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●憐れみの3章●

「哀れなるものたち」の監督、スタッフ、キャストの再集結と聞いて、これは観にいこうと公開前から決めていた。

私が観たい映画というのは、考えたくなるような内容かどうかというのが一つあると思う。
心の機微とか人生の悲喜交々だとか、そういったものが描かれている作品に惹かれ、それを観て自分の心がどう動くか、何を考えるかというのに興味がある。
しかし今回はそれとはちょっとタイプの違う映画だった。

思考ではなく、感覚を刺激する映画だ。
ぞわぞわ、ざらざら、じりじり、そわそわ、ひやひや、どきどき。そんな感覚が繰り返される。
「世にも不思議なアメージング・ストーリー」や「世にも奇妙な物語」などが好きな人はきっと好きな世界観ではないだろうか。

リアルのようでありファンタジーのようでもある3つの物語のオムニバスなのだが、同じ俳優がそれぞれの章で別の役を演じている。それがとても素晴らしかった。
私は演技の上手さとは"その役の人間が実在しているように見えるか"ということだと思っている。演出もあるかと思うが、この作品はそれが実現できている名優が揃っている。

前作「哀れなるものたち」でも感じたが、一見過激なだけとも取れる内容だけれど、その中に"人間の本質"を描こうとしているように思う。そんなメッセージがあるように私は感じた。
あとこの監督の色使いが好きだ。

https://www.searchlightpictures.jp/movies/kindsofkindness

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