MURO FESTIVAL2019 day2
先日は通称「ムロフェス」に初参戦。
良かったバンドの雑感とちょっとした感想とともに。
tricot
tricotは女性3人と男性1人の男女混合4人組バンドである。
フロント3人女の子のバンド、と思ってナメたらアカン。
男女混合と言うとオシャレなサブカル女子が好みそうな音楽を連想すると思うが、ジャンルは変拍子や転調を詰めるだけ詰め込んだマスロックに分類される。
(どうやら本人たちはそんなつもりは無いらしい)
その変拍子をこなす演奏スキルの高さも圧倒的だ。
フェスでのアウェイな場所でのtricotは客が一曲目の1Aメロの変拍子についていけなくなり既に唖然としているのはもはや恒例になりつつある。
そりゃそうだ、平気で9/8拍子から8/8拍子になるし、4/4拍子から平気で4/5拍子に変わるしまた4/4に戻ったりする複雑な曲構成なので初見ではノレなくて当たり前だ。
それがワンマンだと普通にモッシュダイブはあるしフロアはずっと頭降ってるしクラップも完璧だし、完全に変拍子を乗りこなしていて場面によって盛り上がりが一変するtricotのライブは面白い。
今回のセトリは吉田のドラムから「TOKYO VAMPIRE HOTEL」「WABI-SABI」「おちゃんせんすうす」「大発明」「メロンソーダ」と初っ端から攻めて客を置き去りにする変拍子をぶちかまし、ライブバンドのtricotなのでたった1ヶ月ぶりのライブだったにも関わらずGt・キダ先輩が溜まってた分を大放出したように大荒ぶり。満面の笑みで腰から頭を振り、Ba・ヒロヒロVo・イッキュウの間をすり抜け上手へ行ったりする場面も多かった。
「最近天気が良くないので明るい曲やって終わります」とイッキュウさんが言い終わった瞬間にヒロヒロが「メロンソーダ」を弾き始め、tricotの曲でもメロディアスなこの曲は後半になればなるほど動きも音も荒ぶり、全員が頭を振り乱し、吉田のドラムは一層激しさを増し、フロント3人がステージに寝っ転がり、寝っ転がっているイッキュウとヒロヒロの上をキダ先輩がゴロゴロギターを持ちながら転がるなど大変楽しそうな様子を伺えた。
アルバム「3」からの曲を中心にセトリを組むようになったtricot 、
あのステージには「99.974℃」「爆裂パニエさん」「POOL」といった人気曲に頼るtricotは存在しなかった。
tricotが変わったのではなく、過去曲に期待している私たちが置いてかれている。
Northen19
2曲ぐらいしか聴けなかったけど、ライブ見た時間は短くても初見でも印象的だった。
久しぶりのメロコアバンドのライブ。
後ろで見てて、メロコア特有の次から次へとダイバーが上がる景色とか、拳をあげてる景色とか、素直にいいなって思った。
ライブは満点越えの500点。SHANK的なソリッドなカッコ良さを感じて初見バンドのベストアクト。
メロコアバンドはやっぱりライブが一番だね!
THE BOYS&GIRLS
「札幌から来ました。俺以外の3人がバンドを脱退した。お先真っ暗だと思った、でも、俺はバンドを続けたかった。ライブ出たくて、友達に協力してもらった。今日も、明日のライブも、その次のライブも、サポートメンバーで、しかもメンバーが違う、そんなのロックバンドじゃ無いと思う、君らはそれがロックバンドだと思うか?」
初っ端から客席ダイブをかまし、このバンドに対しての思いを話し、終始泥臭くて熱いライブだった。
今は小綺麗なロックバンドは多い、ライブハウスで仲間を作って、SNSを駆使して活動する。不器用で泥臭いバンドが今このシーンに少しぐらい存在してもいいと思う。
決して綺麗なバンドどころかロックバンドとしての存在も危ういボイガルはダイバーとグータッチしたり、客を好きなだけステージに上がらせたり、夏の前の涼しい風が吹く野外フェスで私の知らないあの頃のなんでもアリなライブハウスを見ているような気がした。
Suspended4th
以前も注目バンドとして記事にしたこのバンド、そして今回のお目当てでもある今週アルバムリリースを控えるサスフォー。
男性4人組、名古屋は栄、路上ライブを中心に活動。
初の野外サスフォー。風で音は流され、音は抜け、音響の良さなんで全く期待できない演奏力が剥き出しになる野外という場所は路上ライブ出身のサスフォーにとっては腕の力を見せつける絶好のセットである。
「誰よりも音に責任を持ってきました、PIZZA OF DEATHからSusupended4thです」
「ここにいちゃいけない。このままだと鈍る。音楽シーン変えようぜ」
Vo・ワシヤマがそう言い放つと「INVERSION」でいきなりトップギアに持ち込み、「BIGHEAD」「Betty」と音の爆撃を続けた。
サスフォーの最大の魅力は全員が国宝級のスキルを持っている「圧倒的演奏力」。
最後に「お前らが聴きたかった曲をやって終わります」と言うとBa・むうの炸裂スラップで客を沸かし、まだ20歳だと言うDr・デニスのドラマー大絶賛の圧倒的スキルとリズム感で乗せてくる。そしてGt・サワダとワシヤマが息のあったGtを加えて「ストラトキャスター・シーサイド」を完成させた。
ライブ中に平然と「次ソロ!」「曲変えます」ストラトの曲中に「VENETZIAやるわ」とVo・ワシヤマがその時のライブの雰囲気と気分で支持を出す。
ワシヤマが舵を切り、他3人はワシヤマの支持に有無を言わさず言う通りにするわけだが、そんな本人たちも「そうきたか」と一番楽しんでいるのだ。
サスフォーは決めたセトリ通りにライブをしない。
もはや大半がアドリブなのだ。
しかし、そのアドリブが意味わからないぐらいキマっているしカッコいい。
こんなバンド、今までにあったか?って言うかありかよ!
今日のサスフォーはライブハウスでも「動画取っていいから」と言う時も多いのだが仮に撮影OKと言われても心情的にスマホを取り出す余裕がないくらい気迫のあるステージだった。(ムロフェスはアーティスト撮影NG)
いつもは俺らが一番と言う自分に酔いしれているナルシスト的な感じよりは「俺ら聴いたら終わりだぜ?」と言う感じの絶対的な音への自信がエースの余裕を感じさせる。
今回は「今日出てるバンドも含めて今の音楽シーンをぶち壊しにきたから容赦しない」と一風違った気合の入れようだった。
私は信じてる、サスフォーがこの音楽シーンを変えてくれること。
Suspended4thを見させても、絶対に後悔させない。それぐらい自信持って胸を張れるバンドです。
この記事読んでくれてる早耳さん、サスフォー見るなら今のうちやぞ!
バックドロップシンデレラ
バクシンのライブは5年ぶり。以前見たのは凛として時雨のピエール中野が主催するドラム47都道府県ツアーの横浜公演でのゲストだった。
Voでんでけさんが突然ステージダイブしたら前方のお客さんが避けてフロアの床に激突したのが面白すぎて印象的だった。
本来見る予定はなかったのだが音出し聴いた瞬間見たくなり、牛丼を片手にフェス飯を堪能している友人を置いて見てきてしまった(置き去りにしてごめんよ)
サークルで走り、突っ込み、ツーステ踏んでダイバーを送りに送って一瞬にして汗だくになりバクシンの時だけライブキッズになって騒ぎ倒した。
3回ほど行われたWODでも、隣のステージまでに広がった巨大サークルでは誰1人真ん中でうろちょろする人もいなく、サークルを作り上げている全員が音楽を、バクシンの音楽を楽しむためのサークルという感じがしてとても良かった。
むしろこっち側のサークルから感じとられる表面だけで騒いでいるやつらは御免な空気が良かった。あのサークルを作れたのはバクシンだったからこそだと思う。
めちゃくちゃ楽しかった!たまにはさ、音楽でバカ騒ぎしたいのよ!!
こういう音楽も、思いっきり楽しめる人間で得した。
あ、サークルで隣のステージまで侵略したって書いたけど次のタイテはみんな大好き「打首獄門同好会」だったのでご心配なく。
空きっ腹に酒
ラップ・ユキテロさんがWOZNIAKのワンマンでゲストとして出演した際、終演後出演者で写真撮るって言ってたのに何故かその時新宿MARZのバーカウンターにユキテロさんがいて「写真取らなくていいんですか?」ときいたら「もう写真撮りましたよ。そんなことより酒が飲みたい」とバンド名を裏切らない発言でライブ出ないところでライブのハイライトを作ったのが私の最近の空きっ腹に酒。
バンドとしてはtricotの企画ぶりなので約1年ぶりだ。
ステージサイドにはtricotのメンバーやこの後隣のステージでのライブを控えるビレッジマンズストアなど出演アーティストがこぞって見ていた。
先日原田ちあきとの結婚を発表したユキテロは「俺プライペートで嬉しいことあってさー!」と話すと祝福の声を受けてからキレッキレのライブが始まる。
前回見たときあんなにカッコ良かったっけ...?以前見たライブが調子が悪かったわけでは無いんだけど、見ないうちにレベルアップしてて強くなっていた。
ユキテロが客席を降りて柵によじ登り、勝手にギターのエフェクターをいじり倒し、「夜のベイビー」ではコールアンドレスポンスで盛り上げ、即興ラップを挟みやりたい放題のライブだった。
この後人気急上昇バンド「Hump Back」が別ステージで控えており「あ! Hump Back行くやん!俺も間に合ったら行くわ〜」と客席後方ではフェスでお馴染みのステージ移動が徐々に行われていたが、彼ら彼女らにとって本命のHump Backとはいえ今の空きっ腹に酒を蹴るのも惜しいように感じた。
でも1曲ぐらい見れたわけだしいっか。
ライブを見てから「御乱心」が頭から離れない。
アルカラ
「今年40やし、俺も先輩としてバンドを引っ張っていかないと行けないなって思ったけど打首獄門同好会のjunkoちゃんのおかげで俺はまだまだ若手や〜!」」
すっかり日も暮れて夜になり、「アブノーマルが足りない」から夏の夜の良さを存分に活かした熱くもアットホームなライブがアルカラによって繰り広げられる。
大トリかつ大先輩アルカラを見ようとたくさんのバンドマンが舞台袖で見ていたが、先輩とか関係なく次から次へと自分のライブのように客席へ飛び込んでいった。
アルカラは初見だったのだが、貫禄と安心感、そして音楽の楽しさを両立させるライブで大トリにふさわしく、とても楽しかった。
途中主催のムロさんとともにやぐらによじ登り「俺は怖いからここまでや」と稲村は幕裏のところにいたが、てっぺんまでよじ登ったムロさんは裏方とは思えぬ堂々とした佇まいだった。
最後に「さっきハルカミライがブルーハーツを聴くって言ってたから歌おうぜ!」とリンダリンダでを大合唱。
「ドブネズミみたいに 美しくなりたい 写真には映らない美しさが」
「ア〜ル〜カ〜ラ〜」
上手い!うますぎる!歌ってたけど、完璧やられた!
マジで、ムロフェス、最高
ライブレポ以外の感想だと、主催のムロさんに遭遇するとムロフェスオリジナルのピックがもらえるのだが、運よく遭遇したのでピックをいただいた。
何種類かあるらしいのだが、私は水色のティアドロップ型のピックをもらった。
たまたま忘れらんねえよが[Alexandros]の「ワタリドリ」をカバーしているのが聴こえてめちゃくちゃアガった!ドロスガチ勢だからね!たまには川上洋平以外のワタリドリもいいね。流石に高音キツそうだったけど(笑)
サスフォー終わってステージ移動をしているとテント周りをダッシュしている集団が来たので私もノリで走って見たら四星球のサークルだった。
よく分かんないけど走って楽しかった。いや、よく分かんないから楽しいのか。
とりあえずフラフラするかと会場を歩いていると、偶然かき氷に並んでいるtricot御一行様に遭遇。
「何食べるんですか?」「かき氷に決まってるやろ!」と大の甘党のキダ先輩に怒られてしまったが、後ほど食べる予定だったのでその場でまんまとかき氷を食べることにした。
途中からイッキュウさんが合流し、自身のブランド「SUSU by ikkyunakajima」を身に纏ったファッションはとても可愛かった。(Twitterにも載ってるよ)
「みなさん何味にしたんですか?」
イキュ「ベリーベリーストロベリーにしました〜」
「美味しそう!それもいいね!」
イキュ「(隣の肉屋のメニューを指して)牛丼カルビかき氷もありますよ、練乳かけでどうですか」
と大好きなtricotメンバーと他愛も無い会話をした後のかき氷はどの1時間並んで食べた天然氷のかき氷よりも美味しかった。ちなみに私は桃が好きなのでピーチにした。
ライブはあんなにキレキレなのにステージ降りると気さくで優しくてふわふわしてるの、たまらんな。海外でも大活躍してるtricotだが、こうしてファンともフラットに話してくれるのは嬉しい。(マネージャーさんが同席していたので写真はお願いしなかった)
本来は8割見たいアーティストだったのでtricotとサスフォーが見られればよかったのだが、ステージ間も思ったより短く動線も良くたくさんのバンドが見れてたくさんの音楽が収穫できた。
お客さんの入りぐあいも多すぎず、会場のスケールもバンドとの距離も程よくてとても良かった。帰りのクロークも全然並ばなかったし、運営のスムーズさは抜群!フェス飯もお酒も打首獄門同好会からもらったうまい棒も美味しかった。
見たいバンドが多すぎて行くの迷ってたけど、こんなに素直にいいと思えるフェス、なかなか無いよ。本当に行って良かった。
「帰ってから来年くるまでがムロフェスです」って言ってたけどさすがに長いかな!主催のムロさん、お疲れ様でした!そしてたくさんの音楽に出会わせてくれてありがとう!