「MIU404」が終わっても、私はメロンパンを食べる
今日は恐れていた「MIU404」の無い金曜日初回。シーズン2まだかな。あ、心の声が出てしまった。
最終回から1週間経ち、未だに余韻とロスが抜けません。しかも手が滑って公式グッズのMIUジャンパー買ってしまった。人生で初めてや、バンド以外の公式グッズを買うなんて。クソが。(どっぷり沼)
前回のMIUと感電の考察記事、大きな反響をいただいておりまして、数ある考察記事からお読みくださった方ありがとうございます。
これだけ書いてまだ書ききれないことがたくさんあり、番外編として登場人物にフォーカスして書いておきたい。
信頼する心を取り戻した志摩
ランドセルを背負ったこどもたちに手を振るシーン、ゆたかと無邪気に遊ぶシーン、ツブッターの読み順を指摘し伊吹と陣馬さんに混じって九重の頭をなでなでしたシーン、クールな男が可愛らしさを見せたギャップに、我々乙女の心を持つものはきゅるきゅるしてしまう。
そんなことは置いといて、志摩は時折「疑うのが刑事の仕事」「信じたのが悪かった」など、事実や真実を見つけるまで疑い続け、1つのミスが起これば自分を責めてしまう。
志摩だって最初から何もかも信じない人間ではなかったはずなのだ。
香坂以外に、何かあったのだろうと、痛くても過去を掘りたくなる。志摩も"お前たちの物語にはならないとか"言いそうだが。
でも、伊吹と組んでから少しづつ変わった。ゆっくり蕾が咲くように。
🥃
志摩、トラウマ克服してまたウイスキー呑めるようになるといいな。
伊吹のサングラスとファッション
刑事なのになんだそのサングラスはだの、サングラスかっこいいだの、年中かけてる色付きのサングラスに、可哀想なくらい誰からも突っ込まれない。
伊吹は車オタクでは無さそうなのにエンジン音を聞き分けたり、馬鹿なのに2話のお母さんや青池など表情で何か訴えたい心情を読み取ったり、根は真面目だから絶対に薬に手をつていないはずなのに嗅覚で違法薬物を見抜いたり、とにかく五感が鋭い。
その鋭すぎる五感をサングラスをかけることにより視覚からの情報を軽減していた。もしくは、サングラスで視覚からの情報を調整し、嗅覚などに感覚をむけていたのかもしれない。
BUMPの藤くんや柴咲コウが視力が悪いのに普段眼鏡をかけない理由として見えすぎるから、人見知りだからというエピソードは有名だ。
伊吹も同じ理論だと思う。
👓
作中の伊吹は警察らしからぬラフな格好。ブラックモード系が好きな私だが、伊吹のシンプルストリート系に限り、性癖に刺さっている。
大体伊吹はオールホワイトコーデか、オールブラックコーデ、たまに赤や黒などのチェックのシャツを着ている。
もしかして、パトカーの白黒?赤はパトランプ?
🚨🚓
スパイダー糸巻
SNSや防犯カメラ、WEBからの情報収集を得意としている糸巻。
登場人物としては大きな話題を呼ばなかったが、ストーリーの精巧さに溶け込んていた名脇役であり、影で404を支える最重要人物だ。
現場で任務しているわけではないので犯人逮捕に目立っていたわけではないが、ネットや防犯カメラを収集し、犯人逮捕の一歩を踏み出させるための証拠をかき集めて現場を動かした功績は非常に大きい。
🕷🕸
新人九重の成長
仕事を始めれば誰からも教えてもらい、後輩が入れば育てたり、誰もが経験あると思う。
ストーリーの前半はゆとり特有の雑談の省きや「フインキ」を「フンイキ」と正したり、失敗や間違いなど絶対に許さなかった完璧主義の九重だったが、4機捜に異動し陣馬さんの下についたことで、仕事の用語から人生観など様々なことを教えてもらった。
九重が心を許したと思ったのは5話、強盗犯を追っているときに志摩伊吹ペアに連絡したときだ。
九重「隠語みたいなもんだい!強盗を集める気はなかとですよ !...やったばい。」
福岡出身の九重、地方出身のものが上京したら大体共通語を話す。方言を話すときは主に気が抜けたとき=信頼を置いている。
最終回、志摩と伊吹の愛車のメロンパン号で迎えにきて、着替えや変えの靴など持ってくるなど気がきき、「行きますよ、バカふたり」の掛け声で車を走らせた。
異動当初プライドの高い九重は、上司の判断なしにあの派手な車に自ら一人で乗れただろうか、歳上に”ばか”なんて言えただろうか。
九重の真っ直ぐ育った成長っぷりにも、目が離せなかった。
🧑✈️🚗
九ちゃんの運転姿、良かったな。
陣馬さんというベテランの安心感
どの会社にも組織にもベテランがいて、陣馬さんは勤続35年ベテラン刑事とプライベートは2人の子供を持つ父親という2つの顔を持ち、焼酎はお湯割り、趣味は料理(ほぼうどん)と言ったザ・安心感のある存在だ。
部下の九重が突然異動辞令が出たとき、陣馬さんは部下の話をしっかり聞いた。
そんな陣馬さんの言葉は、深みと温かみがある。
「間違いも失敗を言えるようになれ」は、心に刻みたい。
陣馬さんみたいな上司がいたら良いなあ。
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当たり前を取り戻したハムちゃん
賭博の主犯であったエトリから身を隠し、外に出るときは必ずいつもストールを巻いて怯えるように顔を隠していた。
最終回でエトリは殺され、もう逃げる理由はない。
ようやく再就職も決まり、堂々と外食できるようになった。日常という当たり前を取り戻したハムちゃん、井戸に落とされて九死に一生を得たハムちゃん、家族のように大切にしてくれる桔梗さんの言葉に、思わず泣き出してしまっても無理がない。
📛
桔梗ゆづるという社会における女性像
紅一点の才色兼備。
そんな桔梗隊長は、キャリアウーマンでシングルマザー。
野木先生が伝えたい社会における女性像を、桔梗さんに託したのかもしれない。
美人な女性は上司に気に入られたから出世したのが?シングルマザーは父親がいなくて可哀想か?私はそうは思わなかった。
🤱👮🏻
成川岳と鈴鹿央士のスイッチ
成川岳演じる鈴鹿央士の芸能界入りのきっかけは、女優・広瀬すずのスカウトと異例である。
成川のスイッチは久住、鈴鹿央士のスイッチは広瀬すず。
歩んで行った道も過去も対照的だが、スイッチになった人間の影響力の強さは役と重なる。キャスティングも隙が無いと思った。
👟
自分のしたことが自分に返ってきたYouTuber・Rec
注目の若手俳優・渡邊圭祐演じるYouTuber特派員Rec。着物にロン毛、整った顔立ち、異質な存在感を放った。
事件が起これば警察と同じスピードで駆けつけ、事件をピックアップし、動画サイトに投稿している。
だがデマの投稿をして志摩と伊吹に見つかり、直後久住の仕業によりパソコンが乗っ取られ、自らのアカウントで爆破テロを予告されてしまった。
そして爆破テロを予告したという嘘の噂が拡散された上に、エゴサをすれば批判の嵐、Recの本名が特定されネットに晒されてしまった。
志摩は自業自得だということをこう伝えた「今まであなたが晒してきた人も、そうだったのかもしれませんね」と。
"あなたが晒してきた人"、バシリカ高校の生徒4人、ハムちゃん、伊吹、物語には登場しなかったその他大勢。
きっとRecも「自分は大丈夫だろう」と思ったのだろう。ネットで誹謗中傷している人間と同じレベルだ。
👘📷
久住とは一体何者だったのか
3話で菅田将暉が電撃登場、知名度人気実力の三拍子揃った菅田将暉が悪役であることは登場時点で分かる。
志摩に止血された時の久住、まるで常温で凍死したかのようだった。その絶望に支配された狂気の眼差しは恐ろしかった。菅田将暉だと分からなかった。久住だった。久住が絶望した瞬間だった。警察を弄んだり仲間を次々と増やして人生を間違っていた方向へ導いていた、へらへら生き生きとした久住とはまるっきり違って、亡霊だった。
「違法薬物ドーナツEPを製造していた住所氏名不詳の男を東京都内で逮捕」
例え久住がニュースになったら、こう報道するしかない。
"お前たちの物語にはならない"と言い残した久住。久住の消した過去とは、一体なんなのだろう。
"泥水に流されて" 津波?洪水?氾濫?
"不幸な生い立ち" 孤独児童?施設育ち?捨て子?
”幼少期の思い出” DV?存在するか分からない兄弟姉妹との比較?
"いじめられた過去" 暴力?器物損害?お前の席ねーから?
ゴミを捨てた理由や捨てられた過程は普通考えない。頭脳明晰なのに悪の方へその頭脳を使ってしまった久住の人生の背景は確かに気になるが、別に自らゴミと名乗る久住の過去を、深掘りしてしなくてもいいのではないかとも思い始めた。久住の罪は許されるものではないが、いいじゃないか、本人が言うなら、ゴミのままでも。
まあ何にしろ久住は答えない、久住は私たちの物語にはならないし、私たちが作る久住の物語も久住の目にどう写るかは一生分からない。
🍩🚢
あの人懐っこさなら、私も久住には騙されるだろうな。
もし志摩が綾野剛で、伊吹が菅田将暉で、久住が星野源だったら
見慣れたクールな綾野剛も見応えあるだろうし、ラフな服装が似合い運動神経よさそうな菅田将暉も適役だったと思うし、星野源の悪役も実在しそうでリアリティがあるし、名誉ある賞を何度も受賞した彼らの申し分ない演技力なら、きっと面白味も深さも違っていた。
どうにかして“生きさせる“志摩は、くも膜下出血を患い生死を彷徨った経験のある星野源しか演じられなかった。
俊足で憎めない人柄の伊吹は、人たらしで有名な綾野剛しか演じられなかった。
複数の顔を持つ卑怯な狂人久住は、変幻自在な菅田将暉にしか演じられなかった。
恋愛沙汰を徹底的に省いた
これが面白さの大きな要因だったと思う。
伊吹は志摩が隊長のことを好きだと仮定して勝手にキャッキャウフフしたり、女の子をみかければきゅるきゅるしたり、ハムちゃんに若干の下心を持っていたり、そんなのは伊吹の勝手だが、恋愛関係に発展することは全く無かった。
そういえば伊吹って胸キュンした時、きゅるきゅるって言うじゃん。大森靖子の曲に「きゅるきゅる」って曲あるんだよね、もしかして伊吹、大森靖子のファンなんじゃないかな。ていうかなんで誰も『伊吹、大森靖子のファン説』出さないの?
無理なこじつけは置いといて、ドラマや映画にありがちな恋愛的要素を省いたことによって、感情を消し事実だけに焦点をおいたストーリーにしたからこそ、視聴者に強い満足感をえられたのだと思う。
なぜうどんだったのか
陣馬さんの得意料理、機捜名物機捜うどん。ちなみに陣馬さんは、福岡うどんはコシがないので好きではない。
麺類ならそばでも、ラーメンでも、素麺でも良かったのでは?
制作者の誰かがうどんが大好きだからという単純な理由があってもいいと思った。
なぜメロンパンだったのか
パンの種類は全世界で5000種類以上あるのではないかと言われている。その中でなぜメロンパンを選んだのか。
制作者の誰かがメロンパンが大好きだからという単純な理由があってもいいと思った。
そして、私はMIU最終回当日、会社に行く前のセブンイレブンで朝ごはんにおにぎりではなく、思わずメロンパンを選んでしまった。
志摩「メロンジュース」
桔梗「404見てたら飲みたくなった」
見返していたら、桔梗隊長もメロントラップにかかっていた。
🍞🍈
なぜドーナツだったのか
私的3大ミスタードーナツはエンゼルクリーム、エンゼルフレンチ、ポンデリング。
「MIU404」最終回目前に菅田将暉がミスタードーナツのCMキャラクターに抜擢されたことが「合法ドーナツ」として大きな話題となった。
作中のドーナツはあのお菓子のドーナツではなく、トローチのような真ん中に穴のあいた違法薬物「ドーナツEP」。
制作者の誰かがドーナツが大好きだからという単純な理由があってもいいと思った。
...と言いたいが、ドーナツだけは伏線だったと思う。
作中に出てきた「穴が開いているもの」をかき集めてみた。
印象的なものはドーナツEPにはじまり、#110のゼロ、手錠、五円玉、新国立競技場。簡単に5つ集まった。2020年に出来なかったこと、それは...
愛もロスも思い出させてくれた
#MIU404イラスト企画 のタグでは次々とクオリティの高いMIU関連のイラストがアップされ、最終回当日は綾野剛と星野源がTBSを電波ジャック、当日の朝から「MIU404」がトレンド入りするなど、異例の賑わいを見せていた。
今までテレビを見ず何をしていたかと言えば、行き先はだいたいライブハウス、小さいところは20人も入らず、大きいところは東京ドームまで、ライブばかり言っていた。
半年もライブに行っていないから忘れていたけど、「MIU404」を見て画面越しに思い出したんだ。このツアーよかったなあ、あの日のライブよかったなあ、そう思い出に浸る感覚を。
〇
早速麻生久美子さんがロスになっていたり、まめじこと生瀬勝久さんは次回作ではレギュラー出演を希望しているし、出演者から視聴者へのロスも蔓延している。
しかも、あれだけの作品に出ている綾野剛が初めて役ロスになったらしい。
TKとのインタビューでは「自分の中ではマンションのようになっていて、役がそれぞれの部屋に住んでいる」と言っていた。今まではどの住人も管理できていた綾野剛マンションも、伊吹だけは彼の役マンションに「俺はこのマンションに住まないよ、じゃあね〜♪」と言って出て彼の心の外に行ってしまったのかも知れないね。
最終回が終わってもDVDの発売、オフショットを公開してくれる公式、菅田将暉や星野源のラジオ、出演者とスタッフのMIU愛に感電してしまった。
作品に対する愛も、思い出に浸る感覚も、忘れていた作品に対する感情を思い出させてくれた。ありがとう、「MIU404」。
続編への期待
他ドラマは最初から映画化含めてのシナリオだったりするが、「MIU404」は“面白かったから“だけの続編希望じゃない。
志摩伊吹ペアの快進撃、復帰した陣馬さん、署長になった桔梗さん、一人前になった九重、ゆたかの成長っぷり、強くなった4機捜を、もっともっと見たい。
TBSの偉い人とか、ドラマ担当のスタッフさんとか、この記事読んでくれないかな。
「MIU404シーズン2」、メロンパンを食べるたびに「MIU404」を思い出して、待ってます。