マンガ「SPY×FAMILY」の表紙におけるキャラと名作家具の考察
こんにちは、スゴイ建築.com編集長のつじしゅんです。
最近、ジャンプ+で連載されている遠藤達哉先生のマンガ「SPY×FAMILY」にハマっているのですが、どの表紙にも名作家具が採用されている!
それぞれどんな家具で、そしてどうしてその組み合わせになっているのか、考察してまとめてみたいと思います!
1巻 ロイド・フォージャー×LC2
WISE(ワイズ)という組織にて、コードネーム「黄昏(たそがれ)」と呼ばれる凄腕スパイのロイドさん。
腰掛けているのは、建築界の巨匠ル・コルビュジェが手がけた「LC2」。
スチールパイプとレザーで構成された、最小の構成で最大の快適性を実現することを目的としてデザインされたソファです。
さまざまなミッションをスマートにこなし最大の功績を上げるロイドさんにピッタリなコンセプトを持ったソファではないでしょうか!
2巻 アーニャ・フォージャー×マシュマロチェア
他人の心が読める超能力者の少女アーニャ。すごい超能力を持ちながら、勘違いしたり、早とちりしたり、いつも読者を笑わせてくれる可愛い女の子です。
そんなアーニャが座っているのは、アメリカの有名家具ブランド ハーマン・ミラーの代表的デザイナー ジョージ・ネルソンによりデザインされたマシュマロチェアです。
斬新でポップなデザインが、アーニャのかわいらしさにマッチしています!
3巻 ヨル・フォージャー×ラ・シェーズ
市役所の事務員でありながら、凄腕の殺し屋「いばら姫」という裏の顔を持つヨルさん。
彼女が座っているのは、さまざまな家具を手掛けるチャールズ&レイ・イームズがデザインしたチェア「ラ・シェーズ」です。
いつもはどこか抜けているけれど、依頼が入ると「いばら姫」として途轍もない殺気を放つ、そんなヨルさんのつかみどころのない雰囲気と、ラ・シェーズの一見チェアなのかも疑いたくなる形状に、どこか共通点を感じます。
4巻 ボンド・フォージャー×ボールチェア
未来予知能力を持つ犬ボンドが座っているのは、1963年にフィンランドのデザイナー エーロ・アールニオがデザインした「ボールチェア」です。
「部屋の中のもう1つの部屋」と称されるほどの、座った際の囲われ感のあるチェアであり、ボンドの「人とは違う世界をみていること」にかけた組み合わせでしょうか?
5巻 ユーリ・ブライア×バルセロナチェア
ヨルさんの弟で国家保安局少尉のユーリ。
重度のシスコンであり、姉と結婚した(ことになっている)ロイドに敵対心を持っています。
そんなユーリが腰掛けるのは、コルビュジェと並び「20世紀建築の三大巨匠」と呼ばれる巨匠ミース・ファンデル・ローエがデザインしたバルセロナチェア。
これはコルビュジェがデザインしたLC2に腰掛けるロイドへの対抗心からきた組み合わせではないでしょうか。
6巻 フィオナ・フロスト×ハートコーンチェア
ロイドと同じくWISEの諜報員であるフィオナ。
感情を一切表に出さないが、スパイの先輩であるロイドに強烈な恋心を抱いていて、隙あらばフォージャー家の妻の座を奪おうとしています。
彼女が座っているのは、デンマークの建築家ヴェルナー・パントンがデザインしたハートコーンチェア。
名前の通りハート型のデザインで、下に行くほど細くなり、脚部との接合部では一点に集中しているのが特徴的です。
ロイドさんを支えられるのは自分だけ、という自負と強すぎる恋心を表しているのではないでしょうか?
7巻 ダミアン・デズモンド×ウィローチェア(WILLOW,1 Chair)
アーニャと同じ学校に通う男子生徒であり、ロイドさんのターゲットであるドノバン・デズモンドの息子ダミアン。
父親の権威をかさに着ていばるガキ大将的ポジションだが、父親に認めてもらえるよう研鑽を惜しまない一面もあります。
そんなダミアンが座っているのは、さまざまな名作家具を生み出しているチャールズ・レニー・マキントッシュが手がけたウィローチェアです。
椅子を使ってティールームという空間を分割する試みから、大きな背もたれがパーティションのような効果を発揮するチェアです。
一般的なチェアよりも幅も高さもあるウィローチェアに座り、自分を大きく見せている、とかでしょうか?
結果、むしろ対比で小さく見えてしまっているところもダミアンらしく見えます。
8巻 フランキー・フランクリン×ラウンジチェア+オットマン
情報屋として情報収集や書類偽造でロイドさんをサポートしているフランキー。
彼が座っているのはヨルさんの座っているラ・シェーズと同じく、チャールズ&レイ・イームズがデザインしたラウンジチェア&オットマンです。
チャールズが「使い込まれた一塁手のミットのように、座る人を暖かく包み込むチェアを目指した」と語っていたことから、「現代生活のストレスを忘れさせてくれる特別な空間」となるチェアを目指していたとされています。
ロイドさんから唐突にアーニャの面倒を押し付けられたり、無茶振りをされることが多いフランキー。
自宅ではそんなストレスを忘れるためにこのチェアに座っているのかもしれませんね。
9巻 ベッキー・ブラックベル×ココナッツチェア
アーニャの友だちであるベッキー。
わがままな性格で、ロイドさんに恋する乙女だったりします。
そんなベッキーが座っているのは、アーニャの座っているマシュマロチェアと同じく、ジョージ・ネルソンがデザインしたココナッツチェア。
その名の通り、ココナッツを割った殻のようなデザインで、「ラウンジチェアの快適性を保ちながらも自由に身動き出来る」というコンセプト通り、さまざまな体勢にもフィットするチェアです。
友だちということで、アーニャと同じデザイナーのチェアであり、わがままな性格とさまざまな動きを受け入れてくれるココナッツチェアの組み合わせはピッタリではな いでしょうか!
以上、「SPY×FAMILY」の表紙と名作家具の組み合わせについて考察してみました!
組み合わせの理由については異論は認めますが、いずれにせよキャラクターとのチェアの組み合わせについて、何かしらの意図をもって決められているとはいえるのでは無いでしょうか?