榊をめぐる出来事
当院にささやかな神棚があります。
米、水、塩、榊の水、は毎朝、お神酒は月初と旗日に取りかえます。
榊自体はひと月に一回取りかえます。
自宅からちょっと足をのばしたところにあるスーパーの生花コーナーで、
国産の立派な榊が売られています。
神棚に奉るにあたって、やはり国産にこだわりたい。
見て回ったのですが、他のスーパーでは国産のものがおいていません。
日本産と他国産のものとでは、見た目があきらかに違います。パワーが違うというか、「生き」が違うというか。
その分、値段も日本産のもののほうが少々高いのですが、日本産のほうが長持ちするので、結局は日本産のほうがお得です。
だからお供えする榊は日本産のものと決めていて、売り切れないよう、入荷日からなるべく日を空けずに、買いに行くようにしていました。
が、今回、月初(8月2日)にして、すでに売り切れ。
ガーン、
どうしたものか。
他国産のもので我慢するか。
帰り道、そのスーパーの前の道が混んでいたので、いつものなら右折するところを左折しました。ほとんど通ったことのない道です。
すると花屋らしき建物発見。
あれっ、こんなところに、花屋?
とりあえず行ってみるか、ダメ元。
入口のドアを開けたら、年の頃60~80代とおぼしきお姉さま方3人が井戸端会議中。二人は店の方で、一人は馴染みのお客さんのようです。
榊が置いてあるかを尋ねたところ、
「国産のものでよければあります。値段はちょっと高くなるけど」
「国産でいいです、というか国産のほうがいいです。結局、国産のほうがお得ですよね」
「そう、そう、そうなんですよ」と店員さん(若いほう)。
「それと神棚に供えるのに、日本産のほうが気持ちがいいです」と私(上田)
すると、お客さん(だと思う)の人が横から、
「すばらしい。私と同じだ。毎日、お水取りかえています?」
「ええ、取りかえています」
もう一人の店員の方(年配の方ほう)が
「あたしなんか、こうやのしろばかまだよ」とのこと。
こうやのしろばかま、って何だっけな、聞いたことあるな。
帰宅して、さっそく古いものと取りかえました。
当院のささやかな神棚には少々立派過ぎるような気もしますが、天照皇大神をはじめとする神様たちは、いつもにも増して、喜んでくれていることでしょう。
読んでくれてありがとうございます。
一旦はあきらめたものが、ひょんなことから手に入れることができました。
ものがものだけにね、なんかね、うれしいですね。
「こうや(紺屋)のしろばかま」とは、紺屋(染物職人)が自分の袴は染めないで、いつも白袴をはいていること。自分自身のことには手が回らないことのたとえ、だそうです。