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#029「絶品たらこ」【バクチ打ちの朝食】
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。私はとても朝食が好きだ。昨日までがどんな日であろうと、今日を迎えられる喜びを祝うものでもある。…生きているからお腹が空くのだ。
寝坊してしまい、朝の準備は充分ではない状態だった。時間がないと移動できる範囲が限られる。その中で何を食べるべきかを考える事に必死だった。
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こういう時はすぐに食べられそうな所が壊滅しており、思い切って時間を使う事にした。偶然にもすぐに入れそうだったのだ。
店員さんが丁寧に食べ方を説明してくれる。まずはパスタだけと思い食べてみる。生パスタである。ツルツルでもちもちとしている。これなら歯のない人でも食べられる。アルデンテ至上主義はどこに行ってしまったのだろうか。ほんのりニンニクの気配も感じて食欲をそそった。
全体を混ぜるとたらこがほんのりピンクに色がついて、ドキッとする。まるで夜のお店で、隣に座った子がタイプだった時のような気持ちになる。ネギと海苔が混ざり、一口、二口と進めていく。
海と大地の香りが鼻を勢い良く通過していく。まるで、私の生まれ故郷のどこかの公園にいるような、海の香りが混ざった風浴びているようだった。
レモンをおすすめされていたのだが、この器に入っているので逃げられない。少し絞ると、一気に季節が進んで夏を感じる。
あっという間に食べ終わってしまい、私は朝食を食べたというよりは、風を浴びただけだったような気をしないでもなかった。そういう魔法にかけられたような。
食事するだけなに、冬から春、春から夏へと一気に駆け抜けてしまったようだった。
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。
朝食も期待値を追っていけば、必ず体にも心にもいい事は明白だ。