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リンゴ・スター

眠れない夜は、RINGOというバーのことを時々思い出す。いつでもビートルズのライブ映像と音楽が流れているにぎやかな場所。三条や四条や百万遍のそこいらじゅうで飲み明かしたそのさらに後に、RINGOに行くのが僕のお気に入りだった。他の皆がどう思っていたのかは知らないけれど。

久しぶりに京都を訪れる。すると街並みは、あの頃とまったく変わらない古びた店か、見慣れないチェーン店かにおおよそ二分される。もう姿がなくなっているのは、大概が学生の頃に「できたばかりで真新しくて小綺麗でいいな」なんて見かけていたような店たちだ。残念ながらやはりそういう店は姿が無くなってしまうと、記憶の片隅からも拾い上げようがなくなってしまう。僕の大切なRINGOは、百万遍の交差点を少し入ったところに今もちゃんとある。

なんでこんなことを急に文章にし始めたのかはよくわからない。やっぱりコロナでRINGOまでもが吹き飛んでしまうことを、心の底で心配しているからだろうか。学生の身分を失ってからあそこに行けたのは、まだたったの1回だけだ。お気に入りだったバナナ味のカクテルは、味も名前もよく思い出せなくなってしまった。

今日は20時を過ぎたころからあんなに眠くてしんどかったのに、夜が更けるにつれて目が冴えてきてしまった。ここ最近のいつものパターンだ。全く意味不明なものばかりが身の回りを漂っている。明日はもう少し、好き勝手に静かに過ごせたらいいのだけれど。

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