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● リアル・ペイン~心の旅~ ●

心は誰の目にも見えない。しかし感じることはできる。
だってエンドロールでこんなにも胸が痛む。

ニューヨークに住むユダヤ人のデイビッドとベンジーは同い年の従兄弟同士。祖母の死をきっかけに、彼女が生まれ育ち、そして悲しい歴史を生き抜いたポーランドへ旅立ち、ホロコーストツアーに参加する。
社会、そして人生に自分の責任で向き合うことが必要となる40代を迎えた2人。真面目で人付き合いが苦手なデイビッドだけど、暖かな家族と安定した仕事を持つ。すぐに人の心を掴み、誰からも好かれるベンジーは、感受性の強さから社会に馴染めない。正反対の2人は互いに自分にない部分をうらやましく思いつつ、旅を通して自分自身と向き合っていく。

心の動きを実に繊細に、やさしく、巧みに描いている。ポーランドの風景の中、2人の、そしてこの旅に関わる人々の心の機微が、まるで触れているように目に映る。
ポーランドの偉大な音楽家であるショパンの調べがその一つを担う。

見えないけど見える。それは私たちの心が動くからだ。私たちの心が彼らと同じように痛むからだ。本当の痛みとして。

監督、脚本はデイビッドを演じるジェシー・アイゼンバーグ。なんて素敵な映画を作るのだろう、と一気にファンになった。
ベンジー役のキーラン・カルキンは、あのマコーレー・カルキンの弟。言われてみると確かに似ている。彼の演技も素晴らしかった。

(しかし大きい配給会社のプロモーションってどうしていつもダサいんだろう)

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