きんぴらごぼうの魔法使い
朝起きるとキッチンで嫁がせっせと
きんぴらごぼうを大量に作っていました。
ここだけの話、私はきんぴらごぼうが大好き。
・・・いや、違うな。もともとは嫌い。
嫌いなのはきんぴらごぼうだけじゃなくて
煮物や汁物、漬物にタケノコご飯など
和食全般が嫌い。ついでにサラダも嫌い。
そんなものより豚肉の生姜焼きとか
カップラーメンとか味の濃いやつが大好き。
血糖値爆上がり待ったなしの人生でした。
十代だったらそれでもいいんですよ。
代謝が凄いので脂っこい料理ばかりでも
血肉となりエネルギーとなり脂肪がつかない。
でも二十代後半にもなると明らかに体型が変化。
細マッチョよりの標準体型だったはずの私が
身体全体に嫌ぁな感じの肉がついて落ちない。
自分はまだだいじょうぶ!と思い込んでいても
体重計が「このデブ!」と無慈悲に針を突きつける。
そう、私はブタになっていたんです。ブヒ。
豚足を非常食として眺める人生かと悲観に暮れる頃
私のトンカツ人生を救う救世主が現れました。
それが今の嫁です。
嫁は魔法使いでした。いや誇張なしに。
出会った当初から異次元の料理スキルを持っていて
ヘルシー・ジューシー・美味しーの三拍子揃った
絶品料理を次々に出してくれたのです。
あれほど味気なくて嫌いだったサラダも
醤油のキツイ味つけが苦手だった煮物も
食欲が失せる代表グリーンピースご飯も
なぜか嫁が作ると絶品料理に早変わり。
あまりにも現実離れした体験だったので
付き合っていた当時何度も問いただしました。
「これって夢?君は実在してるのか?」
それからいろいろあって結婚した今でも
嫁の料理の快進撃は天井知らず。
ちなみに体型はブタからヒトに戻りました。
そんな嫁の得意料理はものすごくあるけど
きんぴらごぼうがこれまた絶品なわけです。
で、一昨日にきんぴらごぼうを食べたいと
リクエストしたので今朝作っていたと
ようやく冒頭に話がつながるわけです。
でも今朝のきんぴらごぼうは何かが違う。
あまりにも量が多い、多すぎるのです。
片手で振るのが難しい大型フライパンから
あふれんばかりの超きんぴらごぼうです。
「これ、ちょっと多すぎじゃない?」
素直な私の感想に謎の笑顔で返す嫁は
きんぴらごぼうをパズルゲームのごとく
大量の小分け容器に振り分けながら一言。
「小分けにして、冷凍にしておくんだ」
小分け冷凍だと!?
それってもう食品メーカーじゃん!
伝説の主婦とかがやる時短テクじゃん!
嫁の進化は止まらない。
とんでもないきんぴら魔法使いの話でした。