モニョモニョヨタヨタと弾け
【しらいわばんり より】
先日とあるアーティストのレコーディングに参加しました。
そこでスローめな曲のアウトロに少し長めのギターソロを入れることになりました。
プロデューサー、アーティストから色々とディレクションが入ります。
「力が抜けた感じ」「エモく無く」「イカニモな感じは無しで〜」とかそんな感じだったかなあ。
「了解です〜」とか言いながら録音していくのですが、これが結構難しくて色々と試行錯誤する事になりました。
アレコレやってるうちに何となくこの方向かなあ〜というのが見えてきたのでモニョモニョヨタヨタと弾いていたらなんとなくOKがでたので、
①よかったよかったと安堵するのと同時に
②こんなモニョモニョヨタヨタしていて良いのだろうか…と不安に思うと同時に
③正直すんごく良いギターだったよなあ〜って思いました(笑)
そしてこのギターの感じ、ちょっと懐かしいなと思いました。
結構昔の話だけど、私は高校時代の仲間とやっていたバンドでメジャーデビューする事になって、色々と楽しかったり大変だったりでワイワイやっていて、でもしばらくしてどうもうまく行かなくなっちゃって活動が終了してしまい、それから一人になって‥なんて時にポツポツと録音してたのがこんな感じだったなあ、と。20代も後半に差し掛かった頃だったかな。
それまでそれなりにプレッシャーを感じながら音楽を作っていたから、そこから解放されたのが嬉しかったんでしょうね。フワフワと気持ち良く作っていました。
誰かにウケるとかモテるとかそういう必要はもう無いし、そもそも何処へも向かってもいない、発表する気もない、行ったり来たりウロウロしてるだけの演奏。
ちょっとした凪の季節にひとり音楽で戯れ遊んでいた数年間。
初めてギターを手にして弾きまくっていた中高生の頃がわかりやすい自分の原点ではあるんだけど、この数年間は大人になってから偶然出会った二つ目の原点みたいな気がします。
あれからもう20年位経つのかな?その後の私は結局アレコレとバンドをやるようになり、随分沢山の武器やら鎧やらを身に付けて、時にはハイパードヤった演奏をかましたりするようになって行くワケですが、だからって自分が20年かけて別の力強い人間に変容した訳では無く、コアな部分では相変わらずモニョってヨタったギター弾きなんだなあと、それって結構いいなあ(笑)と思ったんですよね。
そろそろ要らなくなった重たい武器やら鎧やらを売るなり捨てるなりして、そしてまだ使える道具をきっちりと磨き直したりすれば、また次の楽しい何かに出会えるような気がしてワクワクしている今日この頃です。