子どもの体験格差解消の事例から学ぶ 「企業とNPOの垣根を超えた社会課題解決の最前線」開催レポート
こんにちは!みんなのコード パートナー部の阪上です。私が所属するパートナー部は、企業さまとの協業をメインに日々活動しています。
これまで多くの企業さまと協業しながら事業を展開してきましたが、NPOと企業さまが繋がれる場をつくりたいという思いで、2024年9月2日に『子どもの体験格差解消の事例から学ぶ 「企業とNPOの垣根を超えた社会課題解決の最前線」』を開催しました。今回のイベントは三井住友フィナンシャルグループさまのご協力のもとhoops link tokyoで行いました。
イベント当日は、社会課題の解決に向けて活動している企業さまやNPO団体、教育関係者など50名以上の方が集まりました。この記事では、イベントの様子をご紹介していきます!
※この記事はみんなのコードコーポレートサイトからの転載です。
各団体の紹介:それぞれの社会貢献の形
Learning for All の取り組み
最初にお話ししてくださったのは、認定NPO法人Learning for All (以下、LFA )代表理事 李炯植さんです。李さんの「久々のリアルな場で嬉しいです!」から始まったプレゼンテーションでは、学習支援やこどもたちの居場所づくりに取り組んできた同団体の活動が詳しく紹介されました。李さんは「こどもの貧困問題に向き合う中で、ただ学ぶだけでなく、世界を広げる体験がどれだけ重要かを感じています」と話し、企業のサポートによってこどもたちに提供されている旅行体験や職場体験、クリスマスイベントなどの活動を紹介してくれました。
LFA さんは、年間100社以上の企業と連携して、こどもたちに対して様々な形での支援を行っています。これには会場にいるみなさんも驚いていました。企業との連携があるからこそ、こどもたちは多様な体験を通して自己を見つめ、将来の夢や目標に向けた一歩を踏み出すことができているというお話が印象的でした。
また、「楽しいだけじゃなくて、こどもたちの心が動くような体験を作ることが大事なんです」とおっしゃっており、「こどもたちは新しい世界に触れ、自己理解を深めていく。これが将来の可能性を広げる鍵です」という言葉が、私に深く響きました。しかし、李さんはまだ支援が十分ではないと指摘し、今後さらに多くの企業の協力が必要であることを強調されました。
三井住友フィナンシャルグループの取り組み
次に企業側のお話しをしてくださったのは、株式会社三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMFG)社会的価値創造推進部の大萱亮子さんです。SMFGがどのように社会課題に取り組んでいるかをお話しいただきました。
「私たちは、貧困格差や教育機会の不均衡を解消するため、積極的にNPOと連携しています」と。これまでSMFGは、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンと協働し、経済的に困難を抱えるこどもたちに学習や体験活動を支援する「スタディクーポン」を提供しています。3年間で3億円の拠出を行い、数百人のこどもたちがこのプログラムを通じて学びや体験を得ているという具体的な成果のお話も共有いただきました。
さらに、SMFGの社員が直接支援活動に参加し、仕事でのスキルを活かしてサポートしているプロボノ活動の事例も紹介されました。「社会課題の解決は企業の責任であり、社員もその一部を担っていることを実感しています」とおっしゃっていました。
今後の新たな取り組みの紹介として、企業の資源を最大限活用し、遊休店舗を利用してこどもたちの居場所「アトリエ・バンライ-ITABASHI-」を作り、そこで多様な体験を提供されるとのことです。「寄付だけにとどまらず、私たちのリソースや人材を活用し、こどもたちに多様な体験を提供することが重要です」と熱く語っている姿が参加者の皆さまにも響いていたように感じました。
みんなのコードの取り組み
続いて、NPO法人みんなのコードの代表理事 利根川がお話ししました。テクノロジー教育を通じて、どのようにしてこどもたちが未来を創造する力を身につけているかについて紹介しました。
みんなのコードは、毎年100万人以上のこどもたちにテクノロジー教育の機会を提供するため、さまざまな企業と協働し、学校教育とこどもの居場所の2つの事業を展開しています。
特に、テクノロジー×こどもの居場所施設では、不登校だった子が学級委員長になったり、消極的だったこどもが積極的に課外活動に参加するなど、変化する様子がよく見られ、利根川は、「私たちの運営する施設を通して、マイナスをゼロにするだけでなく、デジタルの力でプラスの領域にできている」とこどもたちの可能性について話しました。
さらに、「技術は放っておくと格差を広げる可能性がありますが、私たちはその技術を使って格差を解消し、こどもたちの未来を豊かにする力に変えられると信じています」と、テクノロジーがこどもたちの未来にどうつながるかについて語りました。
セールスフォース・ジャパンの取り組み
最後に登壇いただいたのは、株式会社セールスフォース・ジャパン(以下、セールスフォース)のESGインパクトチームでフィランソロピーを担当している丸野遥香さんです。セールスフォースは、創業時から株式の1%、就業時間の1%、製品の1%を社会に還元する統合型社会貢献モデル「1-1-1モデル」に取り組まれています。
イベントではセールスフォースから、同社の社会貢献活動*について紹介をいただきました。
*注)セールスフォースの社会貢献の取り組みについてはこちら、助成を通じた中・高生への生成AI教育支援についてはこちらをご参照ください。
協働の力が生む未来
イベントの後半では、登壇者4名によるパネルディスカッションが行われました。ここでは、企業とNPOが連携することで、どのようにしてこどもたちに成長の機会を提供できるのかについて、具体的な事例を交えながら活発な意見交換が行われました。
パネルディスカッションは、皆さま、その場限りということで、ざっくばらんにお話しくださいました。ここでは、多くを書けませんが、
「企業とNPOがそれぞれの強みを活かして協働することで、より大きな社会的インパクトを生むには」
「企業が提供するリソースとNPOの現場知識が組み合わさることで、こどもたちの未来を変える力があるのではないか」
「NPOは現場の声を代弁し、企業はその声を形にする力を持っている」
といったお話を伺うことができ、NPOと企業の連携による実効性の高い連携の可能性が示されました。
最後に、みんなのコードの利根川は、「このイベントがきっかけとなり、さらに多くの企業がこどもたちの体験格差解消に向けた取り組みに参加してくれることを期待しています」とイベントを締めくくりました。
その後行われた交流会では、イベント登壇者の4名はもちろん、参加者の皆さまが企業とNPOの垣根を超え、話している姿に私たちが目指していたイベントの姿がみれて、とても嬉しくなりました。
今後も私たちは、企業とNPOが協力してこどもたちの未来をサポートするイベントを引き続き開催してまいります。多くの方々のご支援とご協力を心よりお待ちしております。