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「俺のバンド、カッコいいだろ?」BUMP OF CHICKEN/ツアーファイナル@東京ドーム【感想レポ】

魔法みたいな夜だった。
音楽を目印にして僕と君たちの待ち合わせがうまくいったんだ。
ツアーをするのはそう簡単じゃない。
だから、君たちに会う口実を作るために曲を作るから。
ベイビーアイラブユーだぜ。

信じてくれるか?「バイバイ・サンキュー」を歌ったんだ
信じてくれるか?藤くんが「俺のバンド、カッコいいだろ?」て自慢したんだ
信じてくれるか?藤原基央に「ベイビーアイラブユー」って言われたんだ

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ーーー始まれば終わってしまう。


大勢のBUMPファンがこの日のために仕事や学校、勉強やバイトを頑張ってきて、生活を妥協して貯金して、この場にいた人間みんなこの日のために生きていた。「ツアーファイナル」は私たちファン、客にとっては「楽しみが終わる」案外冷酷なものだ。私もその1人だ。

今日もBUMPとする4人と5万人、BUMPと5万通りの一対一のオーロラの旅はいつも通り「Aurora」でライブが始まり、昨夜と変わったのは4.5曲目を「シリウス」「車輪の唄」を歌い、恥ずかし島では「ダイヤモンド」ではなく「真っ赤な空を見ただろうか」を、「アリア」だったのが「GO」に変わった。

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「記念撮影」は先日解禁されたばかりのワンピースとコラボしたカップヌードルのCMの映像とともに演奏され、藤くんだけが出っ張りに立って歌っていた。

ワンピースの登場人物は制服が似合う17歳という設定のアニメーションだ。高校生活にも慣れ、将来なんてまだ考えなくていい17歳は人生で一番楽しい時期だ。「迷子になっても 大丈夫 僕らはどこにでも行けると思う」という歌詞は彼らのこれからを後押ししている風にも見えた。でも、結局響いたのはひとりぼっちの私で、今人生迷い期真っ只中の私の心にストンっとずっしり入ってきた。

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藤くんは度々「寂しい」「愛おしい」「明日」という言葉を繰り返した。「今日で最後だよ、さみしいね」と言いながらも恥ずかし島でのメンバーの会話は変わらず、他愛もなく愛おしかった。

ヒロ「今日はツアーファイナルです!このツアーの初日は7月だったから暑くて...初夏だったんですけどもう寒くなっちゃいましたね」

藤「なんで初夏とか難しい日本語で言ったの」

ヒロ「まあ、暑かったから」

藤「うん、暑かったね」

ヒロ「最初にオーロラ見に言った映像流れたじゃないですか?あれは5月ぐらいで...」

チャマ「あれ、4月じゃなかった?」

ヒロ「4月だっけ?」

(会場 笑)

藤「俺たち3人は花道?出っ張りに出ているなか、ヒデちゃんがこけしみたいな佇まいでドラムを叩いている。似てはないけど、雰囲気似てるだろ?ドラム叩いてるから俺ら3人みたいに出っ張りに出て行くことは今はできない。ドラムごとベルトコンベアーみたいに動ければいいけど、そんな最先端じゃない。定速で出てもまた引っ込んでしまうかもしれない。ヒデちゃんはまたあっち行ってるよって思ってるかもしれないし、ヒデちゃんもここに来たかったのかもしれない。知らないけどさ」

チャマ「行きたかったらしいよ」

藤「あ、行きたかったんだ。そんなヒデちゃんがここにいる!なんかヒデちゃんから一言....」

ひで(俺がここにきたよ〜!)(オフマイク)

藤「いや、俺が長々説明したこと言っただけじゃん!俺がここに来たって!笑 せっかくここに来たしもう一曲やります」

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「望遠のマーチ」ではリリック映像を放り投げてこう言い放った。

「東京ドーム広いか?そうでもないだろ?俺は近くに感じてるよ、俺の歌もお前の近くにいるだろ?受け取ってくれよ!」

以前5年前に行った東京ドームでは2階席の遠いところだった。
最後の先行でやっと手に入れたチケットで「当選」と書かれたメールを見た瞬間、家で飛び跳ねて喜んだ。BUMPに会えれば、あの空間に入れればどこでもよかった。この日のライブは距離も会場も過去一番大きくて遠い席だったのに、今までで一番近くにBUMPの音楽を感じた。BUMPは物理的に遠くても、近いどころではなく心にいるのだと思えた。

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「メロディーフラッグ」という曲がある。「Jupiter」というアルバムに入っていて、あまりライブではやらない曲だったが前回のツアー「PATHFINDER」ではよく演奏されていた。

響く鐘の音の様な  あのメロディーはなんだっけ 
出会った頃に 僕が刺した旗 思い出して

歌詞変えにしてもどこかで聞いたことある歌詞だなあ...と思ったが、よく記憶を張り巡らせれば「GO」の前に1フレーズを加えて歌ったのは「メロディーフラッグ」だった。

「とても素晴らしい日になるよ」とは、紛れもなくこの日のことだった。

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「新世界」での「ベイビーアイラブユー」というコールアンドレスポンスが定番となったこのツアー。曲が終わると出っ張りから帰る時にご機嫌に歌いながらアカペラで「ベイビーアイラブユーだぜ!」と藤くんと客席が交互に歌った。

私は下手のスタンド1列目とかなり良席にいた。ここはオーロラも星空も鳥になったような気分の壮大な風景映像も、アリーナで銀テープが宙を舞う景色も、スタンドの客席から歌声を一気に堪能できる絶好の場所である。

「新世界」に限らず「虹を待つ人」でも「天体観測」でも「望遠のマーチ」でも「Supernova」でも、5万人の大合唱の中にいた。上から降り注ぐ歌声は物凄く気持ちよかった。

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「流れ星の正体」が終わった後に浮かぶ星空は夏の空のように澄んでいて綺麗だった。「生まれた 全ての力で 輝け」と力強くも伸びる藤くんの歌声がとても好きだった。

大きな流れ星が流れたらライブが終わってしまった。

ああ、儚い。

それは夜にだけ輝く星空もライブも同じだった。

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アンコールではチャマがグッズを買ってくれと促し、昨夜と同じく5万人とオーロラを作った。オーロラを作るのもこれで最後だ。

チャマ「みんなとオーロラを作りたい!電気消えたら光がフワ〜って出るからその間みんな願い事を言ってね!」

(ヒデちゃんがなぜか上手のお立ち台に立っている)

チャマ「ねえなんでヒデちゃんそこに立ってんの???定位置(ドラムセット)について!」

藤くん「ヒデちゃんに、ここに立てばいいじゃんって言ったら立った」

オフィシャルカメラマン・古渓さんによる記念撮影も終えて、チャマが「今はBUMPは3人です。東京ドームでトランスフォーマーをいじってるのもしかして俺だけじゃね?」と言いながらタカラトミーとコラボしたグッズのトランスフォーマーをいじっていた。

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幻だったと思っていた「バイバイ・サンキュー」

「バイバイ・サンキュー」という曲が中学生の頃から大好きだった。この曲が名古屋か大阪のドーム公演で演奏されたと知ったとき、悔しかった。
遠征民の私だ。名古屋や大阪なんて慣れた手で夜行バスに乗って朝ついて街をふらついてライブに行くなんていつものことで、そんなに気張っていくようなところではなかったからお金や仕事の休みなら調整して行けていたのに、チケットが取れる取れまいは別として最初から蹴ったのだ。過去の自分を悔やんだ。

私が初めてBUMPのライブに行ったのは「WILLPOLIS2013」という名のツアーだった。ベストアルバムを提げたツアーで、「バイバイ・サンキュー」という曲はシングルの「天体観測」のカップリングだったから、やるわけがなかった。その時からこの曲をやるのはあんまり期待していなかった。リクエストするにしても言霊に任せるにも傲慢だと思っていたから、密かに密かに聴けたらいいなと思い続けていた。

アンコールの一曲目、藤くんがレスポールを持ち、聴いた事のある暗い3拍子を弾き始めた。「バイバイ・サンキュー」だった。

人気と実力を兼ね揃えた選ばれしアーティストだけが立てる東京ドームという大きな場所で「僕の場所はここなんだ 遠くに行ったって僕の場所は変わらない」と堂々と歌う藤くんがとてもカッコよかった。

5万人のひとりぼっちの前で「これから先 一人切りでも 大丈夫」と自分のことを言っているのか、私たちのことを指しているのかは抽象的ではだったが、なんとなく私も大丈夫な気がした。

合言葉は「ひとりぼっちは怖くない」。

その後は名曲「ガラスのブルース」を演奏。藤くんが曲中「さみしいぞ、このやろうー!」と叫んだ。私だってこんなにも幸せな時間も、ライブも、音楽も、終わって欲しくなかった。藤くんがわざと歌わなかったCメロからサビにかけての部分を精一杯歌った。ああ、ガラスのブルースを歌っちゃうなんて、本当に最後だ。

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俺のバンド、カッコいいだろ?

魔法みたいだったな。でも魔法じゃない、それには根拠があるんだ。
今日、大きくても、小さくても、時には心で歌ってくれただろ?まあ、俺がかなり煽ったしな。でも、今日歌った歌は時間と距離を飛び越えて未来の自分に向かって歌ってるんだ。明日はあるかわからない、時には辛くて動けないかもしれない。君がピンチの時、そんな状況に気づかないかもしれないし、今日歌った歌を忘れてるかもしれない、僕らの歌はお手伝いするために生まれてきた。

あのね。世の中にはたくさんの音楽があって、今日も新しく曲が生まれて、その大多数の分母の1を君たちが見つけてくれた。俺ら、俺を見つけてくれたんだ。だから、今日俺は君たちを見つけにきた。大勢の1人じゃない、お前ら、お前一人一人に歌っているんだ。

明日は今日の続きだ。これから先の未来も今日の続きを生きる。今後君に何かあるかもしれない。けど、僕らの音楽は君たちのそばに勝手にいます。僕らの音楽は決して君を1人にしない。
「...で、こんなに喋ってんなら、もう一曲できるよな?」

いつの間にかヒデちゃんはいなくなり、既にチャマもTシャツを脱いて客席に投げ、一言挨拶するとヒロも珍しくTシャツを脱ぎステージを後にしていた。最後に藤くんがただ1人ステージに立てば、それがライブが終わる合図だった。

...はずなのだ。

最初からダブルアンコールをやるのは決めていたのか、藤くんの思う突発的なものかはわからなかったけど、メンバーがステージに再度上がり、藤くんが何やろうか?とぼやくとすかさず「スノースマイル」を歌い始めた。

呆然とする中、藤くんが曲の途中に自慢げにこう言った。

「俺のバンド、カッコいいだろ?」

「バイバイ・サンキュー」でも藤くんを一層カッコよく思ったのに、そんな今の藤くんに『BUMPカッコいいだろ』なんて言われたら...そんなの知っていたよ、よくわかないけどボロッボロに泣いた。溢れる涙を拭く余裕なんてなく、BUMPの音楽の魂が私の心に宿れば、その力強さはどこにぶつけるもなく自分の拳を握るしかなかった。

他のバンド、過去のBUMP、何と比べてるのかわかないけど、
今日のBUMPが絶対に一番カッコよかった。

すかさず「もう一曲いけるな」と咄嗟に歌い出したのは「花の名」

いつか涙や笑顔を 忘れた時だけ
思いだして下さい
迷わず1つを選んだ
あなただけに 歌える唄がある
僕だけに 聴こえる唄がある
僕だけを 待ってる人がいる
あなただけに 会いたい人がいる

最後の最後で演奏された「花の名」は受け止めるのに精一杯だった。今日藤くんが話したことすべてこの曲に詰まっていたからだ。この曲も何年前だろうか、BUMPを知った時は確実にリアルタイムではなかった。
一生懸命ステージを目に焼き付けて、広がる藤くんの歌声に包まれて、言葉も音も1つ1つこぼさないように、こぼさないように、全部腕にめいいっぱいに抱きかかえた。少しこぼれてしまっても、全部抱きかかえながら膝を曲げて拾った。BUMPの音楽に必要のない音も言葉も一切無いんだ。

演奏を終えると最後は出っ張り向かって仲良く4人が歩き出し、手を繋いでお辞儀をした。

幼馴染であり、仕事仲間であり、バンド仲間である。
なんて素晴らしい絆なのだろう、と再確認した。

7月から始まったツアーも、最後に東京ドームという大きな舟に乗って彼らと見たオーロラの旅は終わってしまった。

音楽と映像美にに打ちのめされ、生のBUMPの音楽に勇気をもらい、同じ星空の下でBUMPと同じ時間を共有している。なにと比べたわけじゃ無い、一番、一番、一番、幸せだった。

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一生ベイビーアイラブユー

魔法みたいな夜だった。
音楽を目印にして僕と君たちの待ち合わせがうまくいったんだ。
ツアーをするのはそう簡単じゃない。
だから、君たちに会う口実を作るために曲を作るから。
ベイビーアイラブユーだぜ。
またね、じゃあね、バイバイ、おやすみ。

美しく摩訶不思議な世界を「魔法」と呼ぶ。音楽は魔法ではない、とどこかのアーティストが叫んでいたけど、身を持って分かったような気がした。

今日が最後になるかもしれない「バイバイ」も「おやすみ」も、藤くんが言うと本当に最後なのか?と思ってしまう。別に私みたいな人間は死んだって困らないからいつ死んだっていい。けど、死なずにフラフラと生きてるのはおそらく「どうか生きて欲しい」とBUMPが歌ってくれているからだ。BUMPに出会っていなかったら、私は今頃何をしていたのだろう?「BUMPの音楽」を目印にして会えた人はBUMPだけではない。同じBUMPの音楽に救われてきた人間が、東京ドームに集まっていた。

BUMPならなんでも受け止めてくれる。休みの日昼過ぎまで寝てしまっても「いっぱい寝れてよかったね」ときっと言ってくれるし、歩き疲れたら「そこのベンチで一緒に休憩しよう」と心配してくれる。でも、弱音を吐く前に気持ちを汲み取ってくれるのがBUMPの真骨頂だ。

口実で曲を作らなくても藤くんが生んだ曲ならいつでも聴くし、CD出たら買うし、私たちが欲しくなったらいつでもツアーやライブしてください。いつだってBUMPに会いに行く機会があれば、仕事を辞める覚悟で会いに行ってますから。私にとって理由がなくてもふと会いたくなるのが、BUMP OF CHICKENだ。

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「ライブに行く(推しに会いに行く)」というのはファンやオタクにとって「食事を取る」と同じぐらい大事なことである。彼らに会って、心にエネルギーをチャージする。その日を糧に日々を生き抜き、その日を境にこれからも生活を続ける。

BUMPのライブは「聴ければいい」から席なんてどこでもいい。キャパだって大きかろうが小さかろうがBUMPが音を奏でる空間に入られれば、チケットが手に入れば他は何も望まない。

曲を聴ければいいのならライブDVDの発売を待てばいいのではないか?音漏れでもいいんじゃないか?そう思うかもしれないけど、それは違う。

彼らを目の前にして、彼らの曲を、彼らの前で受け止めることに意味がある。

だから、毎回死ぬ気で会いに行く、
全てを捨てても会いに行く。


BUMPと過ごした時間は、ずっと心にある。だから、きっとあの日は永遠だ。

生まれた曲にまた会いに行くから生んだら教えてね、そのいつかのために今日も一生懸命、真面目に今日の続きを歩きます。

バイバイ、aurora ark、
サンキュー、BUMP。

ずっと私のそばにいてね。

一生ベイビーアイラブユー!

SE.aurora arc
1.Aurora(銀テープ)
2.虹を待つ人
3.天体観測
4.シリウス
5.車輪の唄
6.Butterfly(カラーテープ)
7.記念撮影
8.話がしたいよ
9.真っ赤な空を見ただろうか(恥ずかし島)
10.リボン(恥ずかし島)
11.望遠のマーチ
12.GO(追加:メロディーフラッグ)
13.Spica
14.ray
15.新世界
16.supernova
17.流れ星の正体

en.バイバイ・サンキュー
en.ガラスのブルース
en.スノースマイル
en.花の名

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紅葉
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