#007「味噌バラそば」【バクチ打ちの朝食】
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。私はとても朝食が好きだ。その日最初の食事は希望に満ち溢れている気がする。その日最初の原動力になり、１日の可能性や期待値に心が躍る気がする。
「博打」で身を立てようと思う事は、「それでも地球はまわっている」という反社会的勇気に近いものを私は感じる。それほど世間から、世界から疎外感を感じる日も少なくはない。
あまりの寒さに駆け込むように入った。体の芯から冷えてしまったように感じる。こういうものを食べるに限る。もちろん背脂ありの「こってり」でお願いする。他に選択肢はない。
表面のチャーシューをかき分けて、丼の底の麺をすくい上げると、脂で蓋をされていた湯気がここぞとばかりに宙を舞った。他の味の麺とは違う少し太めの麺をズバズバすすってゆく。
意識の外から頭や顔を伝う自分の汗の雫を感じ、冷え切った体内が体温を取り戻していっているだろうことを、客観的に感じる。
一食分にしては流石に金額が高く、反省材料だ。口当たりの味が強い事はいいと思うが、もう少しスープにコクが欲しいと思うが、やめられず何度となく来てしまうところだ。
店員さんが大きい声で「鬼ヶ島！！」と言っているように聞こえるのも私のいつもの風景で安心した。
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。
あとは馬券と舟券と車券が当たれば、
言う事はないんだが。