感情から生まれる行動
私は新卒で地元の大阪から福井へ移住した。
福井県で地域医療の現場で働くようになってから
祖父母に会いに行く回数が増えた。
祖父母も私の実家がある大阪に住んでいるけど、
少し距離は離れていることもあり
お正月の集まりで年一回会う程度だった。
正直、会うのが嫌ではないけど
楽しみというわけでもなかった。
就職するまでは高齢者と関わる機会が滅多になかったからか、
正直、祖父母への接し方がわからないというか、興味が湧かなかった。
でも、ここへ来て
どんな風に生きてきて、今何を感じていて、どんな生活をしているのか、これからどうしていきたいのか?
そんなひとの人生に触れる仕事(だと思っている)に携わるようになり
相手に対する愛おしさのようなものを感じるようになった。
それと同時に
自分の身内のことは
全然知らない、と気がついた。
そこから
大阪に帰省するタイミングがあれば、時間が許す限り会いに行くようになった。
この前、友達と遊ぶ約束のついでに会いに行った。
最寄駅まで電車で行くと
おじいちゃんが車で迎えにきてくれる。
おじいちゃんが友人たちとやっている畑に案内してもらう。
長年やっていたらしいが、最近まで畑やっていたことを知らなかった。
福井に来て、私も畑を少しやるようになった
「もうすぐこれを植えないと」と、同じようなことを考えているのだと思うと
ちょっと嬉しかった。
色々話をする。
これまでしてきたおじいちゃんの仕事のこと。
70歳くらいまで夫婦で月1ハイキングへ出掛けていた話。
老人会やら、輪投げの会やら、カラオケサークルやら忙しくしているおばあちゃんの話。
カラオケサークルの愚痴なんかも。
スタスタ歩くおばあちゃん
足を引きずりながら歩くおじいちゃん
全て
初めて知った。
歳の割に若いのも納得だ、と思った。
アウトドア派ではない両親から生まれたアウトドア派の私。
その気質はここからきているのかと安心感を覚えたり。
知れたことが嬉しいからだろうか
何か泣きそうになった。
一緒に食事をした。
デザートに甘夏やら伊予柑を食べた。
みんなで食べ比べ。
「こっちの方が甘いな」
「でも単体で出てきたらみかんはみかんやな。違いなんかわからん。」
と笑いながら口に頬張るおばあちゃん。
私もおじいちゃんも笑った。
あまり笑うイメージがなかったおじいちゃん。その顔を見れたのが嬉しかった。
2人とも
「動けるうちは元気でいたい」
そんな前向きな気持ちが伝わってきた。
ここ最近、
前向きな人たちを避けたい傾向にある私だが
この2人を見て
「元気でいてほしい」
と心の底から思った。
帰りの移動中、今日の出来事を振り返っていて
こういう経験が
原動力になるんだ、とふと思った。
なるべく会いに行こうと思う。
特別何をするわけでもないけれど
直接会うって
何にも変えられない価値があるのだと思う。
と、帰りの電車でラインを送った。
と、返事が来た。
何を褒めてくれたのかは知らないけれど
私のことで嬉しいとおじいちゃんが思ってくれたことが
嬉しかった。
おじいちゃんの感情に初めて触れたような気がした。
オチはないけれど、
忘れてはいけないような気がして書いてみました。
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