1人で生きていけることと、1人で生きていくこと
明後日から家を空けるのに牛乳がたっぷり余っていて、謎のチーズクリームパスタを作ってニコニコ食べながら、楽しみにしていた「スロウトレイン」を観た。
良いなと思った台詞がいくつかあったが、中でも最も話題にされている「1人でも生きていけるって、1人じゃないから言えるんです」。
私は恋愛感情を抱かないわけではない(むしろ感情のサイズでいえば人一倍大きいと思う)が、恋愛願望はなく、また結婚願望もない。大勢の友達や人脈も必要としていない。1人で生きていけると思っているタイプの人間だ。人が煩わしい。人と住みたくない。性的欲求がない。子供がいらない。理由は数々あれど、それを理由に結婚したくないのではなく、単に結婚に必要性を感じたことが一度もないというだけの話だ。仕事でカメラマンが自慢する犬があまりにも可愛くて、私も犬飼いたいんですけど一人暮らしだから、と言ったら「結婚するといいよ」って言われたときぐらいしか、結婚したいと思ったことはない。
結論、私は本当に1人で生きていけると思う。あまりにも生命力が強いし、1人で生きていくことに対して一切の負の感情を介入させず、もちろん正の感情にも傾きすぎず、淡々と生活をしていくことができると思っている。もちろん今は人の助けをたくさん借りて生きているが、それはあくまで助けてほしいだけであって、助けてもらった方が生きやすいからであって、じゃあ助けが一つもなくなったら死んでしまうのか?と考えると、そんなこともないと思う。なんだかんだ上手くやっていくし、誰も何もしてくれないなら私がするしかない、または諦める、という選択ができる。誰かがやってくれるならその方が楽だからそうしているだけだ。楽ではなくなるかもしれないが、生きていけないことはない。そういう生き方が上手いと思う。
もちろんこれは実現しなければただの負け犬の遠吠え、いや、思春期のチワワのような子供じみた考えになってしまう。が、私は人が思うより何倍もプライドが高いし、メンタルがとんでもなく強いので、将来、本当に1人で生きていけることを証明するために人との繋がりをすべて断ち、誰の介入もさせずに生き、ざまあみろとドヤ顔をすることができると本気で思っている。そもそも2時間ドラマの台詞ひとことでそこまで計画を立ててしまったぐらいにはプライドが高い。
違うんだ、論点はそこじゃなかった。私は現実問題、1人で生きていくことはできると思う。では、1人で生きていきたいのか?そうでもない気がした。誰かとつがいにされることを望んでいるわけではないが、1人で生きたとき、生きる目的がどこにあるのかが分からないのだ。生きていく意義がなくなってしまう。なぜなら私の生きる目的の多くは人にあるから。人に会うためにベッドから出るし、人に会うために着替えるし、人に会うためにメイクするし、人に会うためにシャワーを浴びる(ゆえに正月早々風呂キャンセル続きである)。人に見せたいから可愛い服買うし、ちょっと良いラーメンを食べる。人に言いたいからTwitterのネタのスクショが増えるし、ネットミームにどんどん詳しくなる。
さっき人が嫌いと言ったじゃないか、と突っ込まれそうだが、嫌いであっても目的になることはあるのだ。キモい男に会うから強めの服着ていこう、とか、ウザい上司に怒られたくないから仕事完璧にしとこう、とか、行動の目的が必ず「人」にある。目的ではなく原理では?というド正論はこの際お口にチャック願いたい。きっかけになっているなら良いのだ。
そう、だから他者を一切介さずに生きる生活には、理由がない。目的がない。意義もない。とりあえず動く理由がないのでベッドでただ二酸化炭素を排出している人になってしまう。生きている意味がないなら死ぬしかないが、死ぬこともできないからただ生きているだけの人になってしまう。生命維持と、「人生を生きる」ことは全然違うのだ。だから人が必要なのだ。人は本当に「孤独」になったときには、「生きる」ことはできないのだと思う。
ドラマ内での論点はそこではなかったが、私は「1人で生きていける」と「1人で生きていきたい」の間の大きな距離について、ドラマを観ながら、ポケポケをやりながら、ぼんやり考えていた。良かったけど期待していたほどは面白くなかったかも、と思ったが、絶対ポケポケやりながら観たからだと思う。すいませんでした。
※追記 1/6
今の捻くれた私を作った中学校の同窓会に行ってきました。独り身同盟を組んでいた親友に結婚願望が生まれたというので詳しく聞くと、「親・家から独立したい」とのこと。そりゃそうだけど、縁切っちゃえばいいんじゃない?と聞いたら、「なんかあったときに親が保証人として呼ばれるの、嫌じゃん」と。恋愛感情は一切ないけど、書面上籍を入れるために彼氏を途切れず作っているとのこと。いや、すごい。俄然結婚したくなりましたね。どこまでも浅はかですいませんでした。