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●I Like Movies●

そこには私がいた。かつての私がその中にいた。若くて自分だけを信じていた自分がそこにいた。

2003年のカナダの田舎町。映画と、映画監督になる自分だけを信じている高校生のローレンス。ふざけたノリを一緒にやってくれる友人はいるけれど、いつか自分だけは憧れの世界に行けると思っている。
学費を稼ぐために大好きなレンタルビデオ店で働けることになるが、社会と他者と現実に触れ、夢と理想と過信が揺らいでくる。

若さ故の残酷、とはよく言ったもので、自信や視点や信念は、自分を守り高める一方、他者を傷つけ失望させたりする。
しかしその自信や視点や信念は、形は変わったとしても手放してはいけない。それは足元を照らすランプの焔となり、道を教えてくれる。
他者や他の世界と触れ合うことで、むき出しの炎は柔らかいガラスに包まれ、燃料を注ぎ続けられることになる。
そのことに気付けるかどうか、理想と現実に葛藤するローレンスの姿を見て思った。かつての自分に見せてあげたい映画だ。どう思うだろう。素直に受け止める心はまだないだろうか。

2024年に映画館で観た最後の映画。滑り込めてよかった。


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