道案内
私、よく道を聞かれます。
多いときは一日に5回とか、あります。
ぼーっと歩いているので、隙だらけで声をかけやすいのかもしれません。
今日、ウォーキングの帰り道、すずらん通りを歩いていると、目の前にいた60歳くらいの女性(以下、お母さん)が、「ちょっとちょっとすみません!!」と寄ってきました。
お母さん、すごいな。
私、キャップ被ってマスクしてて、一見変装してるひとっぽいんだけど、縋りつかれました。
一枚のハガキを取り出して、「あの、ABCマートってどこですか?!」
「ABCマートなら、ここ真っ直ぐ行った先ですけど⋯」そこまで言って、お母さんがABCマートを目指してるわけじゃないんだな、と気づいて、「どちらに行かれるんですか?」と尋ねると、「すずらん通りの、文房堂っていうところなんですけど(汗汗)」
お母さんの持っているハガキを見ると、地図が印刷されてるんだけど、ちと古い。
建て替えで移転した三省堂さんとかが目印として書かれてる。
でも、その地図で大まかな場所は分かったので、多分、あっこだな、と想像できました。
それにしても、ややこしい神保町で、小さな地図だけで、よくここまで辿り着けたな、お母さん、偉い。
「すずらん通りって、ここなんですよ」と伝えると、お母さん、「前に来たことがあって」と話し始めました。
「古本市のときに来て、何が何だか分からないまま歩いたから、覚えてなくて⋯」
念の為、住所を伺って、グーグルマップに入力して経路を出すと、予想通りの場所でした。
「一緒に行きましょうか」と私が歩き出すと、お母さん、「えっ、良いんですか?!」と言って私に腕がくっ付くくらい寄り添って来ました。
正直、一緒に行ってあげることは、かなり珍しいです、私にとって。
なんかね、お母さんの波動が良かったんですよね。
それですぐに打ち解けて、お友達みたいになって、一緒に歩いてしまったのです。
「良かった、優しいひとに教えてもらって。でも、大丈夫なんですか?」
「大丈夫です大丈夫です、お散歩の途中なので」
お母さんはお礼を言ってくれて、「お友達がね、文房堂さんのギャラリーで展示会するって言ってこれ送ってくれたんですよ」と、さっきのハガキを見せてくれました。
この辺り、けっこうギャラリーあるんですよね〜、なんて言いながら、とことこ歩いて2分くらい、こっち側ですね、と右側に渡って、「あそこですね、文房堂さん」と示すと、お母さん、もう気が上がっちゃってて、超早口で「ありがとうございますありがとうございます助かりました」って。可愛い。
「神保町、楽しんでってください」ってお伝えしてお別れしてきました。
久しぶりに、ヒーリングとかカウンセリング以外でひとの役に立ったな、と秋の澄んだ空を見上げながら帰ってきました。
あと数日で、古本市も始まります。
お母さん、また、神保町訪れてくれたらいいな。
ウォーキング途中の小さな、暖かいふれあいでした。
読んでくださって、ありがとうございました。
また明日。
おやすみなさい。