僕の好きなミュージシャン① Bob Dylan
僕がボブ・ディランを聴き始めたのは、大好きなブルーハーツの影響でビートルズやストーンズなどの60年代音楽に興味を持った中3の頃だったと思う。
確か、当時ショッピングセンターのワゴンセールとかによくあった「ベスト・アーティスト・シリーズ」などのタイトルが付いた、日本独自編集の得体の知れない1000円CDを購入したのだ。
ディランの他にもサム・クックやジミヘンやキンクスなどもあったあの手のCD、これらの音源って90年代初頭にはまだパブリックドメインでは全然無かったはずなのに、どういうことなんだろう?
それはさておき、収録されていた曲は「Like A Rolling Stone」「Mr.Tambourine Man」「Just Like A Woman」「Positively Fourth Street」など、悪くなかった(音は悪いけど)。というよりも、選曲は傑作ベスト盤『Bob Dylan's Greatest Hits』とほぼ同内容なので当然なのだが。
その後「Blowin' In The Wind」が収録された『The Freewheelin' Bob Dylan』のCDを購入。
「ボブ・ディランは歌詞が凄い」という評判を聞き及んで、やたらと文字数の多い中村とうよう著のライナーノートをクリアケースの下敷きに入れて、学校で一生懸命読んでいた覚えがある。
2016年にノーベル文学賞を受賞してしまうほどに奥妙な歌詞が評価されて、ロックにおけるメッセージの重要性を証明し続けてきたディラン。
しかし日本人である僕は、歌を聴く限り歌詞の意味など正確に理解できない。
普段聴きするにあたっては、わざわざライナーの対訳を読みながら聴くわけではないから当然ではあるが、それでも普段からレコードやiPhoneでディランの名盤はよく聴く。
ということは、僕はディランの音楽家の面が好きなのだろう。
彼は偉大な詩人である前に、優れたメロディーメーカーでありシンガーなのだ。
60年代から現代に至るまでリリースされ続けている傑作の数々には、切なくて時にポップなメロディーと、アメリカン・ルーツ・ミュージックに根ざした音作りの素晴らしい名曲がぎっしりと詰まっている。
件のノーベル賞をリリースした翌年の2017年には、全曲アメリカのスタンダード・ナンバーのカバーで構成された3枚組『Triplicate』をリリースした事実も「俺はただの歌うたいさ」と暗に言っているようで、なんだか痛快である。
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