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#037「牛丼(並)と玉子」【バクチ打ちの朝食】
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。私はとても朝食が好きだ。昨日までがどんな日であろうと、今日を迎えられる喜びを祝うものでもある。
うまくいくかどうか、やってみないとわからない事である。失敗した事を恥じることはなく、挑戦しない人は失敗もせず学ぶこともなく、成長はしない。
私はそう思うのだが、どうやら世の中はそうは思わないらしい。
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連休を挟んでの出勤で、少し朝食らしいものをと思ったが、決まらないまま乗り換えの駅に到着してしまった。回転が早く、コンディションもいい吉野家ならば間違いがないとわかっていた。
届いた牛丼はコンディションも抜群の状態であった。
私には牛丼の食べ方がある。それを一つ一つ、願い、祈るように順番に行い、そしていただく。
丼を手で上げ下げしながら、体内に取り込んでいく行為は、祈りの姿そのものだ。
健康であろう、生きていこうと人は食べる。その自分に取り込まれていく、命の尊さに感謝して、祈る。
あぁ、食事ってさ、祈りなんだよ。
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。
我々は食べなければ生きていけない。日に二度か三度の食事で、それを忘れないようにしないといけないと、祖父や家族の顔を一人一人思い浮かべた。