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#041「かつ丼(梅)」【バクチ打ちの朝食】
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。多様化した今、私の朝食の時間は、他の人のそれとは違うが、私にとっての朝であることに変わりはない。
朝こそ、その一日を占う大切な食事のタイミングだ。毎日決まった朝食の用意があれば理想だが、そうはいかない。人間は刻々とその状況が変化してゆき、その都度必要なものが変わってくる。
食事は、マラソンの給水所のようなものなのかもしれない。
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かつ丼は飲み物だ。スルスルと入っていく。梅のアタマとご飯のバランスも気に入っている。ご飯を大盛りにして食べるより、梅以上で食べるより、梅を二つ食べるのが理想であるくらい、私はこのバランスが気に入っている。これは吉野家の牛丼(並)でも思う事だ。
店内は繁忙の時間帯で、店員も間に合わず、客も苛立っている。本当にマラソンの給水所のような慌ただしさと喧騒だった。
ずっと注文を聞いてもらえなかったというおじさんは、自分が店員を呼ばなかったからだと思う。もちろん、店員も出入りの激しい客の流れに我を忘れているのだから、呼ばれないと立ち止まらない。
そんなに怒る事はない。かつやは現代の人間社会の象徴なのだ。店員を呼び止めないと注文できないのが普通のことなのだ。自分から声をかけるんだ。
自分は客だから待っていれば店員が来ると思っている方が、もう時代遅れなのかもしれない。
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。
私は、とてもスマートにかつ丼を給水し、そのまま職場に向かって走り続けるのであった。