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コーヒー共和国誕生1周年特別企画!共和国のこれまでとこれから〜井崎英典インタビュー✴︎後編


井崎英典主催のオンラインサロン「コーヒー共和国」がついに1周年を迎えました!

今回は1周年記念企画の1つ、zoomで行われた井崎氏のスペシャルインタビューの後半をお届けします。

ボリュームたっぷり、初出し情報有り!のインタビューが今回で完結です!

「人と比べてもしょうがない」自分が何をしたいか?

関口:井崎さんにも「とんでもない付加価値のあるコーヒー屋をやる」といったビジョンもあるんですか?

井崎:あります。ありますよ。それはちゃんとやらないといけないかなと。自分の刃が最近欠けてきたかなというね……最近考えますね。やっぱりライブでアウトプットしないとダメだなと思いました。自分のクリエイティビティを最大限にぶっ込む場所がないとダメかなという気はしていて、その方向で動きたいと思っています。

関口:貴重な情報ですね、ありがとうございます。

井崎:僕と同じようなスキル持った人いっぱいいるじゃないですか。ですから僕が最初前に出たとしても、将来的にはフィクサー(黒幕)でいいと思っているんですね。

ササが言ってくれているんですよ。「ヒデの最も優れている所は、人の能力を100%引き出すこと」って。自分でも本当にそうだなと思います。

自分が前に出るよりは人を引き立てる。自分が前に出るのも当然好きなんですけども、それよりもスキルを持った人が100%活躍できる場所を作ることが好きなんですね。頑張った人たちが報われる。そういった場所を作らないとダメでしょう。

すごい人はいっぱいいるじゃないですか。でもエスプレッソドリンクを500円とかで売っている…結局、前例を打ち破る場所がないとダメだろうという想いもあって。

関口:ありがとうございます。すいません…なんかもう痺れました。風穴を開けていくんだなっていう。感動しました。本当に。

井崎:こういうことをいうと「偉そうだな、あいつ」って言われるから、いつもコッソリ発言してるんですが…

(共和国民)高橋:えー!これは書いちゃダメなんですか?

井崎:いや、いいですよ笑

関口:様々な媒体で井崎さんの記事を読みました。井崎さんは「自分は他の誰でもない」と思うようになってから、外野の声は気にしなくなったと。

井崎:そうですね。みんなそう。人と比べても意味ないですよ。結局自分のやらなければならないこと、つまり「なぜ自分がコーヒーをやっているのか」「なぜこの職種を選んでやっているのか」「今できることは何か」って考えを突き詰めていくと、人と比べてもしょうがない。比べると苦しいですよね。

バリスタの価値は何か?

高橋:単純な興味からの質問です。話題が少し戻りますが、コロナ禍で「バリスタの価値について改めて考えて悲しい気持ちになった」と仰っていましたが、それはコロナがきっかけだったのでしょうか。もしくはコロナ前から井崎さんの中で考えていたことだったのですか?

井崎:えーと…元々ありましたね。課題感としてあったものが、よりはっきり浮かび上がりました。

飲食業界ではFLコストという言葉があります。「原材料費と人件費」ですね。原価と人件費のコントロールが飲食店をやる上で非常に重要なんですけど、えも言えないもどかしさがあります。

僕は(店に立ってはいませんが)バリスタです。今も自分をバリスタと思っています。なぜなら、僕はバリスタという仕事がコーヒーを作るだけの仕事とは思っていないからです。バリスタという仕事はコーヒーを編集する仕事だと思っています。

その意味で、バリスタという仕事は、まだまだ可能性があると考えますし、僕たちのミッションはバリスタの仕事の役割を拡張していく事だとも。

バリスタの仕事についての疑問は以前からあったんです。※某百貨店でコーヒーのイベントやったじゃないですか?曽根さん来てました?

(共和国民)曽根:はい、行ってました。

井崎:1日800杯作ったんですよ。あの時から思っていました。「何で僕のコーヒーが同じ価格なわけ?」と。

曽根:世界チャンピオンになられた直後でしたよね?

井崎:直後ですよ。

曽根:そんな方が今(百貨店の催事の場に)目の前にいていいの?! って私も思いました。

井崎:2014年です。当時からバリスタという職業の在り方に疑問を感じていました。だから僕は、(独立した時に)店舗の経営を選ばなかった。自分自身がバリスタという職業を通して、キチッと収益を上げられるということをまず、証明しないといけないと思ったからです。そのためには、設備投資をせず、粗利益100%の仕事をするべきだと。

加えて、色々なビジョンがある中で、コンサルタントという仕事をやるべきだとも気づきました。「なぜあらゆるバリスタの作るエスプレッソの価格が一緒なのか」を突き詰めていくと、原価起点だからです。原価がこれくらいなので価格はこうしよう、という。

「ゲイシャが出たから付加価値を上げられた」みたいなことを言う人がいますが、大きな間違いです。構造的に変わっていないですから。原価率起点で考えているでしょう?それを付加価値って呼びます?  僕は呼ばないと思いますし、本当の付加価値は人から生まれてくるものだとも思います。だから、もっと人にフォーカスしたような業態やプレゼンテーションがすごく重要になってくると考えます。

関口:美容師の業界でも同じようなことを聞きます。差はあれど、やはり日本の美容師の仕事の対価は低いと。例えば香港あたりでは、経営者がカットする場合などは30万する場合も。マンツーマンで1~2時間、彼の時間を独り占めできることで、経営の話を含めどんな話も聞くことができるから実はセミナーに行くよりも安い。しかも1対1で語れる。それを付加価値とみなして払う客がいると聞きました。

であれば、今お聞きして思ったのがバリスタもまさに1対1で独り占めできる空間でなんかこう楽しむ空間があればきっとそれってまさに井崎さんがおっしゃていたように人に紐づいてすごいバリューのコーヒーになっていくのでしょうね。

井崎:オンラインサロンの長所を改めて感じる流れですね。コーヒー業界だけだとこんな話にならないから。終始「この前のゲイシャめっちゃ美味しかったよねー」みたいな(笑)。それも大事ですが、それだけでは付加価値は作れないので…本当に素晴らしいメンバーの方々に集まっていただいて恐縮です。

コーヒーは「きっかけ」で、その先の目的を考える

関口:では最後に、ぜひ未来の共和国メンバーに一言お願いします。

井崎:最初の話に戻りますが、多様な人がコーヒーという共通項をもとに仲良く集まって、自分たちのやりたいことを実現できる場にしたいと思っているんですね。

だからこそ各メンバーのアウトプットの量と質が非常に重要です。コーヒーを通じて何かやってみたいと思ってもらえることが大事。逆にコーヒー全くわからないけど、コーヒーって素敵だなって思っている方も気兼ねなく入ってきて欲しい。メンバーが増えればやれることも増えてくるんじゃないかなと感じています。

コーヒーを通して、一緒に素晴らしい未来を作りましょう、と。すいません、ざっくりしていますね笑

曽根:私は井崎さんのセリフを聞きながらそういう多様性を持った人たちが興味を持ってなんか覗きにきてくれたり入ってくるきっかけを作れるようなSNS発信をしていかないといけないなって思いました。コーヒーはツール、きっかけなだけで。

井崎:そうそう、まさにそこ。そこですね。コーヒーが目的になっちゃダメなんですよ。コーヒーというツール、もしくはきっかけを通して、自分のやりたいことをやり自己実現をする場であるっていうことです。

だからコーヒーが1つのチャネルに過ぎないと見れば、もっとコーヒーも俯瞰的にみることができ、結果もっと楽しいことが沢山できるようになるんじゃないかな。

関口:井崎さんの好きなコーヒー屋さんやカフェはありますか?

井崎:家のそばにあったら嬉しいコーヒー屋、近所にあったらいいよねっていうコーヒー屋が欲しいということはやっぱり思います。

この前二子玉川の Let It Be Coffee さん行ったんですが、いいですよね。お店の2人に会いに行くようなものでしょ?コーヒーが美味しい店はいっぱいある。でも、僕はやっぱりコーヒーはきっかけ、ツールに過ぎないって思っています。コーヒーってただの言い訳なんですよ。実際はあの人たちに会いたいから行く、みたいな。お店賑わっていましたが、あの笑顔でいれてもらえばうまいに決まってる。最高ですよね。

同じようなお店が、イタリアにある僕の大好きなコーヒーショップ、Ditta Artigianaleです。行くと”Hide, bongiorno!”って言って0.5秒でエスプレッソ出てくる。その次に僕フィルター飲むんですが、それも何も言わなくても用意してくれる。そして”Ciao Hide,”って言って、また次の日行く、みたいな。そんな店が近所にあったら本当に最高。

そう思えるお店って実は少ないんです。「いらっしゃいませー」みたいなのいらないんですよ。パリパリされても困るし……「この人に会いたいって思える店」は少ないな。

大阪のメルさん(Mel Coffee Roasters)も好きなんです。大阪っていいなって思うのは、フレンドリーなところ。メルさんもリロさん(LiLo Coffee Roasters)もですが、人に会いに行くみたいなもんじゃないですか。リロさんはたくさんスタッフいますが、それぞれ個性がある。とてもいい教育されてますね。メルさんも素敵ですし。人によってやっぱ変わるよね。雰囲気も。コーヒーってほんと1つのチャネルに過ぎないと思うんです。皆さんはどうですか?

曽根:ロックダウンを経て、まさに店に行く時には人に会いに行ってます。

井崎さん:この前マクドナルドのドライブスルーでプレミアムアイスコーヒー、ローストコーヒー、ラテを全部飲んだんですよ。

一同:おお!

井崎:結論いうとね、普通にうまいんですね。100円ですよ。で、セブン行くと、これまた普通にうまいんですよ、100円コーヒー。100円で十分なんです。つまりコーヒーを目的にしてしまうと、もう弱いと思うんですね。

よく言うじゃないですか、外食産業はコンビニにできないことやれと。その点で今のコーヒー業界のビジネスモデルは、コンビニができることしかやってない。

逆説的ですが、もっと労働集約的にアプローチしないとダメだと思います。人にフォーカスしていかないと。だから人に魅力がある店に惹かれます。

関口:人が軸っていうところがいいですね。

井崎:人じゃないですかやっぱり。 人に会いに行きませんか?

関口:僕は福岡にいる時はついMANLY COFFEEに行っちゃうんですよね。

井崎:MANLYの須永さんはみんなのママ!癒されるんですよね。

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コーヒーを通して実現したい「ビジョン」は何か?

曽根:わかってきちゃいました。確かに形だけだな~。よく教育されていますねーという。バリスタを目指す人たちも、人が好きじゃないと。

井崎:「コーヒーで人を幸せにしたい」って思える人がどのくらいいるんだろう?と思うんですね。

うちの親父がいいことを言っていました。「お前は100円のコーヒーで出来ている」と。たかが100円、されど100円の積み重ねで、お前の生活があると言われたんですよ。まさにその通りです。その積み重ねで今の自分がある。

「ただコーヒーが好き」っていう人は今後難しいと思うんですね。コーヒーを、やっぱりプロとして、プロフェッショナルレベルで好きでないと。そのためにはどんどんインプット、どんどん学ばないとダメです。

残念ながら、既存の日本のバリスタたちは学ばない。なぜわかるかといえば、僕は※バリスタハッスル等、学ぶ場を提供しているので。

「偉そうなこと言ってるけど勉強してない」なんてザラです。「コーヒーをいれている自分が好き」って人多いんですよ。それじゃプロとしてダメでしょう。

今後は「コーヒーを通して何をしたいのか」ビジョンを持っている人が強いと思う。それが何であろうとかまわないんです。

曽根:なんであろうと「何か」がないとダメってことですよね?

井崎:僕はそうだと思っています。例えば、ササがやろうとしていることはイノベイティブな生産処理開発です。結果、素晴らしいフレーバーのコーヒーを作り、対価としてそのコミュニティにお金が回る仕組みを作る。消費者も生産者も幸せな社会を作ることが彼の目的です。

明確なビジョンがある彼に、他のプレーヤーが勝てるわけがありません。ただ「カッコイイ自分」のためにコーヒーをいれている人と、誰かのためにコーヒーをいれている人の違いです。

だから僕は、もっと考えた方がいいと思う。答えがないってことは絶対ない。僕自身がそうだったからよくわかります。それは考えてないだけなんですよ。

追い込まれてちゃんと考える、自分はなぜコーヒーをいれているのか考える。「なぜか」「どうしてか」を考えた方がいいですし、自分自身もそうあり続けたいと思っています。

一同:ありがとうございました!


井崎英典:

1990年生まれ。福岡県出身。高校中退後、父が経営するハニー珈琲を手伝いながらバリスタに。法政大学国際文化学部への入学を機に、(株)丸山珈琲に入社。2012年に史上最年少にてジャパンバリスタチャンピオンシップにて優勝し、2連覇を成し遂げた後、2014年のワールドバリスタチャンピオンシップにてアジア人初の世界チャンピオンとなる。現在はコンサルタントとしてグローバルに活動を続け、年間200日以上を海外で過ごしつつ、コーヒーエヴァンジェリストとして啓発活動を行なっている。

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関口照輝:

大学卒業後、株式会社ユニクロに新卒入社。その後、株式会社リクルートライフスタイルにて、飲食事業領域を担当。2016年、ラーメン専門店「一風堂」などを展開する株式会社力の源ホールディングスに入社し、採用・教育責任者として、グローバル採用や、大学での非常勤講師、領域を横断した企画などに従事。2020年3月に独立。現在は、人事領域やデザイン、ブランディング業務を行っている。
趣味は「一杯のコーヒーと共に過ごす時間を楽しむこと」。

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