どういう気持ちになったら良いかわからない
【しらいわばんり より】
なんとも形容し難い事態に出くわした際に「どういう気持ちになったら良いかわからない」なんて言う人がいますけど、こと音楽に関して私は「どういう気持ちになったら良いかわからない」音楽が好きです。
世の中には沢山の音楽が溢れていて、能天気なポップスバンドのパーティーチューン、悲しい失恋バラード、寂しげなピアノの独奏、怒りに満ちたハードコアパンクなどなど…その多くは何らかの喜怒哀楽、エモーションと結びついていますよね。
そういうのもまあ結構好きで、このシチュエーションならこういう曲聴きたいよな、とかよく考える方ではあるんだけど(屋上でスカ聴きながら楽しくビール飲みたいなあとか、もう心がボロボロに疲れちゃったからR&Bとかソウルで沁みまくって癒やされたいなあとか、中華料理には意外とビッグバンドジャズが合うなあとか、ね)
そういうのとは一味違う音楽。
どんな時に、どんな気持ちで聴いたらいいかよくわからない音楽に強く惹きつけられます。
例えばブライアンイーノやCAN、マイブラディバレンタイン、オノヨーコ、ヤングマーブルジャイアンツ、ジョンケージ、プリンス、ドビュッシーのいくつかの曲からそれを感じます。
嬉しいとか悲しいとか気持ちいいとか切ないとかいったありきたりな感情とは無関係に存在するただただ美しい響き。
そんな音楽がポツリポツリとあると思います。
そしてそれらの音楽には共通して感じる所があって、それはつまり…
私達がいま聴く事の出来る音源って必ず過去に録音されて現在プレイされますよね。
未来に録音されて今聴ける音源は今の所ありません。当たり前だけど。
もちろんそれはそうなんだけど、ある種の音楽には少しだけなんだけど未来から時間を逆行して聴こえてくるような感覚があるんです。
ドビュッシーなんて19世紀に生まれた人なのに曲によってはどう考えても未来から聴こえて来てるとしか思えない感じがあるんだよなあ。
それって音楽家の感性が時間という概念を超えた表現を達成出来たという事なのかな、と思ったり。
まあ、シュールで抽象的だから未来っぽいだけなんじゃねって言われたらそれまでなんですけど(笑)
いやいや、でもなかなかそうとも言えない生々しい、手で触れられるような未来感とでもいいましょうか。そういう魅力を持った音楽があると思うんです。
そんな音楽をたまに聴くと日常のルーティンな感覚が少しの不安と共に(笑)リセットされていいですよ。
深い癒しがあると思います。
debussy plays debussy clair de lune (1913)
https://youtu.be/Yri2JNhyG4k
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