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CoIU(仮称)の学びに触れる「共創サマチャレ」レポート① | 仲間と出会い、飛騨の起業家に学ぶ

2024年7月31日(水)~8月2日(金)の2泊3日で、CoIU(仮称)による高校生向け探究合宿『共創サマチャレ』の第1回が開催されました。これは、大学の設立予定地である飛騨古川に高校1・2年生が集まり、多彩なテーマの探究にチャレンジするプログラムでそす。13名の高校生が参加し、寝食を共にしながらさまざまな学びを得ました。その様子を、3回に分けてお届けします。

初対面から打ち解けるための“嘘つき”自己紹介

初日は昼過ぎ頃の電車に乗り、参加者が飛騨古川駅へと集まりました。中には同じ学校の学生も数名いましたが、ほとんどは初対面です。駅から、まずは荷物を置くため滞在先となる元旅館『初月』(リノベーション後、大学のキャンパスになる予定)へ移動。その道中で、学生たちは会話しながら少しずつ打ち解けていっているようでした。自分から積極的に話す人もいれば、一歩引いた位置で話を聞いている人も。ちょっとした時間からも、それぞれの個性が垣間見えました。

荷物を置いた後は、すぐに飛騨市図書館へ移動。さっそくプログラムが開始します。まずは教員候補の須子善彦から、サマチャレの主旨と目的について説明。また、サマチャレ中のルールとして「みんなで一緒に創る」「“わたし”を主語に。感じることを大切に」「“いま”この瞬間を誰よりも楽しむ」の3点を挙げ、サマチャレを通じて多くの気付きを持って帰ってもらいたいと話しました。

このほか、暑い時期のため熱中症対策や体調不良時に遠慮せずスタッフへ伝えること、SNS投稿時には映り込む人に許可を取ることなど、注意点についてキャリアコンサルタントの棚瀬規子から説明。当たり前に思えることがあったかもしれませんが、最後まで充実した時間を過ごしてもらうためには大切なことです。

各プログラムはグループで行うため、3~4人で3つのグループを作ります。グループ分けについては、事務局の辻田雄祐がだいぶ頭を悩ませたようです。事前情報、そして当日集まってからの様子をもとに、全員の学びが最大化されるよう考えました。

グループで取り組むためには、やはりお互いを知り、心の距離を近づけることが重要です。そこで実際のプログラムに入る前に、『“嘘つき”自己紹介』を実施。これは、以下4つの項目(項目は変えてもOK)について各自が紙に書きだし、その中に1つだけ嘘を交えて自己紹介しながら、他メンバーは何が嘘なのか見破るというものです。

  • 氏名、読んで欲しい名前 ※ここは嘘NG

  • 思い入れのある街・知己

  • 今、推していること(人・音楽・趣味など)

  • 一言自慢

書き終えたら2~3人でペアを作り、その内容について深堀。これは、プログラム中もたびたび実施されるインタビュー(質疑応答)の練習になります。そして、1人ずつ全員に向けて自己紹介しました。嘘を見破りながら行うためゲーム性があり、盛り上がりつつお互いの距離が縮まったようです。なお、この自己紹介は学生だけでなく、教員候補やスタッフも行いました。同様に2泊3日を共に過ごす仲間なので、サポート側に対する安心感に繋がったのではないでしょうか。

地元の起業家から聞く“生の声”(株式会社ヒダカラ)

図書館を出て向かったのが、地元企業である株式会社ヒダカラさん。同社は小売事業やネット通販支援事業などを展開しており、飛騨の魅力発掘に取り組んでいます。こちらで、共同代表の舩坂康祐さんからお話を伺い、そしてインタビューする機会を頂きました。

まずはオフィス見学。同社では建物にもコンセプトを持たせ、部屋ごとにオフィスをリフォームしたとのこと。例えば外壁には、飛騨の杉を焼杉にして使用しています。そのほか、飛騨伝統である木を重ねて造る屋根の葺き方が利用して残しているなど、各所に飛騨への強い思いを感じられるオフィスです。

商品を管理する倉庫も見せてもらうと、その様子をスマートフォンで撮影する学生も。また、いくつか次のような質問も挙がりました。

「仕入れ・商品選定のポイントは?」
「どうやって仕入先とつながりを作っているの?」
「段ボールは誰がデザインしている?」 など

最初は緊張が表情からも伺えましたが、舩坂さんのお話を聞く中で少しずつ緊張がほぐれ、そして関心度が高まっていったようです。

見学を終えるとオフィス内に入り、事業内容などの説明を受けました。舩坂さんは国内の大手ECモール企業での経験を経てUターンし、家業だった家具の小売店に就職。事業の立て直しに取り組み、同社の代表取締役を務めながら2020年に株式会社ヒダカラを設立したとのこと。ネット通販等の強みを活かして、地域のために事業を展開されています。CoIU(仮称)では地域課題の解決にカリキュラムとして取り組む予定ですが、これを事業として実践している企業であり、学生たちにとって素晴らしいモデルケースになったのではないでしょうか。

モノを売るというのは、どういうことなのか。これについて、舩坂さんは 『おからクッキー』と『味噌煎餅』を具体例として挙げ、実際に商品を食べさせてくれました。

普通なら捨ててしまう、豆腐を作るときに出る“おから”を使った深山豆腐さんのクッキー。そして、飛騨古川で明治41年から営業している、井之廣さんの煎餅。このうち味噌煎餅は、今回のサマチャレで非常に大きな意味を持つ商品です。なぜなら、今回のサマチャレでは最終的なアウトプットとして、井之廣さんの課題とその解決策を学生たちにプレゼンしてもらうからです。2日目以降、このプレゼンを意識してプログラムが進んでいきますが、その過程は次回記事を楽しみにご覧ください。

最後に、今度は学生たちから舩坂さんへインタビューが行われました。とはいえ、あまり経験のないことですから、いきなり「質問して」と言われても言葉は出ません。少し時間を取り、学生たちは説明を受けた内容を思い返しながら考えをまとめていました。

「イベントには、どのような層の人が多く訪れますか?」
「イベントの来客者数を増やすためには、どのような工夫を行っていますか?」
「事業にAIなど活用していれば、どんな活用法か教えてください」
「起業する時点で、どうやって信用・信頼を獲得したのですか?」
「今後、さらに飛騨の魅力を伝えていくために、どんなビジョンを持っていますか?」

実にさまざまな方向から質問が挙がります。舩坂さんは、これら一つ一つにすべて丁寧に答えてくれました。ヒダカラさんはオフィスでリアルイベントも開催しており、これを事前に調べていた学生は、イベントについて興味を持ったようです。その他にも、起業に興味がある人、あるいは地域活性化等に興味のある人など、質問内容から興味の方向が分かるような気がしました。

短い時間ではありましたが、きっと学生たちにとっては濃い時間となったことでしょう。写真撮影では笑顔いっぱいですが、頭の中はパンク寸前だったかもしれません。しかし、この時間だけでも話を聞く姿勢や質問内容などから、少なからず学生たちが成長したことを感じられました。お忙しい中、貴重な機会をくださった舩坂さんに心から感謝しています。

その後は滞在先の旅館へ戻り、1日目のプログラムが終了。みんなで食事し、お風呂に入った後は、テーブルゲームや談笑などしながら過ごしていました。一緒に物事へ取り組むことで、学生同士も打ち解け、一体感が生まれたようです。そして翌日は、先ほど商品を食べさせて頂いた井之廣さんへ訪問。そして、飛騨市長からお話を伺います。その模様は、次回記事にてご覧ください。

▼株式会社ヒダカラ ホームページ
https://hidakara.com/