●数に溺れて●
100までのカウントに乗って物語は進む。
もしくは100ピースのジグソーパズル。
ピースのひとつひとつが監督の執着の具体化、すなわち計算された美である。
そのピースのいくつかはきっといつまでも不意に脳裏から転がり出てくることだろう。
1988年公開の作品なのにちっとも古さを感じさせないのは、年代よりも映像としての美しさが勝るからであろう。
「英国式庭園殺人事件」を観た時もパズルを連想させられた。
ピーター・グリーナウェイ作品にとって、もしかしたらストーリーはそれほど重要ではなく、繋ぎ合わせて完成する全体の「絵柄」なのかもしれない。
そしてそれは彼の感性が響く人たちをとても魅了するのだ。
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