっと熱を発しているようで、銀河系における太陽も、このように熱を発し続けてくれていると思うと、感謝した。
隣の若いスーツが替え玉をしていたが、少しで手が止まっていた。欲張らないのが大人の男だ。自分が食べられる量を適切に食べることは大切だ。もう少し食べたいなと思うくらいでちょうどいいのだ。
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。
あとは馬券と舟券と車券が獲れたら、
言う事はないんだが。