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喫茶アトリエ【case2:千足海都・中嶋悠太】

ここは喫茶アトリエ。喫茶店では、偶然の出会いがつきものです。
仕事の帰りに寄った喫茶店で、大学時代の知り合いに出会って話が弾んでしまう…なんてこともあるかもしれません
今日はそんな2人の会話をのぞいてみましょう。

千足海都:
現在の年齢は30代。劇団コギト一橋祭公演『7×7のモラトリアム』では、音響補佐を務めていた。当時は大学1年生だった。

中嶋悠太:
現在の年齢は30代。劇団コギト一橋祭公演『7×7のモラトリアム』では、作曲補佐・音響を務めていた。当時は大学1年生だった。

---千足さんが入店しました---                                                                                                               

店員「いらっしゃいませ」
店員「相席ですがよろしいですか?」
千足「あ、はい、大丈夫です!」
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千足「あ、失礼しますー」

中嶋「どうもどうも…ってあれ?千足じゃね?」

千足「あれ?お前中嶋?」

中嶋「おーおいおいおいおいおい」

千足「おお、久しぶり~」

中嶋「なっつ」

千足「びっくりした~」

中嶋「え?こんなことあり得んの?」

千足「え、いやまあ東京に住んでたらまああるんじゃない?」

中嶋「いやいや、俺東京にいないし今。」

千足「え?こっち来たんじゃなかったけ?」

中嶋「千葉にいるんだって、ずっと。」

千足「え~東京のカフェで会うなんて、ちょっとびっくりだね。」

中嶋「意外意外、こんなことないもんな。」

千足「まあ、なかなかないよね。」

中嶋「で、そういや何でこっち来たの?」

千足「いや、普通に仕事終わりで休憩してる。カフェ周り好きでさ。」

中嶋「なるほどね。」

中嶋「はぁ~、ここのコーヒーまじでうまい。」

千足「ここ来るの初めて?」

中嶋「いや、俺は何回か来てる。」

千足「いや~うまいよね」

中嶋「あ~でも、コーヒーはまずいって言いながら飲むのが一番うまい。」

中嶋「エナドリとかコーヒーとかああいう嗜好品っていうのは、まずいまずいまずいまずいって言いながら飲むと、なんか自分って低俗だなって思えていいんだよ。」

千足「お前変わってるやつだなあ。」

中嶋「ははは」

千足「今、どんな仕事してるの?」

中嶋「今はなんか貿易関係をちょろっとやってたり。」

千足「それって外国の人とかと関わったり?」

中嶋「そうね」

千足「それってやっぱりさ、コミュニケーションが上手くいかなかったりとかある?」

中嶋「もうなんかさ。こうちょっとした、コミュニケーションの差というか?なんというかこの自分の語学力のなさ?」

千足「ああ、はいはい。」

中嶋「ああいうのを見て、頭ぴきぴきになっちゃう。」

千足「やっぱキレちゃう?」

中嶋「キレちゃう」

千足「いや~でもさ、やっぱ人との関わりである以上、怒らずにこう冷静に会話するって大事やん。」

中嶋「そうね、大事。」

千足「難しいよね~。そういうのって。」

中嶋「いや、もともと癇癪もちなんすよね。」

千足「ああ、そうなん?え~」

中嶋「その~、小3、4、の時にすごい癇癪持ちで」

千足「まだだって思春期前なのにね」

中嶋「キレたら机バーンって倒すみたいな。」

千足「こえ~」
千足「え、中嶋ってその学級委員みたいのやってたの?」

中嶋「小6のときにちょっとやってたかな。お祭り男だったから。小6のときに、なんか文化祭委員だったり、あとなんだろう。なんか、キャンプファイヤー委員とかああいううのをずっとやってた。」

千足「それでキレることってある??」

中嶋「まあ、友達からは黒の時代って言われてた。」
中嶋「え?ないの千足は?」

千足「いや、なんだろう。その昔サークル時代に関わってた頃うすうす感じてたと思うけど、俺、言葉の節々にちょっととげがあるから、」

中嶋「あるね」

千足「その言いたいことをスパっと言っちゃう系だから、逆にアガることがない。」

中嶋「なるほど」

千足「常にストレスを定期的に吐き出してるから、もともとそんなにキレるタイプではないんだよ。」

千足「強いて言うなら、なんだろうな、合唱コンクールとかじゃない?中学の時の」

中嶋「え、それはどっち側?男子歌ってよ、の方?、それとも歌わない側?」

千足「いや、俺、歌そこそこ上手かったから、教える側だったんよ」

中嶋「あ、なるほどね。」

千足「この(声の)高さのおかげで、テノールとアルトとバス教えてたから」

中嶋「すげ~」

千足「それ、なんか各パートリーダーを統括する、指揮者でもないのに偉いおじさんみたいになってた。その時に、ちゃんとやってよみたいな事を言うことはあったけど。」

中嶋「ああ~」

千足「うん、でもそれくらいじゃないかな。中高のときは」

中嶋「俺も中3の頃、合唱委員をやってたんだよ。」
中嶋「なんか、中3の時は文化祭係、いわゆるクラスの出し物をやる係も合唱祭係もやってた。」

千足「すげえな、お前アグレッシブだな、やっぱ。今も昔も変わんないんだね、そこは。」

中嶋「いや、なんか、こうさ、一歩目って難しいじゃん。でも世間知らずで何も分からないから、その一歩目を踏み出しがちなんだよ。」

千足「なるほどね」

中嶋「気づいたときには踏み出しちゃってる。」

千足「でもそういう人材って全然必要だと思うけどね」

中嶋「で、後から気が付くとあーあっていう」

千足「そう、具体的にはどんな感じで怒ったりしたの?」
 
中嶋「いや~怒るのはそんなにない。キレるのはあるけど」

千足「それ、変わんなくね??」

中嶋「いや、キレると怒るは違うよ」

千足「ああ、まあちょっとちゃうね」

中嶋「何か、怒るってさ」

千足「こう、なにか意図があったり、目的があったりするよね」

中嶋「道義的なものじゃん」

千足「そんなに、衝動的なものではないのか。」

中嶋「そうね、衝動じゃない。」
中嶋「部活やってるときに後輩がさ、話し合い中に寝てて顧問に怒られたときも俺はそんなに怒ってはなかったかな。」

千足「そっか、後輩に対してキレるっていうのがあるのか。」

中嶋「それはないかな」

千足「俺もあんまりないかも」

中嶋「むしろ、何もキレたりとか怒ったりとか負の感情を出さなかったから、統率ができなかったのかな、とは今思う。」

千足「俺は逆にさっきも言ったけど常になんかとげとげしいせいで、別にただの日にも、ちょっと後輩が来るの遅れたときに、別にブチギレるわけでもなく[ちょっと遅いね]みたいなこと言ってめっちゃ嫌われるっていう」

中嶋「ああ~」

千足「でも陸上部入ってたんだけど、そういう奴が俺だけだったかったから、ちょうどいいハリになってたのかなとは思う」

中嶋「でも、あれじゃん、大学時代に、なんだっけ寝飛ばしたんだっけミーティング」

千足「ああ~寝ブッチしたやつ?」
千足「それは非常に申し訳ないよね。それは怒られてしかるべきだったんだけど、先輩たちが優しかったからね。」

中嶋「大丈夫、俺も30分遅れたから。」

千足「まあ、そうね、あのときは俺ブチギレてたけどね。」

中嶋「あっはっは」

千足「ああ、それか、それはブチギレてたわ、さすがに」

千足・中嶋「あっはっは」

千足「なつかしいね~、もう30終わりで40近くになるけど」

千足「まあ、でもキレたことと言えば、」

千足「今その、アイドルが好きだったから、結局今芸能事務所のマネージャーみたいなのやってんだけど。それで、アイドルの運営とかもしたりしてるんだけどね、今。」

千足「それで、やっぱその、運営すると嫌われるんだよ。ファンから。握手会がどうのとか、ここで武道館はどうなんだとか、とかこのセトリはどうなんだとか。」

千足「そういうのに対して、反省はするけど[うっせーなこのオヤジども]と思ったりすることはあるよね。」

千足「まあ、それくらいしかキレるタイミングはないかもしれないな。」

中嶋「なるほどね~」

中嶋「あのさ、自分が一番激怒できることってなんだと思う?」

千足「何だろう。よくさ、アニメとかであるのは、好きな子をいじめられたとかさ、お母さんを侮辱されたとかあるじゃん。」

中嶋「あるね」

千足「でも、実際そういうことってあんまり起きない。」

中嶋「侮辱されるっていう機会がないよね。」

千足「結局さ、世の中いい人しかいないからさ。好きな人できた、とか彼女できた、とか言っても、ねえ、その[おお~いいじゃんいいじゃん]みたいな感じじゃん。」

千足「結局さ、自分とは関係ない人をバカにすることってあんまりないじゃん。」

中嶋「ないね」

千足「だからそこでキレるっていうのはあんまりないのかな」

中嶋「でも、ずっと思ってるのが、侮辱されたとして、果たしてその場で怒ることができるのか。」

千足「ああ~、確かに。」

中嶋「その当事者になったとして。その瞬間に怒って、これまでの人生のすべてを棒に振るわけじゃん。アニメとかでも。」

千足「そうだね。」

中嶋「1個あったのが、龍が如くの8の話なんだけどさ、いや7か。主人公のやくざの親父がいてさ、その親父のいろんな他のことは耐えてたんだけど、親父をバカにされた瞬間に殴り倒しちゃったの。」

千足「ああ、なんかそれどっかで見たことあるかも」

中嶋「それで、刑期がのびちゃったんだよ。」
中嶋「それを果たして俺らはできるのかどうか、っていう」

千足「できない、だろうね。きっと。どこかで冷静になる自分がいる。」

中嶋「そう、どこかで冷静になって諦めちゃうんじゃないのっていう。」
中嶋「ってすると、もう思春期も終わった俺らには、怒れることなんて残されてないのかもしれない。」

千足「まあ強いてあげるとしたら、自分の息子たちに対してだよね」
千足「彼らをいかに成長させるかしか考えないフェーズに入ったら、その子たちには怒れるんだろうけど。」

千足「もうそれ以外で怒る機会はないだろうね、きっと」

中嶋「でもなんか、最近のコンプライアンス的にさ、怒るのってどうなん? って言われてるよね」
中嶋「大学生時代にさ、塾講でバイトしてたんだけど」

千足「あ、そうなんだ。」

中嶋「怒るな、って言われんのよ。」

千足「それはどういう意図なの?」

中嶋「怒るな、ではないか、なんだろう、感情を荒げるな、が正しいか。」

千足「ああ~」

中嶋「だから、もし叱るとしたら理路整然と、その行為が何故いけないのかを述べよ、とコンプライアンス的にね、よく言われんのよ」

千足「まあ、論理性がないと納得はできないからね。」
千足「まあ、でも、今の時代っていうか、俺らが大学生くらいの時代にはもう変わってきたっていうことだよね。」

中嶋「そうね。なんか、俺らがさ、小中高だったくらいがギリギリじゃない?ギリギリ怒れたじゃない。」

千足「もうさ、俺らが小っちゃい頃はもう殴れはしなかったよね。」

中嶋「殴れはしないね。」

千足「怒るってなんなんだろう、って思うよね。」

中嶋「なんなんだろう。」

千足「いや、でもさ、この先生ダメだなってやつとかはさ、感情任せに怒ってるやつとかはいたけどさ、そうするとやっぱり、これができなくなるってなると、人を成長させるにはどうしたらいいかっていう手段が減ってくよね。」

中嶋「人を成長させる手段としての怒り、ってこと?」

千足「例えばその、やっちゃいけないことに対して怒るっていうのは当たり前じゃん。けど、これが怒鳴ることを禁止された場合、はたして、我々世代以降の軟弱ものたちは、それを心に響いていけるのか」

中嶋「怒りは手段でしかないってことでしょ。」

千足「でも、大きな声とかがさ、こう、ぐっとさ、スイッチいれるきっかけになったりする場合もあるじゃん。そういう手段がなくなる、っていうのはいささかたまわれたものではないのかな、みたいな。」

中嶋「全然話変わるんだけど、あの、アドラー心理学ってあるじゃん。個人心理学とも言われるか。」
中嶋「あれだと、怒りは使うものなんだよ。感情って湧き出るものじゃん。そうじゃなくて、感情はその自分の意図を通したいがために使うものらしいんだよ。」

千足「ん~」

中嶋「怒りって感情は、相手に自分の意図を伝えたいって言うことで、[怒り]っていう感情を表出するものらしいんだよ」

千足「なるほどね~。」

中嶋「だから、その考え方だよ、今の。」

千足「となると、話戻すけど、結局今まで起こったこともこれから怒るであろうことも、あんまりないんじゃないかな。」

中嶋「分かる、激怒したことってないよね、っていう。」

千足「まあでも、なんだろう。思い出せないってこともあるのかもしれない。」

中嶋「ああ~、なるほどね。」

千足「その、自分ではそこまで怒ってないのかもしれないけど、実はめちゃめちゃキレてたとか。」
千足「あ、そういわれると、KODAIRA祭のときに、ちょっと思い出したことがあって」

中嶋「大学生時代の話ですね。」

千足「そう、1年生の時ね、懐かしいね~。」
千足「あんときに、なんかKODAIRA祭前ってめちゃめちゃ忙しくって僕も。ちょっともう本当に寝不足になってまで仕事するときもあったから。」

中嶋「そう、してたね。寝てないっすね。」

千足「装飾を皆で手伝うみたいな時間があって、その時もクソ眠い状態で行ってたたんだよ。そのときにクラスの男の子が、地方出身の子だったんだけど、めっちゃ変なイントネーションで[東京メトロって地下鉄なん⤵?]って聞いてきたんだよ。」

中嶋「なるほどね」

千足「俺、それ聞いた瞬間さ。普段だったら、地下鉄だよ、とか鉄オタトークを交えて話すところが。」

中嶋「そうね」

千足「超、機嫌悪くてそのときに、なんだその質問は、そんなの聞いてくるんじゃねえよみたいな雰囲気で、それ今のはないわ、とか言ってキレてたらしくて、結構。」
千足「でも、それ当時あんまり自覚なくって」

中嶋「なるほどね」

千足「友達に言われて、そうなんだ、ってなったから。」
千足「となるとやっぱ、激怒したことって何、って聞かれると難しいな。」

中嶋「自分の中で激怒できる経験って、自分に対する怒りしかないのかな、って今ふと思った。」

千足「なるほどね。」

中嶋「他人に対する怒りってさ、そうやって他人に言われないと気付かれないものもあるわけじゃん。」

千足「そうね。」

中嶋「なんだろうな、自分がちゃらんぽらんな人間だからさ。期限は守らないし、家は汚いしで、ちゃらんぽらんで優柔不断な人間なんだけど、自分に激怒した経験があるとすれば、さっき言った1年のときのKODAIRA祭?」
中嶋「全然演技ができない、俺が。」

千足「ああ、七月公演前?」
千足「誰だったけ、あれ。忠太だっけ?」

中嶋「そうそうそうそう」

千足「忠太か、そうだ思い出した。懐かしいな~、忠太か。」

中嶋「いや~演技初めてと言ってもいい状態だったから、仕方ないは仕方ないんだけど。」

千足「そうだったんだ。」

中嶋「いや、うまく行かなかったな~っていう。その。」

千足「まあ、でも最初はそうじゃない。お前、だって3年のときにやってた、あれ、名前忘れちゃったんだけどさ、あれ、めっちゃ上手くできてたよね。」

中嶋「ああね、ああね、なるほどね。」

千足「ちょっとごめん、キャラは忘れちゃったんだけど、あれ、お前の主役は完璧だったよ。」

中嶋「ああ~、あの残ってるから観ていただいて。」

千足「忠太があったからこそのあれだと俺は思ってる。」

中嶋「なるほどね。」

千足「あ、でも忠太でキレてなかった?そういえば。」

中嶋「ああ~」

千足「あれは別に、中嶋が演技した結果で中嶋としてキレたんだとしたら、加えていいんじゃない。」

中嶋「なるほどね」

千足「いい加減にしてくれないか(セリフ)」

中嶋「・・・いい加減にしてくれないか!!!いつまで逃げるんだよ!!自分のこと本気で想ってくれてる人の気持ちをないがしろにして、自分が好きな人にも…(セリフ)」

千足「あっはっは」

中嶋「もうやめてくれ(セリフ)」

千足「あっはっはっは」

中嶋「詠唱」

千足「やべ~」

中嶋「ははは」

中嶋「なんかさ。親にさ、俺は優しい人だって言われ続けてきたの」

千足「忠太くんは優しいよって?」

中嶋「まあまあまあ」

千足「なるほどね。」

中嶋「俺は優しい性格だね、って。なんか1個エピソードがあるらしくて。その2歳くらいのときに、あのなんか砂場で遊んでたらしいんだよ俺が。
それで、周りの同じ2歳くらいの人に、遊んでた遊具を盗られるわけね、毎回。それでも何も言わない、怒らない。」

千足「怒らないんだ。」

中嶋「でさ、そのエピソードをずっーっと言われ続けるのよ。優しいとして。」
中嶋「ってことはさ。優しい人間、つまり怒らない人間になっちゃうじゃん。」

千足「なるほどね~。」

中嶋「あ、でも他人から怒れるようなことをした、みたいなことはある?」

千足「あ、怒らせちゃった経験?」

中嶋「怒らせた経験じゃないんだけど、小学校の卒業の時に、当時好きだった人に、暗号でこう、ラブレターを送ったんですよ。小学生が思いつく暗号ってなんて簡単な換字式暗号なんだよ。」

千足「あ~はいはい、あるね。」

中嶋「その友達と、中学の時に再開して、」

千足「その、当時君が好きだった女の子とね。」

中嶋「で、何も言われずに、関係もなんかよくわからない感じになってて、今思い出すと、キレてたのかもな、って」
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千足「俺、中嶋とサシで喋ったの以外と初めてかもしれないな。」

中嶋「そうね、初めてだね」

千足「何気に1年男子って多いし、中嶋なかなか飲み会来なかったしね。」

中嶋「申し訳ない」

千足「でも、あの10月末にあった鍋パは楽しかったよな」

中嶋「そうね、楽しかったね。やっぱね、10月寒いんよな」

千足「しゅうへいの家で皆で鍋パやってね、あれ最高だったな。」

中嶋「またやろう、やろうやろう、メンバーまた集まってさ。」
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千足「中嶋って、浪人時代とかどうだったの?」

中嶋「そう、浪人時代さ、1回精神が壊れたんだよね。」

千足「いや1回、いや壊れるの普通だと思うけどね。」

中嶋「7月くらいのときにさ、夏休みなるじゃん、河合だから夏期講習があるんだけどさ。その、空いてる日にさ、荷物を何か受けとらきゃいけなくて自習室行かないで、家にいたんだよ。」
中嶋「でも、家にいたらさ勉強するわけないじゃん。」

千足「そうね、家にいたら勉強しないよね。」

中嶋「で、こう、勉強しなきゃな、でもな、あれ全然できないな、ってうだうだしてて、そのまま、確か寝ちゃったんだよね。」

千足「うんうん」

中嶋「で、寝飛ばしたせいで、その荷物を受け取るっていう目的のためにさ、俺は家にいたわけじゃん。それが唯一の生命線だったんだよ。でも、それすらもなくなって、俺ってなにもできない人間なんだな、って思って。何もする気が起きなくなちゃって。」

中嶋「で、物にあたったりとかブチギレちゃって。」

中嶋「で、もうなんかダメだ俺は、多分何をやっても無理だし、こと受験に関して言えば俺は何をしても受からないんだろう、絶対に埋められない差がそこにはあるんだろうって。」

千足「あ~」

千足「浪人時代ね、僕とかもともとがめちゃめちゃアホだったから、偏差値も50ちょっとで。はっきり言って、一橋はおろか、そこらへんの大学でも怪しいぜ、って感じだったんだよ。」

中嶋「言ってたね。」

千足「最初は東大にしようって言って、目指すのを。普通は変なはなしなんだけね、せっかくやるからには、1年あるしやるか、みたいな感じだったんだよね。」

中嶋「なるほどね、はいはい。」

千足「でも、壁あるじゃん。遠すぎて。」

中嶋「遠いね」

千足「ずっと道なき道を歩いている感じがして、やっぱ目途が立たないからストレス溜まってたね。今考えるとウチの母親にも迷惑かけてたかもなみたいな気がする。」

千足「本っ当に些細なことにキレるんだよ、浪人生って。」

中嶋「分かる、そう、そう。」

千足「なんか俺が一番キレてたのは、河合塾から駅まで電車で帰って、その後自転車なんだけど。このタイミングで雨が降り始めると、引くほどもう、周りの人間がドン引きするほどキレてたね。」
千足「もう、ブチギレて荷物ぶん投げて飯を秒で食って、ぅあああっ!って言いながら寝る、っていうことをやってたからね。」

千足「そうね、だいぶセンシティブにはなるよね。」

中嶋「1個ガチでキレたのは、自習室ってさ、当時コロナだから窓ぜんぶ空いてるじゃん。」

千足「うちは閉まってたなー。」

中嶋「ちょっと空いてんのようちは。」
中嶋「で、当然さ、教室もあいてるわけよ。同じ理由で。」

中嶋「で、空いてるところから、そのくっそしょうもない、小論文の先生の[ぅああ⤴ーん]って声が響き渡るのよ自習室中に。」

千足「ははは」

中嶋「腹立って腹立って仕方なかったね。」
中嶋「特にさ、もう1個付け加えたい情報があって、確かね10月とかの時に過去問を解いてたんだよ。数学の、予想問題だったかな。2時間ぶっとおしで解いてて。」
中嶋「で、20分くらいでそれがやり始めて、集中できねえよ!っていう。」

千足「うわぁーわかるー!でもさ、別に今やられてもキレるんだよね、そういうのって。」

中嶋「そうね」

千足「俺も、市民図書館みたいなちっちゃいこじんまりした図書館で勉強してるときに、」
千足「ちっちぇえ中坊が、中学校のテスト週間で勉強しにきましたみたいな。こいつら、しゃべるんよ。」

中嶋「しゃべるね~」

千足「でも怒るのもなんか違うな、みたいな。やっぱストレスたまってたね、あれは。職員さんに言ったもんね、キレすぎて、黙らせてくださいとか言って。」

中嶋「千足の追い詰められ方と僕の追い詰められ方ってちょっと違うな、って今聞いてて思って。」
中嶋「僕、進学校だったから、腐っても偏差値60くらいはあったのよ。底辺なんだけど。」
中嶋「すごい人は80とか行くんだけど、俺は60くらい最底辺で。」

中嶋「周りは、ウチの高校は2/3が東大受けて、その半分、いやもうちょい通るくらいなんだけど」

千足「バケモンやな。」

中嶋「当然さ、一橋なんて、あえて行きたいやつらしかいない。」
中嶋「でもひねくれものだし、逆張りだから一橋にしたのよ」

中嶋「で、受かって当然じゃん。でも高3の段階で正直落ちるなっていうのが分かるわけじゃん。で、当然落ちて周り受かって。」

千足「まあね、はいはい」

中嶋「なんなん、俺はって言う。受かって当然っていう世界の中で俺は。」

千足「まあ、結論、我々が一番キレてたのは浪人時代っていう。」

中嶋「浪人ダメだねやっぱ」

千足「浪人はね、感情が繊細になっちゃうから大分。」
千足「ちょっと問題ミスるとさ、フラストレーション溜まる」

中嶋「溜まる。」
中嶋「国語のさ、論述でさ、ちょっとずれるだけで✖つけたくなんない?」

千足「うわっ」

中嶋「ちょっと要素がずれてただけで、こんなんバツだ全部っ!っていって、全部✖つけてって、0点って自分でつけるっていうう」

千足「英文法とか解いてたらさ、俺もう英語に関してはセンス皆無だったから。」
千足「こういう意図の問題ですよっていうのがあるわけじゃん。でも、それが読み取れないのにキレてた。」

中嶋「キレる、分かる。」

千足「なんで、これ授業でやったやんこれ、っていう」

千足「あと、一番キレるのはあれかな?共通テストの採点の時かな?」

中嶋「あはははは」

千足「あれブチギレてたよね」

中嶋「キレるね、あれはキレるね」

千足「なんでこれ間違えてんの?って言って」

中嶋「なんでここ間違えんのって」

千足「なんだこれってね」

中嶋「共テはいや、共テ受けてもキレてた。俺は。」

千足「にしても、俺らいい歳だけど、意外とそういうのって覚えてるものなんだね。」
千足「なんかやっぱ受験って忘れないんだね。」

中嶋「受験はやっぱ、悪なんだよ。悪しき文化なんだよ。」

千足「そうだと思うよ。この歳になって受験の話するなんて思わんかった。」

中嶋「だめだめ、受験の話なんてしちゃダメなんだよ。本当は。」

千足「お前、だって今、商社で海外行ってるようなやつだろ。」

中嶋「だって、アイドルをまとめてるようなやつだよ」

千足「そうだよ。アイドルのプロデューサーやってるんだからね今。」

中嶋「受験なんて話しちゃだめだよ。」

千足「いや~全くそうだと思うね。」

中嶋「世界で一番話しちゃダメだよ」

中嶋「受験は悪。結論は、激怒とは受験で受験は悪!」

千足「なるほどね」

中嶋悠太・千足海都

この2人はまだまだ話足りないみたいですが、そろそろカフェも閉店の時間です。また、来てくださいね。きっと素敵な話が聞けると思いますよ。

公演情報

********************
劇団コギト2023年度一橋祭公演
『7×7のモラトリアム』
脚本・演出 高尾友季
「喫茶店は、道の途中で立ち寄る所。そんな場所に彼らは住んでいた。」
********************

◆出演
伊藤朝輝 杉本周平
羽尻結衣 藤田ひかり 古浜奨真

◆日程
11/24(金) 11:00~ / 14:30~
11/25(土) 11:00~ / 14:30~
11/26(日) 10:30~ / 14:00~
※開場は開演の30分前です。
※上演時間は約80分を予定しております。

◆料金
無料(カンパ制)
*本公演は無料ですが、ご予約も受け付けております。お席はご予約の方を優先いたします。
下記 URL よりお手続きください。

◆会場
一橋大学⻄キャンパス学生会館 1F アトリエ
アクセス
JR中央線 国立駅南口より 徒歩15分
JR南武線 谷保駅北口より 徒歩25分
*会場がわかりにくくなっておりますので、お時間に余裕を持ってお越しください。

◆スタッフ
舞台監督   佐藤愛佳
舞台監督補佐 陽美雄月
演出助手   小田悠生 中村紘夢 らむ
舞台美術   佐藤あい 富田皐央 濱野あすか
       陽美雄月 山田彩絵 リーナ
制作     岩田大煕 齋藤よしみ 298
衣装     近江天音 菅野咲名 土屋陽菜 山葵
小道具    久保聡琉 長月小雨 らむ
宣伝美術   久保田広輝 錆田 ひらお
広報     川井直太郎 川口芽萌子 宮野浩真 山浦弥桜
照明     黒崎陽人 山本翔
音響     中嶋悠太 成田明由
音響補佐   千足海都
作曲     高尾友季
編曲     中嶋悠太
応援     天野友花梨

◆お問い合わせ
一橋大学 劇団コギト

連絡先
cogito.pr@gmail.com (制作 岩田)

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