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僕の友達ミュージシャン① アジマカズキ / すぱっつ


アジマカズキ - 2022年12月18日 名古屋市吹上・鑪ら場「コーヒーもう一杯 vol.18」にて
撮影・松波宏尚

Biography

2000年代後期からDJとして音楽活動を開始。
2010年にバンド・すぱっつを結成し、徐々にオリジナル曲を増やす。
バンドと並行してソロでの弾き語りを始め、名古屋を拠点に精力的にライブ活動を展開中。
2022年10月に1stソロアルバム「みちくさ音楽」をリリース。

新・旧のロックの深い造詣と文学的な歌詞による魅力的なオリジナル楽曲と、その飾らない人柄の良さで、地元・名古屋の多くのミュージシャンや音楽好きに慕われている。

去年(2022年)リリースされたアジマカズキ君のソロアルバム「みちくさ音楽」のリリース・イベントがこの1月で佳境を迎え、いよいよ今週末1月22日に東別院の「はな咲」で、FryingDoctor岩田ゆいこさんをゲストに迎えたライブで千秋楽となる。

その1週間後、リリース・イベント2回以上の来場者向け無料ライブが、僕のイベント「コーヒーもう一杯」の拠点でもある新栄ローリングマンで行われるが、そこで僕はDJを担当することになった。
彼からは選曲のテーマを与えられているのだが、それは「アジマカズキが好きそうな曲」ということらしい。
さて、どうしたものか。

僕がアジマ君と初めて知り合ったのは、彼がDJの「dojou」としてロック系DJイベントにレギュラーで出演していた2010年頃だ。
知り合ったと言っても、ほんの挨拶程度の会話を交わしたに過ぎない。いや、正直なところ会話を交わしたことすら覚えていないが、お互いを認識していたことだけは確かだ。
その辺の話はここで詳しく話してあるので省略するが、そんな程度の関係なので、当然ながら彼が自分で歌を作って歌っていることは再会するまで全く知らなかった。

アジマカズキ(左)と筆者(右) - 2020年9月19日 新栄ローリングマン「コーヒーもう一杯 vol.7」
撮影・松波宏尚

18年の秋に彼と再び知り合い、数日後に初めて彼のライブを観た。
大柄のベーシスト(すぱっつの本田祥)と2人でのステージは、とぼけたようなMCを挟んで終始ゆるい雰囲気だったが、楽曲のクオリティは思いのほか高かった。
クオリティが高い、というよりは単に僕の肌に合う、と言ったほうが良いのかもしれない。
本当に心から音楽が好きな人が作った楽曲、という感じがした。そういう曲は得てして玄人好みのわかりにくいものになりそうだが、彼の曲が素晴らしいのはそのへんの敷居が思いっきり低いことである。小学生でもご老人でも楽しい気分にさせたりジーンとさせたりすることができるくらい、彼の楽曲はわかりやすい。
それでいて、文学の香りがする歌詞には彼の性根が表れていて、結構ネガティブだったりするところが、また一段と味わい深いのだ。

そのライブの日に、彼のバンド「すぱっつ」のCDも買ってみた。
彼がスピッツのファンで「さざなみDJ」というイベントをやっていることは最初に知り合った当時から知っていて、「すぱっつ」というスピッツのコピーバンドを組んでいることも、SNSのどこかで見かけた。
だからCDの収録曲が全曲オリジナルと知って、興味が湧いたのだ。
家に帰って聴いてみると、そのクオリティの高さにまたまた驚かされた。
初期スピッツ特有の端正ながらもトボけたポップ感と、彼らが敬愛する"たま"の飄々とした不思議な雰囲気が、ここでは見事に融合している。
古本屋で見つけた色あせた昔の漫画本のような、ノスタルジックなポップ・ミュージックが詰まった名盤だと、僕は思う。

あと、1曲目「朝」のサビにおけるアジマ君の高い声はなんとなく草野マサムネのヴォーカルを連想してしまうのだが、これを言うと彼は「恐れ多い」と嫌がるので、程々にしておこう。

以上のことを踏まえながら僕が連想するのは、英国ロックの粋人、ニック・ロウだ。

Nick Lowe

メチャクチャ音楽に精通しながらも、誰でも楽しめる親しみやすいポップ・ロックを作り続けているところや、どこかトボけた雰囲気を携えているあたり。
ついでに言えば、長身で彫りの深い顔立ちだけどふわっとした雰囲気なんかも。
僕は密かに彼のことを「名古屋のニック・ロウ」と呼んでいる。

それから、彼と僕を繋いだものはボブ・ディランの「コーヒーもう一杯」ではあるけど、もう一つ大事なものがある。
ツイッターの僕のアイコンは冴えない漫画家のイラストで「フーテン」という70年代漫画の主人公。

永島慎二「フーテン」 僕のツイッターアイコンは上段の中年男性

彼がこれに反応して「こういうのも好きなんですね!」と嬉しそうにメッセージをくれたものだ。
これは僕も嬉しかったので、ここに付け加えておく。


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