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映画を観る。家で、映画館で。2022

とりとめのない、映画の感想文です。ネタバレへの配慮はありませんし、レビューと言えるほど大したことも書いていません。見終わった後の衝動的な感想と、メモのようなものです。

「ディア・エヴァン・ハンセン」

始終、胸がぐぐぐっと痛くてつらくて。誰の心にだってある孤独や寂しさを突いてくるミュージカル映画。元気な時に観るのをおすすめしたい…。でも、エヴァンはこうすることでしか一歩進めなかったのかもしれない、とも思ってしまって…。どうするのが一番良かったのか、私にはわかりませんでした。嘘をつかずに、自分を取り戻していけるのが一番だったんだろうけど、エヴァンがそれをできたかどうかはわからないから…。ただ、彼が自殺したりせずに二人で話す時間がもっとあったなら、違う関係があったかもしれない、とは思ったけれど。音楽は耳馴染みが良く、心を揺さぶるような沁みるメロディと歌詞が好きでサントラで何度も聴いてる。本編はどうかな…つらくて2回目観る勇気が私にはちょっとないかも。

「魔女がいっぱい」

ネトフリでの視聴。アン・ハサウェイが生き生きしてる!という点もだけど、おばあちゃんのワンピースがめちゃめちゃ可愛いくて、正直そっちばっかり見ていたといっても過言ではない……。ロアルド・ダールが原作。このシュールな感じが、わかる…となる。ネズミになってもさっぱりしてるのが、なんだか悲しいような切ないような。楽しそうでいいんだけど、人として生きて来た時間はそうでもなかったのかな…と思うとやっぱり切ない。

「ウエスト・サイド・ストーリー」

スティーブンスピルバーグの愛が籠ってる気がする。1961年版も見たことあるし、ストーリーもわかっているんだけど、中盤から後半にかけてはぼろぼろ泣いてしまった…。恋愛が主軸にはあるんだけど、移民とか人種とか男とか女とか、いろんなことを考えさせられる。移民の映画、というとNYだしインザハイツも思い出しちゃうけれど。住んでる所とか、母国への愛とか、戻りたいとか、そういうのもインザハイツでも描かれてたしね。女性が現実を見据えながら、それでも夢を秘めて覚悟を持って生きているのはどっちの作品も同じように思えた。アニータがすごいかっこよくて。ベルナルドへの愛、マリアへの愛、仕事への愛、大切なものをいつかどこかで失ってしまいそうな不安がずっと、ずっと彼女の中にあったのが言葉の端々に見え隠れしていて。バレンティーナが白人と結婚していた、というのもマリアとトニーのもしかするとあったかもしれない一つの姿だと思うと、とてもいたたまれない。終盤に、彼女がお店の中で一人歌う姿にぽろぽろ泣いてしまった。トニーがベルナルドと対話を試みようとし、その姿を見たリフが「こいつは戦わない」と身体を引き離すシーンがまた胸に来るんだ……。結局、最悪の最後を迎えてしまうけれど、その間の参加者全ての心の機微が画面を見ているだけで伝わってくるようだった。デートシーンの終盤で、ギャング団のテーマがそっと混じって聞こえてくる演出もにくい。映画館で、観て!!としか。1961年版へのリスペクトもそこここに感じられてすごい良いので。あと、いうまでもなく曲がいい。使い方もいい。最高です。年最初の映画館、良作でした。面白かった!!

「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」

画面の切り替わり方や魅せ方が、秀逸。こういう映画、とても好き。こまごまとしたところが気になりすぎて、そっちに目が行ってる間に字幕を読めていなかった場所がいくつか…。あちこち気になりすぎるんだよ…。それぞれの記事はもちろん、編集長の愛と、編集長への愛、そして雑誌への想いが、詳しく語られるわけではないのにぎゅっと詰まっていて愛おしい。他の記事も読みたくて仕方なくなってしまう…。アートと学生運動の話が私は好き。小説で「言葉はいらない」を表現するのは難しいけど、映画とかだとそれを直球で感じるし、それを感じさせてくれる映画でした。何度も観たくなる。恥ずかしながらウェス・アンダーソンの他の作品を観たことがないので、色々観てみたい。あと、カタログをめちゃくちゃ久しぶりに買いました。表紙がまたかっこいいし、映画に出てくる他の表紙も載ってるし、何よりもっと詳しく感じたくて。

「グランド・ブタペスト・ホテル」

ウェス作品をどうしても見たくて。これもホテルの内装や、エキストラの一人ひとりまで気になりすぎる…。グスタフとゼロ、そしてアガサの関係性が絶妙のバランスを保ってて、最後はぎゅっと切ない。愁いを帯びたゼロの老後の姿が、たどってきた過去を観てきたあとだとなんとも胸にくる。あとやっぱり、画面構成や魅せかたが惹きつけてやまないんだぁ…。色の使い方も好き。どっち、っていわれたらフレンチディスパッチの方が好みだけど、これはこれで好き。猫ちゃんのシーンとか、殺害シーンとかがちょっと苦手かな…。

エルヴィス

オースティン・バトラーの演技が、とにかく素晴らしくて。過去の本当の映像なのか、映画の演技なのかが分からなくなるほど。若いころの孤独と純粋さ、そしてささやかな欲をもった青年は、時折とても切なそうな顔をするんだけど、お母様が亡くなって、色んなものを手に入れて、失って、少しずつ、その気配が薄れて行って。でも、要所要所で、その時の顔が不意に見える。もう、ぎゅっと心を掴まれる。すばらしかった。エルビスの曲だけではなくて、色んな音楽が使われていてそれがまたとても効果的で。ヨラの歌もめちゃくちゃすばらしかった。この映画で初めて知ったのだけど、魂を感じるというか。映画館で観て良かったってすごく思う。また明日からしばらくは、このサントラを聴きまくると思う…。トムハンクスも、やっぱりすごい。映画を観終えて、大佐はお金大事の悪人なんだけど、二人の関係ってそれだけじゃないのが至る所でにおっていて。言葉以上に、なんだろう、仕草とか、視線とか、熱量みたいなもの。父親が一番、こう、ちょっとまずいんじゃないかという気もした。以下余談。エルビスの歌は、彼の歌と知らずにたぶん色々知ってる気がするんだけど、一番好きなのはやっぱりLove Me Tenderかなぁ。あの、声の甘さと優しさがとろけるようで好き。映画の中だと、明日への願い。ちょうど安倍元総理が亡くなられた日で、それもリンクしてしまって胸がぎゅっとなった。

ドリームガールズ


ジェニファー・ハドソンの印象が強くて。satcの映画で可愛い人だなぁと思ってたけど、歌がめちゃくちゃソウルフル。これ、映画館で観れた人は羨ましいなぁ…。魂に響いたんじゃなかろうか。ビヨンセより歌が上手い役って、プレッシャーも大きかったんじゃないかなとも勝手に思ったり。
洋画にはよくあるのかな?と思うけど、これは知ってるだろう、であまり説明がなされないまま(特に前半)進むので、何が何だかよくわからない間にエフィが外れちゃって、色々ググりながら観ました。私はね…。これって、外国の映画だとある程度あるものかなぁとも思うので、勉強不足な私が悪い。日本映画も、外国の方が見たらおんなじ印象受けるんだろうしなぁとも。エルヴィス観た後だったのも良かったのかもしれない。インザハイツとかウエストサイドストーリーのような移民の話も、どんなに学んでも事実そこで生きてみないと心底理解するには至らないんだろうなと思いつつ観てたしね…。こういうのは、文字で表現できないところの部分が1番重要なんじゃないかなぁと個人的には思うので。カーティスみたいな男はよくいるけど、自分の事しか考えてないよね。誰一人として、誰から見ても正しい、と思える登場人物はいなくて、そこが逆にいいのかもしれない。

「燃ゆる女の肖像」

本当は映画館で見たかったのだけど、短期しかやっていなくて時間が合わず断念。ネトフリに来たので、ようやく観れた次第でした。主要人物が少なく、男性がほとんど出てこない。のに、男と女の性差や、当時、そして今のリアルな状況を思い起こさせるような描写。あまり多くを語りすぎないことが、より人間味のある流れになっているような気がしました。その分、見ている方に委ねられる詳しい真相のわからない点もありはするのだけど。でも、語りすぎる小説が面白くないように、この映画もだからこそ美しく感じられる気もする。
…のとはまた別に。マリアンヌは我儘なのだよね…それをわかっているからこその、「幸せだった」のだろうけれど。立場の違うエレーヌに自分と同じクサビを打ち込み、ずっとこの感情の関係が続くと思っていたのなら高慢だ。マリアンヌの高慢さを崩すのが、エレーヌである、ということなのかもしれないけれど。
別れが2度あるようにも思えて、そこがちょっと苦しかった。あの時に全て終わらせられていたら、よかったのにね。エレーヌにとって他の倖せを見つけたからこその別れ、であったならいい。

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