産地の標高を知ると、コーヒーの何が分かるのか。

コーヒーの専門店でコーヒー豆を買うとき、商品パッケージに産地の標高が記載されていることがあります。これはいったい何のためでしょうか。標高を知るとそのコーヒーの何が分かるのか、ということについて考えてみます。

最初に結論のような話になりますが、コーヒー豆は標高が高いほど、品質が良いとされています。つまり標高が高くなるにつれコーヒー豆の格付けも上がり、値段が高くなる傾向にあるということです。

なぜ高地で栽培された豆ほど品質が良いと評価されるのでしょうか。
それは標高の高い地域の方が昼と夜の寒暖差が大きくなるため、コーヒーチェリーの種子が硬く締まって、味が凝縮されるからといわれています。

コーヒー豆は果実が赤く熟した頃に収穫されます。寒冷な高地では、低地に比べて実が赤く生育するまでに時間がかかるため、より栄養を蓄えた種子になります。それは風味が豊かなコーヒーの生豆になることを意味します。そのため高地ほど品質の良いコーヒー豆になるといわれているのです。

さて実際の生産国では、どれくらいの標高でコーヒーが栽培されているのでしょうか。私のお店「那須コーヒーパルキ」で扱っているコーヒー豆で、産地の標高を見てみます。

• ブラジル　約700m〜1100m

• コロンビア　約1600m〜1850m

• コスタリカ　約1400m〜1700m

• エチオピア　約1800m〜2000m

• ペルー　1500m〜1850m

• インドネシア　1100m〜1400m

ふだんコーヒーの生豆を仕入れている私の感覚では、1000m以下の産地だと標高があまり高くない印象があります。また、一般的に標高が高いほど質の良い酸味があり、低地ほど酸味は抑えめになるので、標高の低い産地だと酸味よりも苦味を出しやすいコーヒーかなと考えたりします。

コーヒー豆の格付けは評価基準が国によって違います。欠点豆の数でグレードを決めている国もあれば、豆の粒の大きさで決めている国もあります。

そのうち今回のテーマである、標高によってコーヒー豆のグレードを決めている生産国を見てみます。上からグレードの高い順に評価されています。

【グァテマラ】
１等級　SHB（ストリクトリー・ハードビーンズ）　標高1350m以上
２等級　HB（ハード・ビーンズ）　標高1200m〜1349m
３等級　SH（セミ・ハード・ビーンズ）　標高1050〜1199m

このように標高が下がっていき、全部で７等級までグレードが分かれています。文字に表記されているとおり、ハード・ビーンズ（硬い豆）であることが標高の高さと品質の良さを表していることが分かります。

また、矛盾するようですが、私は標高が高いコーヒーの方が低いコーヒーよりも美味しい、ということがいいたいわけではありません。
もちろん品質の評価が良いことはコーヒーの美味しさを担保するかもしれません。

ただ、酸味のあるコーヒーが好きな人もいれば、苦いコーヒーが好きな人もいるように、美味しさは標高の高低差だけで決められない部分もあると思います。

たとえばある生産地域で、Aという農園がB農園よりも標高の低いところでコーヒー豆を栽培していたとします。B農園よりも標高は低いですが、A農園は地形的に日照時間と降雨量のバランス、土壌の質がユニークな立地なので良質で個性的な豆ができるとしたらどうでしょう。単純に標高の高低差だけで美味しさを判定できないのではないでしょうか。

私が標高の高い産地のコーヒーを飲んでみて感じることは、上品でクリーンな味わいの印象です。爽やかな酸味からそう感じるのかもしれません。

今回は産地の標高のお話しでしたが、いかがでしたか。コーヒー豆は意外と標高の高い土地で作られていると思いませんか。商品パッケージに標高1500mと書かれた農園の豆をみたら、シンプルに美味しいコーヒー豆かも、と思って頂けたらいいなと思います。

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