●2024年の10本●
映画館で映画を観る。というのが私の2024年の目標であり休日の楽しみであったのだけど、実行してよかったなと改めて思う。
一週間のうち6日間は仕事で、しかも一日の半分は店にいる。自分の時間がそもそも少ないのに、休日は予定がなければ何をするにもスローペースになってしまい、洗濯や掃除、日用品の買い出しでいつのまにか夜になってしまう、というのが私だ。
しかし映画館に行くという"締め切り"ができることで時間の使い方が格段に変わった。締め切りまでになんとかやることをやっつけて、ギリギリで走ってでも映画館に行く。ところどころ端折ったり翌日にぶん投げたりするけれど、スローペースよりはかなり物事が進む。ちゃんとしている人とは比べものにならないかもしれないけれど、私にとってはなかなかの進歩だ。
そして、やはり観たいと思った映画は配信になることは少ないし、この先いつ出会えるかわからない。映画を映画館で観るというのは"今"しかないことなのだ。
それだけでない理由もある。映画を観ることで自分を知るというのがもう一つの大きな理由だ。私はエンターテイメントとして映画を観ることはあまりない。映画を観ることで自分が何を思うか、何を考えるか、どんな言葉で表すかを知りたいのだ。
と、前置きが長くなりすぎたけれど、2024年に映画館で観てよかった映画を10本選ぶことにする。
※リバイバル上映は除く
「墓泥棒と失われた女神」
ストーリー、ディティール、キャラクター、ファッション、画質、色彩、全てが好み。好き過ぎて2回観に行った。
「マンティコア-怪物-」
キャラクターのよさと、誰もが抱えうる闇と、その境目を歩く表現。刺さり過ぎて初めてパンフレットを購入した作品。
「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」
これもキャラクターが素晴らしい。誰かのどこかに必ず共感がある。人と人とがわかり合うとはどういうことかを教えてくれる。よさしかない映画。
「時々、私は考える」
誰かとわかり合うなんて無理だし傷つきたくないからなるべく関わりたくない。でも本当は誰かと繋がりたいと思う全ての人へ。スターウォーズシリーズでの勇ましい姿が印象的なデイジー・リドリーの知られざる魅力。
「I Like Moveis」
自分が思う自分になる。自分だけは他と違う。そうでなくちゃ僕じゃない。そう過信する若さに捧ぐ映画。共感の嵐。
「ジョイランド 私の願い」
登場人物の全てが何かに縛られている。それは現代を生きる私たち自身である。社会で生きることの不自由さ、難しさ、心の自由とは、幸せとはを考えさせられる。
「PERFECT DAYS」
単純に、純粋に、生きることの美しさ。余計なものを削ぎ落として、自分にとって本当に大切だと思えることを守り暮らすこと。"こんなふうに生きられたら"というキャッチコピーに全てが集約されている。
「哀れなるものたち」
成人の体で産まれ直したベラの目を通して人間の心理が見えてくる。人間とはどういう生き物なのか、どんな世界に生きているのかがよくわかる。
「異人たち」
全ACが泣いた。と思う。わかり合いたかった、けどわかり合えない。親と子でも、もちろん他の誰かとも。凍っていた心が解けだす作品。
「山逢いのホテルで」
私は一体誰なんだろう。生活を懸命に歩いてきて、ふと果てで思い直す。とかく役割に当てはまりがちな女性のためにある映画。
あまり数は観ていないけれど、10本に絞るのは難しかった。でも、出会ってよかった!もう一度観たい、というのがこの10本。
ちなみに「墓泥棒と失われた女神」が私の2024年ベスト映画。それ以外の順位を決めるのにはさらに一年かかりそうなので割愛。
2025年も出会っていきたい。
走ってでも。