1-1 知覚と知性
みなさんは「知覚と知性」と言われてピンとくるでしょうか?
前回の記事では「写真を学ぶということ」についてまとめました。
今回は第1回講座の内容…について綴りたかったのですが、その前に、講座のテーマである「知覚と知性」についてお話ししたいと思います。
「知覚と知性」について、写真家・安達ロベルト曰く、現代アートにおいて、鑑賞者に心の揺らぎ、言い換えれば「知覚」を与える作品は少ない。そして、知覚を与えるための仕掛けやギミックをアーティストたちは試行錯誤している。この仕掛けを「知性」と呼ぶとのことです。
もう一度説明すると、アーティストは作品を通して鑑賞者に揺らぎとなる「知覚」を与えるために、「知性」を用いて仕掛けをしているのです。
この「知覚」と「知性」がどのように作用しているか、作品鑑賞を通して理解し、その中から着眼や着想を得て(言い換えればインスピレーションを受けて)、それを自分の中に取り込み、作品制作をする。
これが本講座の目的です。
…めちゃくちゃ難しそうだな…! と感じました。
ただし同時に、自分が美大の課題制作を始めるような高揚感も感じました。そして、これこそが自分が写真を学ぶ理由なのかもしれないと感じました。
まさか社会人になってから、こんなにワクワクして、仕事終わりや週末に時間を使いたいと思えることに出会えるとは思ってもみませんでした。
ということで、この「知覚」と「知性」は、みなさんの普段の作品鑑賞にも役立つかもしれません。
例えば奈良美智さんが描く子供の絵は、鑑賞者のその時の感情によって子供がどんな表情をしているのかが変わり、「知覚」の揺らぎを感じることができるといえます。
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このように、美術館や企画展に訪れる際に「この作者の知性はなんだろう?」「この作品によって自分は何を知覚したのだろう?」と考えてみると、新しい鑑賞スタイルが身につくかもしれません。
それではまた。