『ホラーが書けない』27.5話 四方山話(6)【Web小説】
第27.5話 コトバにはチカラが宿る
「言霊」を知っているかな?
言葉には力が宿るといわれている。褒められるとうれしくなって一日が楽しいものになるし、叱られたら気分が滅入ってツイてない一日に変わってしまうこともある。
言葉で気分が左右されることを考えたら、言葉に力があるというのは納得できる部分がある。
さて、ここからが本題だ。
なんで言霊の話をしたかというと、ちょっと引っかかることがあったからだ。
読者は「予知」をどう思っている?
友人は少し先のことを知っているようなふしがあり、俺は予知能力があると思っている。そんなふうに考えてしまうのは、前に友人から予知めいた体験を聞いたことがあるからだ。
幼いころ、ずっと入院している祖父のお見舞いに行った帰りに、「じいちゃんって〇〇月〇〇日に死ぬの?」と親に質問した。急に思い浮かんだことを親に聞いたんだけど、そんなこと言うものじゃないと叱られた。幼いながら言ってはダメなことを聞いたと反省し、ナニカが頭に浮かんでも、もう話さないでおこうと決めた。
数か月後、言ったとおりの日付に祖父は亡くなった。
俺はこの体験を「ちょっと先のことが見えた予知」ととらえたけど、「話したことが現実になった言霊」ととらえた人もいた。超常現象的なことは答えが見つからない場合が多く、この体験もどちらなのか不明のままだ。
零感の俺からすると、予知でも言霊でも奇妙なことに変わりはなく、不思議な世界に魅せられる。
俺の友人は妖からナンパに遭ったり幽霊を視たりする異能の持ち主だ。俗にいう「霊感」があることは確実だけど、体験を聞くと少し先のことを知る異能もあると思っている。
何度か予知できるのか尋ねたことがあるが、そのたびにはぐらかされる。本人が能力のことを明確に言わないのは、言霊になるのを恐れているからなのかな……?
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