【観たくなる映画と好きな映画は少し違う】
「好きな映画はなんですか?」と聞かれるとわりと困る。
そんなに多くの映画を観ている方では決してないし、オールジャンルが得意という訳でもないけど、その都度、年代や気分でも好きな映画は変わるのでなかなか歯切れが悪い。
まぁでも「宝もの」のように思っている映画もいくつかある。
『しとやかな獣』’62年 監督:川島雄三
『ダーティーハリー』シーリーズ 特に『ダーティーハリー2』’73年 監督テッド・ポスト
『カッコウの巣の上で』’75年 監督:ミロス・フォアマン
『007』シリーズ 特に『私を愛したスパイ』’77年 監督:ルイス・ギルバート / ロジャー・ムーア
『太陽を盗んだ男』’79 監督:長谷川和彦
『ランボー』’82年 監督:テッドコッチェフ
『里見八犬伝』’83年 監督:深作欣二
『お葬式』’84年 監督:伊丹十三
『ネバーエンディングストーリー』’84年 監督:ウォルフガング・ペーターゼン
『バーディ』’84年 監督:アラン・パーカー
『グッドモーニング,ベトナム』’87年 監督:バリー・レヴィンソン
『ぼくらの七日間戦争』’88年 監督:菅原比呂志
『俺たちは天使じゃない』’89年 監督:ニール・ジョーダン
『スモーク』’95年 監督:ウェイン・ワン 原作・脚本:ポール・オースター
『リトルダンサー』’00年 監督:スティーブン・ダルドリー
『グッバイ、レーニン!』’03 監督:ヴォルフガング・ベッカー
『ネブラスカ』’13 監督:アレクサンダー・ペイン
『スリービルボード』’17 監督:マーティン・マクドナー
(公開年順)
などなどかなぁ。いや、全然まだあるな、宝もの。
でも、ただ、世の中がささくれだって、疑心暗鬼が溢れかえっている時、どーしてだか選んで観てしまうものがあります。それは所謂「任侠モノ」。
2011年当時は『昭和残侠伝』シリーズに助けられましたが、今回は『人生劇場 飛車角と吉良常』(監督:内田吐夢 主演:鶴田浩二)や『悪名』(監督:田中徳三 主演:勝新太郎)シリーズ、などを貪るように観ています。
「人間の心は売ることも買うこともできねぇーんだよ」(人生劇場より)
「きっとだよ。約束に背いたら、ただおかないよ」(悪名より)
こんな時に刺さる台詞ばかりなのです。また、人への心遣いややり取りが非常に礼儀正しいし、人と人との距離感がとても心地よいのです。ある意味、現代人には欠けてしまっている部分といいますか。
『仁義を切る』って、要は、自己紹介を行い挨拶をして、事情を説明して、事をなすっていうこと。
これって、ものすごくまっとうな人間の態度ですよね。
しかも彼らの行動規範は、親、兄弟、愛した人など「ごく親しい人」の為に自分の命を投げ出してでも守るというもの。今日初めて会った他人だとしても、一宿一飯の恩義を忘れずに、それはもう他人ではなく、親しい関係性として真摯に応える。
こういう態度って、なんだか一番信じられるような気がしてしまうんです。
現代は昔とは比べ物にならないほど便利になり、より多くの情報が耳に入ってきます。それはとても快適で豊かな社会なのだと理解しています。
でも、ただ、ボクはどうしても『目の前の親しい人と向かい合い、その人の為に何かをする』っていうことが、一番大切なんじゃないかと思ってしまいます。いや、むしろそれだけが信じられるというか。
なので、こういう心が安定していない時期には、どうしてもそれを補うように「任侠モノ」を観たくなってしまうのです。
今、家で過ごしている分、普段関わり合っている「親しい人達」のことを考える時間が長くなったように思います。
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