●マグダレーナ・ヴィラガ●

閉ざして閉ざして閉ざして、心は奥深いところへ。
マグダレーナ・ヴィラガこと娼婦のアイダ。
彼女の目は開いたまま何も映そうとしない。
機械のように、物になったように、彼女は生きる。

もうとっくに壊れてしまっているのかもしれない。
壊れて見えなくなってしまった心から言葉が漏れ出る。意味を持たないようにも感じるし、それこそが真理のようにも思える。

現実はいったいどこにあるのか。目の前にあるのがそれなのか。だとしたら憂いと悲しみに満ちている。
それは彼女だけでなく、現代に生きる心を失ったものたちにとっても同じだ。心を閉ざすための幾重もの鎧の隙間からは悲しいものしか見えない。

いくつかの色違いの場面を切って貼り重ねてできたストーリーから拾った一枚は果たして真理か虚像か。
ニナ・メンケス監督はそれを全て答えのようにもまやかしのようにも見せる。

無表情のアイダが一度だけ笑うシーンがある。
はたして私はそこから真意を拾うことができたのだろうか。