note:32 朝さば文化干し定食【BreakfastNotes】
……私は、朝食が好きだ。明日何を食べようか、その朝食を終えてから考えるほどに好きだ。
ランチやディナーを蔑ろにしているつもりはないが、そこに自由度は少ない。基本的に制約が生まれる。朝こそ選択肢が多い。ランチだって自由だが、その前後の予定で時間と場所に制約が出ることも多く経験しているし、ディナーは彼女や家族と共にするのだから、それに相応しいものになる。
つまり「朝食」は本当の意味での私らしさに、かなり近しいのではないかと思う事さえある。
珍しいこともあって、いわしが売り切れていた。朝のラインナップではプライオリティが低いが、なければないで心細い。久々にジューシーなさばを食べる事にした。
頭側ではなく尻尾側がきて、なんだかラッキーだと思った。頭側は少し身が少ない気がしていたのだが、こっちはこっちで引き締まっているが見栄えもいい。
私はここでは皮も骨もすべて食べる。焦げた皮の香り、透き通った表層の脂、引き締まった身の味が一つになり奥が深い。たまにおろしと一緒に爽やかにする。多少タンパク質だがしつこすぎないところが、鯖がモテるところだろうなと嫉妬した。終わってから「少し檸檬汁も試したかった」と思い出し、悔しかった。次にしよう。
「朝食」は「朝、人を良くする」と書く。
明日は土曜日か…明日は食べるものが決まっている。