麻雀スタッツの統計データ【まとめ】
こんにちは、天鳳位の小江戸緑です。
今回、天鳳の鳳凰卓東南戦を2000半荘以上プレイした全プレイヤー(1124人)のスタッツと成績のデータを取得しました。
本記事では、麻雀の各スタッツが、他のスタッツや成績とどのように関係しているのかをみていきます。
特に副露率・リーチ率に焦点を当てた考察は以下の記事で行いました。
今回の本記事では、その総集編として、全体のスタッツ・成績間の相関関係まとめを図示し、興味深い点をいくつかピックアップします。
有料設定をしていますが全文無料で読めます。
データについて
今回取得したスタッツおよび成績指標とその説明は以下になります。
・副露率
・アガリ率
・アガリ打点
・副露アガリ打点(副露してアガった際の平均打点)
・アガリ巡目
・放銃率
・放銃打点
・流局平得(流局時の平均得失点)
・リーチ率
・リーチ先制率
・平均ドラ(アガリ時の平均表ドラ翻数)
・アガリ放銃差(アガリ率ー放銃率)
・アガリ放銃度差(=調整打点効率:アガリ率×アガリ打点ー放銃率×放銃打点)
・局収支(1局単位の得失点)
・安定段位(ネット麻雀における長期成績を示す指標)
・トップ率
・ラス率
データの取得には、開発者の許可を得た上、のどっちさんを利用させていただきました。
相関関係の結果まとめ
各スタッツと成績指標の相関関係をまとめた図は以下になりました。
1枚目が鳳凰卓東南戦を2000戦以上プレイした全プレイヤー1124人のデータのまとめを、2枚目がそのうち安定段位が8.5を超える成績上位65名に限定したデータの結果を示します。
円の大きさおよび色の濃さが、縦軸と横軸に記載された指標間の相関の大きさを示します。青が正の相関、赤が負の相関を示します。
図の左上から右下にかけての対角線上には大きな青丸が並んでいますが、これは同一指標の相関が1になることを示しているだけなので、あまり意味はありません。
例として、一段目の「副露率」と「アガリ打点」の間には大きな赤丸が描かれています。これは両指標間に強い負の相関があり、「副露率が高いほど、アガリ打点が低い」傾向があることを示しています。
(なお、2枚目は安定段位8.5以上でフィルタリングしているので、2枚目における安定段位に関連する相関は統計的にあまり意味がないことにご留意ください)
以下では、この中で興味深いと思われる点をいくつかピックアップして考察します。
興味深い点についてピックアップ
・副露率とリーチ率は強者において無相関になる
副露率とリーチ率の間の相関は、強者に限定したデータ(n = 65)で相関係数-0.07となり、ほぼ無相関を示しました。
図にはアカウント名を入れさせて頂きました(データ取得は2024年7月時点のものです)。
副露率とリーチ率が無相関ということは、「高副露・高リーチ」「高副露・低リーチ」「低副露・高リーチ」「低副露・低リーチ」のどのスタイルでも好成績を残すことができると読み取ることができるでしょう。
麻雀の自由度の高さがわかる面白い結果ではないかと思います。
--
・副露率が高いほど和銃差が大きくなるが、調整打点効率は小さくなる
副露率とアガリ放銃差(和銃差)には正の相関がある一方で、副露率とアガリ放銃度差(調整打点効率)には負の相関がありました。
これは、全体データおよび強者に限定したデータのどちらにも共通する結果でした。
以下には強者に限定した結果を掲載します。
副露派は手数で勝負する一方で、門前派は打点で勝負する傾向を反映した結果かと考えます。
「和銃差よりも、それに打点要素を加味した調整打点効率の方が重要な指標なんだから、門前の方が強いってこと?」
と思われる方もいるかもしれません。
実はそんなことはありません。実際に、副露率と局収支の関係はほぼ無相関となっています(相関係数0.08)。
局収支は成績(安定段位)と強く相関し、実力を図る上で非常に有用な指標です。
アガリ放銃度差(調整打点効率)は門前派の方が副露派よりも高い傾向があったのに、局収支で見ると差がないのは興味深いですね。
そのからくりは、局収支が「調整打点効率 + 流局時得点 - 被ツモ失点」により求められることに起因します。
実際に、副露派ほど流局時得点が高い(流局時に聴牌していることが多い)ことが分かっています(相関係数0.47)。
また今回データは取得できていませんが、副露派は自身の和了機会が多い分、門前派よりも他家のツモによる失点は少なく済んでいるでしょう。
よって、「副露派は和銃差を高め他家の和了を消すことと流局時得点で勝ち、門前派は調整打点効率で勝つ」というそれぞれの勝ち筋が読み取れる結果になっていました。
--
・和銃差とトップ率は無相関
和銃差とトップ率は無相関になり、これは全体データと強者限定のデータで共通していました(相関係数0.11, -0.02)。
和銃差とトップ率に関係がないというのは直観に反しており、意外なのではないでしょうか。
おそらくは鳳凰卓のラス回避ルールが影響していると思われますが、トップ取り麻雀ではどうなるのか気になるところですね。
ちなみに、和銃差はラス率および安定段位とは非常に大きな相関があります(強者データにおける和銃差とラス率との相関係数は-0.39)。
--
・強者においては、トップが増えればラスも増える傾向
トップ率とラス率には、全体データで弱い負の相関、強者データで正の相関がありました(相関係数-0.13, 0.43)。
1枚目の全プレイヤーの結果に関しては、「トップが多いほどラスも少ない」という、「強い人はトップが多くてラスが少ない」という一種当たり前の関係を示しているように思います。
しかし2枚目、強者に限定した結果では、「トップが多いほどラスも増える」という関係が示されています。
これは、高度に洗練された強者においても「リスクを負ってラス率を上げる選択がトップ率を高める」場面が存在することを反映していると考えられます。
「リスクを負う」選択は放銃率に反映されると仮定し、放銃率とトップ率・ラス率の関係を見てみましょう。
放銃率とトップ率・ラス率の間には、強者においても非常に強い正の相関が存在することが分かります(相関係数0.61, 0.68)。
このことは、強者においても、「リスクを冒すことがトップ率とラス率の両方を高める」という麻雀の本質を表していると考えられます。
--
まとめ
「アガリ率が増えれば放銃率も増える」といった関係など、まだまだ粒立ててピックアップできていないものもありますが、全てをピックアップしていると長くなるので本記事はここまでとします。
記事の初めに掲載した以下の2枚が全ての2指標間の相関をまとめているので、興味がある方は睨めっこして頂ければ、きっと他にも面白い発見があると思います。
本記事が面白かった、ためになったという方はスキや記事の拡散・ご購入いただければとても嬉しいです。
引き続きよろしくお願いいたします。
ここから先は
¥ 100
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?