おじさんパワーシフト
【さいとうこうりょうより】
COINNをはじめた2010年代当初から、COINNは自分たちのことを「おじさん」と呼んでいる。
ライブで「COINNのおじさんでーす!」と自己紹介すると10年前は笑いが起きていたが、いまはとてもしっくりきていてあえて言う必要も無くなった。若い頃から歳をとるということに不安と憧れをいだいたがゆえに自らを”おじさん”と呼び自らを鼓舞していたのだと思う。
時は経ち、2020年代ともなると少し時代が変わったなと感じる。声の小さきものたちの主張が大きくなり、世の中のうねりを左右しつつある。保育や教育界では、大人の望む人間育成よりも子どもたちの意思に耳を傾けることが先進的となっている。表現や芸術では、性別によって生まれる理不尽さを解体してちがいを越境することがパワフルであり、集団においては発想力や創造力を世代間が圧力にならぬように努められている。
つまり、20世紀末まで大きな権力で世界をシメていた中年おじさんたちの世界観が分解されつつあるのだと感じる。「おじさんの声を聞くだけでゾッとする」と言う人たちが巷で増え続けている。当のおじさんである僕にとっても、旧人新世時代に権力を震っていたおじさんたちの世界観では息苦しさをもっていたし、時代が経つにつれてどんどん世の中が楽しくなっている。
※人新世についてはこちら参照↓
https://note.com/coinn/n/nabcfa9b94f64
だからこそ次の世代には踏み間違えてほしくない。若い世代で盛り上げているパワーバランスの移行に対して、これからのおじさんたちを憎むのではなく、どうかおじさんたちを仲間に入れてやって欲しい。おじさんたちを憎めば、彼らが作っていた旧人新世時代の構造と変わらず、歴史は繰り返されることになるだろう、対象が変わるだけで。
新・人新世時代の人々には、ぜひともおじさんたちも巻き込んで新しい時代を作っていただきたいと願っている。