●エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命●
生まれながらに宗教と密接な人と、そうでない人がいる。
私は後者で、日々の生活で信仰を意識することはない。一応の所属があることを思い出すのはお墓参りやお葬式くらいだ。
だから信仰が生活の一部である感覚を想像するのは難しい。
しかしそのように信仰に明るくない私でも、この物語の恐ろしさはわかる。そして信仰と密接な人にとっては、きっともっと恐ろしく感じることだろうと思う。
この映画は、まだ6歳のエルガルド・モルターラが異教徒に連れ去られるという実際にあった事件を元にしている。
敬虔な彼はどんなに恐怖にさらされたことだろう。彼がその後たどる人生は不幸なのか幸福なのかわからない。彼の心はただただ純真であるようにも見えるし、すっかり閉ざしているかのようにも見える。
しかし時々、無意識に心にされている蓋が外れ、彼自身をも翻弄させる。
信じることとは、自由とは、正しさとはなんだろうと彼の姿に思う。
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