The outside of the universe 〜とある母親の話〜
はじめに、ご視聴くださった皆様、本当にありがとうございました。
制作中、酷い落ち込みや涙で画面が見えないこと(笑)もあったりと、魂を削り作り上げた作品なので、リアクションや温かいコメント、本当に本当に嬉しいです。
ここでは曲についての解説をさせていただきたいと思います。ご視聴がまだで、興味があるというお方は、お先にご視聴をお勧めいたします。
実はこの動画、センシティブ警告を掛けるか最後まで悩みました。しかし、そこまでダイレクトに伝わるか疑問であったので、付けることは致しませんでした。そういうご意見があった場合は付けるつもりでおります。
あらすじ
“The outside of the universe”は、我が子を亡くした母親についての曲です。
彼女はあの世とこの世の狭間で、自死の罪で裁判にかけられ、結果、“生”の世界へと戻されます。
最後の絵は、口元に気管挿管がなされているので、あのアングルとなっています。
ここから先は細かい解説になります。
解説
“The outside of the universe”とは?
動画冒頭、主人公の女性がボソボソ呟いているシーンでおわかりいただけるかと思いますが、彼女は、“天国=宇宙の外”と考えています。
これは作り手である私自身が、子どもの頃に実際そう考えていたことに由来します。
“飛行機に乗っていて天国を見た人はいない。宇宙飛行士で見た人もいないし、天体望遠鏡が捉えたこともない。じゃあどこに?きっと宇宙の外だ!”
…こんな感じです(笑)
主人公の素性
主人公の彼女はシングルマザーでした。
彼女の生い立ちは決して幸福とは言えないものでしたが、子どもの存在が彼女の人生を変えました。
我が子が照らしてくれる、光に満ちた、温かく美しく、素晴らしい世界。
子どもは彼女にとって大切な宝物でした。
彼女の見た夢
子が亡くなったちょうどその日、彼女は夢を見ます。
彼女は一人、薄明かりの中にいました。どこかに行かなければと思うのですが、ここがどこだかもわからない。
そんな中、一人の女性が現れました。彼女にはそれが、大人になった我が子だとわかります。
我が子らしき女性は微笑むと、彼女(母親)がどこに行きたいかを知っているかのように、
「光になった方が早いよ」
と言いました。
直後、女性は光に姿を変え、光の尾を引きながら、瞬く間に遠く暗闇の向こうへと消えてしまいました。
そこで彼女は目を覚まします。
これが彼女の見た夢です。
彼女のとった行動
子どもの死後、彼女は憔悴し、働くことも出来なくなりました。そして、家族によって精神科に通わされるようになります。しかし、彼女の内にはある計画が芽生えていました。
それは宇宙の外を目指すこと。
選ばれた薬は飲まれずに溜め込まれ続けました。
子どもの死から数ヶ月後、ついに彼女は計画を実行に移します。
辿り着いた場所
気が付くと、そこは真っ白い空間でした。
白い空に白い大地。天国だろうか、と考えますが、あまりにも殺風景です。そして、何より天国らしくないのは、目の前にある机と椅子と槌(つち)。
彼女自身は白い服を着せられており、両手首は薄っすらと光る輪により拘束されています。
自分はもしかすると罪人として扱われているのでは?と考える彼女。
そこへ突然、裁判官のような出で立ちの老人が現れました。神様?閻魔大王?いや、どちらにも当てはまらない気がする。
老人は椅子に座ります。
生前なら恐怖して逃げ出していたかもしれませんが、今はそのような気力も力もありません。
自死の罪
老人は聞いたこともない言語で話し始めました。
(動画中では逆再生を使いました)
言語はわからないのに、何故か意味は頭の中にスッと入ってきます。
ここは審判の世界であり、生前、罪を犯した者がやってくる場所、自分は自ら命を絶った罪で裁判にかけられているということを教えられました。そして、二人きりの裁判が始まります。
これまでの彼女の人生を滔々(とうとう)と説明する裁判官。時間の概念もないような場所なので、何時間掛かったのかもわかりません。
最後に判決を言い渡されます。
“被告人を生(せい)の刑に処する”
なぜ“生”が刑なのか。この審判の世界ではその人によって刑が違うのです。彼女にとって一番重い刑が“生きること”でした。
嘆きの歌
曲は、“宇宙の外に行けばあの子に会える”と盲信している彼女の嘆きそのものです。
彼女は“光になる”=死ぬことだと思い込んでいました。光になれば会えるんじゃないの?嘘を吐いたのね、と。
幼い子どもに向かってなかなか“嘘を吐いた”と責めたりはしないと思うので、これは夢に出て来た女性(我が子らしき人物)に向けてのものです。
途中、映像に雲やブランコが出てきますが、あれらは思い出ではなく、彼女が子どもに見せたかったもの、してあげたかったことです。
引き戻される最中で、夢想しているのです。
“ここにいたい”というのは、宇宙の外に行けないのならば、せめてここに留まって、あの子だけを想っていたいということでした。
BE LIGHT
“生”の世界に戻って来た彼女。
体はひどく重くて、全身がチューブやらコードに繋がれている感覚がわずかにあります。恐らく事後、病院に搬送されたのでしょう。
意識は戻ったものの、彼女の体がどこまで回復するのかは誰にもわかりません。もしかしたら後遺症も残るかもしれません。
彼女の子が夢で言いたかったこと、それは、“あなた自身が輝いて生きれば人生なんてあっという間だよ”ということだった、と後に彼女は考えます。
しかし、彼女は訪れる幸せすらも長い事拒み続けるので、そこに達するのはもっと先の話になることでしょう。
以上が解説になります。
最後に
私は自分の曲を聴いてくださる皆様による解釈を、いつもとても嬉しく思っています。ですので、今後はこのような解釈を付けることは控えたいと思います。
すでに上記以外の解釈をしてくださった皆様、それは新たに生まれた掛け替えのないストーリーです。
“私はこう思いました”“こう感じました”も、是非お聴かせくださいね😊
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!