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●3周年を迎えて●

本当にもう3年経ったのだろうか。
2021年の6月1日にオープンしているのだから、2022、2023、2024と数えてみて、ああ本当なんだなと思ったりする。
一日を、一週間を、一か月を、なんとか走って繋げて、それがもう3年。

この小さい店を、コロナ禍という特殊な環境の中、手探り状態で開け、滑り出しはいいものの夏になった途端に閑古鳥。
おひとり様営業に切り替えたからなのか、エアコンをまだ設置していなかったからなのか、近美が休館を続けているからなのか、猛暑のせいなのか、オリンピックが開催されているからなのか、待てど暮らせどお客様のいらっしゃらない日が続いた一年目の夏。

涼しくなって少しずつご来店は増えたものの、それでもまだまだガラガラの日が多かった。
不思議だったのはなぜか平日の15時から16時にピタッとご来店がなくなること。
おやつの時間なのに、いらしても一人二人くらいで、その頃はその時間によく仕込みをしていたなと懐かしく思う。
土曜日に賑わっても、日曜日は世界から忘れられたのかと思うくらい暇ということもあった。

そんな黎明期の頃にご来店いただいた皆様には感謝してもしきれない。
あの頃に通ってくださるお客様がいなければどうなっていたことか。
その時から未だに通い続けてくださっているお客様もいらして、店を続けることのうれしさがある。

2年目、3年目と徐々に常連のお客様も増え、なんとか今日まで続けることができている。
驚くほど来客が途切れない日も時たまあれば、白目になるほど来客がわずかな日もある。
来店の多い日と少ない日のギャップの大きさに翻弄されながらも、どうにかこうにか胸を撫で下ろす月末を迎えている。

超絶おしゃれな店でもなければ、ほっこり癒し系の店でもなく、写真に撮りたくなるような華やかな食べ物が出てくるわけでもないし、そんなに便利な場所にあるわけでもないのに、気に入ってくださる方がいるというのはなんとありがたいことか。
珈琲と衛星が一番大事にしていることは「誰かにとってのもう一つの居場所」であるということ。
誰かにとってのささやかな楽しみであったり、くつろぎであったり切り替えであったり、この場所で過ごす時間が心の居場所になっているということが一番うれしい。

しかし、おばあちゃんになっても続けたいと思っていたけれど、当初の想定よりもいろんな時間が足りないし、体力も減る一方。
最低でもあと7年は続けて10周年を迎えてみたいけど、これから何があるかわからない。
私よりも先に建物が悲鳴を上げるかもしれないし、徐々に客足が遠のき本当に世界から忘れられる日が来るかもしれない。
なるべく長く続けるには今を、毎日を繋げていくしかないと思う。
そうなるように、祈るように明日も扉を開く。

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