アニメ・アイドルマスター01~13話感想

あらすじ

 11年前、アニメ・アイドルマスター(略称はアニマス)に出会い、初めてDVDを全巻購入し、劇場版を初日に観て、現在はミリオンライブ!を主に追いかけている筆者が、再びアニマスを観たらどんな感想を抱くのかを書き記す。そして、2023年に始まるというアニメ・アイドルマスターミリオンライブ!(略称はミリアニ、一般的にどう呼称されるかは不明)がどんなものになるのかを、併せて空想する。

第01話:これからが彼女たちのはじまり

あなたにとって『アイドル』とは?

アニメ・アイドルマスター第1話『これからが彼女たちのはじまり』より

・このアニメは、プロデューサーから示される上記の問いかけに、アイドルそれぞれが回答を示し、改めていくものであると同時に、765プロという居場所がどう変遷していって、何に至るかを示す物語である。1話では一つの事務所でみんな仕事がなくて時間を持て余していて、この日常感、年齢差のある面々が仲良く一つの時間・空間を共有してる様こそが、この作品、このコンテンツを好きになった大きな要因だったと思う。
・『アイドルマスターミリオンライブ! シアターデイズ』でも、五周年を記念したイベントで同じ問いかけが示されていて、ミリアニの方でもそういうオマージュがあるのではないかと空想しているが、どうだろう。大人の都合かな。
・思った以上に見入ったというか、見ていてほんとうに楽しかった。覚えていることと忘れていたこと、元ネタや裏話が湯水のように湧き出てくる。それだけ既に何度も見ていたし、ラジオや書籍も熱心に集めていた。
・にしても13人がかなり平等に出てくる展開がすごい。流石に春香・千早・美希はある程度多く感じるものの、絵がいっつも複数人登場していて、それは後半のための布石でもあるけど、賑やかな場所だと思う。
・52人、もしくは39人が出てくるらしいミリアニ、ほんとうにどうなるんだ……画面のキャラクター率が常に高そう。
・嘗ての自分が最もハマったのは5話くらいだったのだけれど、確かこの1話の後すぐに2話を予約したような。当時はDVDレコーダーを買ったばかりで、とにかく深夜アニメを録画していて、アニマスはその一つだった。

第02話:“準備”をはじめた少女たち

・アニマスって基本的に仕事を外に求めていくので、その準備として宣材写真を撮るという実にオーソドックスな回。響とハム蔵、亜美真美、そして伊織とシャルルというふうに、アイドルたちの中で類似の関係性を示した上で解決へと導く展開の分かりやすさも相俟って、観ていてとても安心感がある。それでいて他アイドルへの目配せも欠かさない。この頃は全員で小さな箱の中で活動を描けるからこそ、目配せが上手くいっている。
・2話も星井美希ちゃんが猛烈に可愛かった…………こんなに好きになったのは近年の傾向なのだけれど、思えば昔から可愛いところはずっと見ていた気がする。恐らく劇場版ではもっと文字数を割く。
・ミリアニ、もといミリオンライブ!というコンテンツにはシアターという、自分たちでステージを(=仕事を)創出できる場がある。それ故に各話がアイドルとプロデューサーだけで完結することも出来る。ともすると、どうやって外の仕事を取っていくのか、どういう理由で外の仕事を必要とするのかも考えないといけない気がする。
・田中琴葉ちゃんの宣材写真めっちゃ見たいな……。

第03話:すべては一歩の勇気から

・大体の展開を覚えていた回。それこそ『ALRIGHT*』の演出や衣装はミリシタにも輸入されていて、萩原雪歩といえばこの回という感じ。
・前回よりも明確に、欠点に対してプロデューサーの言葉が解決のきっかけとなるという、プロデュースの基本とも言えるような回だった。且つ、一つの仕事に対しての取り組み方の差、得に如月千早のネガティブさは、次回で更に掘り下げられることになる。
・地方の祭りに無名に近しいアイドルがやって来るというのにちょっとした心当たりがある。実際に目にしたわけではないけど、事例を知っている。

第04話:自分を変えるということ

・地方のケーブルテレビの番組って全然観たことがないのでこの話にどれだけリアリティがあるというかは未だによく分からない。まぁサービスショットくらいは狙うのか。それでもディレクターめいた男は765プロに期待しており、良くも悪くも俗っぽい回。
・ミリアニってフルCGっぽいけど、おっさんやお兄さんのCGってそれっぽく作れるのだろうか。かわいい彼女たちの世界観に合うモデルになるのかなーって。
・貴音の着ぐるみ好きは近年ミリシタに輸入されてる。
・この回における如月千早の、歌を聞いてくれたプロデューサーに対して初めて向き合った所や、番組としては皆に支えられつつも最後に一緒にお菓子は食べに行かない所が、彼女の頑なさをよく表しているように思う。
・昔観た時、エンディングで何かすごい文字数を割いて何かを考えた気がするが思い出せない。この短い時間に合わせて『蒼い鳥』が鳴ることと、如月千早という独りの少女の暮らしが描画されることがすごいよね。
・それでいて次回の引きがこういう形で……。如月千早の胸イジリ、近年ほんとうにとんと減り、良いことだと思う。

第05話:みんなとすごす夏休み

・あんまり語ることないというか、素直に楽しくて見ていて嬉しい回だった。水着回! って呼ぶ風習は未だにあるのだろうか。
・現状からは想像だにしない、仕事やライブで充実する自分たち。そして、こうやって同じ時間を過ごせないかもしれない自分たち。アニマス全体を見据えているとも言えるような会話は、『i』の劇伴と共に行われる。
・この話のエンディングの絵は、テレビ放送時と円盤収録時で異なっている。亜美真美の服装が水着から袖付きの私服になってる。花火をしていることへの配慮なのか。アニマスおじいちゃんだからこういう昔話がいっぱい出てくる。多分そういうのを書き記して、忘れてもいいようにしようとしているのだと思う。余談だけれどdアニメでこの話を見てみたら、亜美真美が水着を着ていた。何故そういうことになるのかは分からないし、他の話では確かめていない。

第06話:先に進むという選択

・竜宮小町という新ユニットの圧倒的なライブシーンと、プロデューサーの失敗と成長がワンセットになった回。1クール目の終盤を牽引する美希と、2クール目の春香、それぞれがプロデューサーとやりとりを交わしていて、かなり見応えがある。
・美希とプロデューサーは、Aパートで明確にディスコミュニケーションをしてしまっている。しかし、Bパートの成功を前に、プロデューサーはその会話を思い出すことも出来ない。こういった問題の提示と、解決の先送りは、長い物語を描く上で必要な要素の一つだと思う。
・一方、春香とプロデューサーは、Aパートのディスコミュニケーションするものの、Bパートでは成功する。春香が差し出したドーナツをプロデューサーは受け取り、一人で焦るのではなく、『みんなといっしょに』で頑張っていくことを改めて確かめる。この、『みんなといっしょに』は、2クール目の命題となる。

第07話:大好きなもの、大切なもの

・登場するアイドルが大きく減り、代わりに『きょうだいがいる』という共通項がある三人が、それぞれの立場できょうだいとの関係性を見直す回。人数が減った分高槻家のきょうだいが登場することで、場はいつものように賑やか。実にまとまりの良い回だと思う。
・その上、窮地であれば私情でも何でも駆け付けてくれるという、プロデューサーの行動原理も垣間見える回だった。伊織が指摘する通り、プロデューサーは今回の問題において役に立たなかったものの、それでも頼ってくれたことに感謝するという、アイドルとの信頼関係の構築を第一に考えている点は、前回からすると大きな成長だ。

第08話:しあわせへの回り道

・大好きな回だから個別に何回も見返しているし、オマージュしたような短編も書いたことがある。

・各アイドルの良さを発揮しながらも、物語は二転三転し、最終的に仕事として大きな成功を掴む。あのウエディングの写真を見ればそれが伝わることもまた良い。展開の馬鹿さとは裏腹に、三浦あずさという人の特質を十二分に表現した素晴らしい回だ。
・それでいて、この回も6話と同じように、美希が仕事の窮地を救っている。プロデューサーはそのことに言及できないし、当時の問答も一切言及がない。徐々に徐々に何かのゲージが貯まっていく。プロデューサーの成長はそれに追いつくのか。

第09話:ふたりだから出来ること

・前回に引き続き賑やかな回、だけどオールスター登場。こういう回でちゃんと全員に役割――今回に限ってはアリバイを割り当てる、割り当てられるのはこの時期だからこそ。
・亜美と真美にとって仕事と遊びの価値が同価で、どちらを選ぶでもなくどちらもを楽しめる今が好きであることが分かるラストがいい。それを打ち破る大オチもまた。

第10話:みんなで、少しでも前へ

・765プロとは真逆のアイドル・プロデューサーが登場して、対照的に765プロの良さを示す回。1クール目はこの13人で何かに取り組むことが当たり前のことで、ごくごく自然に出来る。
・876プロの3人が出てくるとうれしいね。ゲーム自体はやったことないけど、なんだかんだと曲やキャラクターは知っているので。
・テレビ的なことを求められるとか、765プロはあくまでも竜宮小町がメインだとか、知名度に即したアイドルの扱いがあけすけと見え隠れする回ですね。女性アイドル主体のイベントなのに男性アイドルの『Jupiter』が出てくる辺りも。
・今観ていると彼らの悪役めいた役割には違和感があり、そう感じられるようになって良かったなぁって。

第11話:期待、不安、そして予兆

・ライブへの期待、パフォーマンスへの不安、そして星井美希の予兆。全てが次回、次々回に繋げるための準備であって、それでいて地味ながらも、眩しいアイドルたちがすべからく普通の暮らしの中を生きていることを示した回。
・1期の構成って、前半は売れていない13人、後半は売れた3人とそれに追いつこうとする10人だから面白いんですよね。この差が埋まらない、埋められないような構図だったら、アイドルマスターじゃない気もする。仲良しだから側にいるのではなく、仕事として同じレベルに立っていたいっていう願望が、共通して存在する。
・意外と初めて観ていたころの記憶が薄いことに気付く。1~3話は色々思い出したのに。

第12話:一方通行の終着点

・星井美希という15歳の少女について、プロデューサーが改めて向き合う回。13人それぞれに出番があるとはいえ、ここまでマンツーマンで会話が続く話は希有。
・『竜宮小町』というユニットは、星井美希にとって『キラキラ』するために最も手近な存在だったというだけで、そういう存在になるようプロデュースするという約束が、彼女の不機嫌を解消するという展開は実に妥当である。一方で、それは『竜宮小町』を手段として考えていることにも近く、例えばあの三人と共演したいとか、『SMOKY THRILL』を歌いたいとか、そういう動機は少しもない。純真な考えとも言えるし、あまりにも合理的とも言える。
・ここからは邪推に近しい話。ともすると星井美希にとってアイドル自体も手段なのだと思う。千早と考えが近いのかもしれない。逆に、アイドルを『夢』だと言い張った春香とは、考えが真逆。そう思ったところで、1話の問いかけ(あなたにとって『アイドル』とは?)に対しての回答を再確認する。

美希ね、疲れるのとか好きじゃないから、楽ちーんな感じでアイドルやれたらなーって思うな。

アニメ・アイドルマスター1話『これからが彼女たちのはじまり』より

 一方で、この話で美希はこうも言っている。

辛いこととか苦しいこととかあっても、それでもワクワクしたり、ドキドキするようなことをしたいって、そう思うようになったの。

アニメ・アイドルマスター12話『一方通行の終着点』

 アイドルという手段を受け入れて、その中でワクワクやドキドキを得たい、つまりは『キラキラしたい』と思うようになる。春香のような拘りはなくても、アイドルを通して自分が欲したものを手に入れたい。そういう想いが根底にある子なのだなぁと改めて思った。
 そしてアニマスは、そう願ったアイドルの姿を、最上の形で描くことに成功する。

第13話:そして、彼女たちはきらめくステージへ

・1クール目の集大成と言ってふさわしいライブ回。当たり前のことなんですが、ライブを描くにあたって実際にセットリストがあって、実際にハプニングがあって、それを乗り越えてすごいライブシーンがあるって、ほんとうにすごいですね。感動した。
・何よりエンディングの入りが良い。『i』のイントロ、駆け付ける竜宮小町、そしてタイトル表示。『そして、彼女たちはきらめくステージへ』という言葉が真実であることを確かめた上で示されるのだからたまらない。
・しかし改めて見ると、途中までの絶望感が凄まじい。竜宮小町メインのライブに竜宮小町がいないのは、普通に考えると中止にしたっておかしくない。それでもライブを行って、竜宮小町のサイリウムばかりが光る中で、アイドルたちは歌い踊る。再起のきっかけとなった美希の『マリオネットの心』ですら、彼女のパーソナルカラーはステージにほぼない。多分サイリウムすら売ってなかったのではないか。まぁそういうライブだったからこそ、『自分REST@RT』では賞賛のようなオレンジが光り、この曲の象徴となったのだけれど。

第01話~13話総評

・思った以上に昔話を振り返られなかったし、ミリアニのことについても書いていない。今のところ『39人がどれだけの頻度で出演するのか』という疑問を、現実的にどう解決するのか気になるくらいか。こういうのは期待してもキリないし。ティザーPVを見る限り、全員を出すという気概を感じてはいるから、そこまで不安でもない。

・ミリオンライブ! ほんとうにアニメになるんだな……。
・さてアニマス1クール目の総括である。途中でも書いたが、1クール目の構成というのは、前半は売れていない13人、後半は売れた3人とそれに追いつこうとする10人、そして13話目には13人が同じところ(きらめくステージ)に並び立つまでが描かれた。やっぱり物語として、13人をずっと同じ立場にしなかったことで、竜宮小町のライブシーンを先に描けたし、それに触発されるメンバーと、それになりたいと思う美希という形で、全体の物語が作れたように思う。
・ミリアニだったら、例えば田中琴葉・島原エレナ・所恵美からなるユニットが先に登場して、物語を牽引するっていうのはどうでしょうか。どうでしょうか。
・実際39人も居れば尚更売れ方の差異というか、活躍する場所の差異はあるんだと思う。劇場という場所が有名になっていくだけじゃなくて、それ以外の場所で既に成功しているアイドルがいて……という大筋なのではないか。
・見返して改めて思うのは、記憶以上に星井美希に焦点が当てられていて、ここ1~2年で彼女のことを好きになったような気がしていたのだけれど、過去からずっと注視していたのだろう。まぁアニマスで一番好きな星井美希ちゃんは劇場版のとあるシーンなのだけれど。詳細はその時に。
・構造や絵に対して大きな気付きはなかったものの、美希がアイドルを手段としていることや、12話のサイリウムといったような、細かい気付きはあったので、見返して良かったと思う。やっぱりこのアニメが好きだし、好きということの指標にすらなっていることを再認識した。
・でも2クール目ってあんまり好きじゃないというか、好きじゃないやつが好きじゃないことを言ったりやったりするので苦手ですね。まぁその辺も含めて書いていく。