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●セカンドステップ 僕らの人生第2章●

いつだって走り出していいはずなんだ。何にも遠慮はいらないはずなんだ。

ユダヤ教の先唱者である 40歳のベン。事故で妻を亡くした上、歌うことができなくなってしまった。失意の中、かつての恩師である70歳の元音楽教師カーラと再会する。彼女の夢は、ユダヤ教徒の13歳の成人式であるバット・ミツバをすること。二人の再会によって、彼らとその周囲が新しく動き出していく。

後ろ向きなベンと、前を向き続けるカーラ。ベンの迷走により物語はなかなか進まず、間延びした印象を受けるが、からりとしたカーラの愛らしさが救いのように光って映る。
そしてラストの疾走感。間延びはきっとこのためにあったのかもしれない。ベンの逡巡という助走を経て、彼が走る、そのために。

もし間違ったら、もし失敗したら、もしもう遅かったら。そんな"もし"のために踏み止まってしまう。でもそれで後悔したら、とも思う。走るだけだっていいじゃないか。走る自分の姿を見るだけでも意味がある。なんてことを思った。

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