note:97 えび天せいろ【BreakfastNotes】
「朝食」は「朝、人を良くする」と書く。一気に寒くなった印象がある。駅ごとにドアが開くたびに少し冷気も感じるし、入ってくる人の温度の低さも感じるような朝だ。
薄いコートを着ている人もいたが、さすがに電車の中だと暑いとおもうだろう、汗をかいている人もいる。満員電車の窓も、もう冬かのように曇って、汗をかいていた。
到着してホームに降りると、冷たい空気が心地よい。すっと身を引き締めてくれる。改札を抜けて、マスクを外し、涼しい空気と風に解放感を感じる朝だった。
朝から気がついてしまった「えび天一本追加サービス」が完全に私の心を掴んで離さなかった。
たまにやっているキャンペーンだが、やはり他の何のキャンペーンや新商品にも勝る攻撃力を感じる。高鳴る胸をおさえながら、お姉さんに食券を渡し「冷たいお蕎麦で」と告げるだけで、お腹と背中がくっつきそうだった。
何一つ文句のない豪華さである。入店してくるお客さんもほとんどがえび天関連である。
蕎麦を食べて、えび天を食べてを繰り返し、気がつくとなくなっていた。尻尾までしっかりつゆに入れ、蕎麦湯で余すことなくいただく。
聞いているラジオから聞こえてきたヴァネッサ・カールトンのサウザントマイルのようにスペクタクルに食事は進んでゆく。
朝食とは思えないほどの食べ応えと満足感であった。
……私は朝食が好きだ。それを朝食べるのか、と言われそうなものほど朝うまいと思う。
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