からいも標準語で詠む島津日新公いろは歌
島津家中興の祖と言われる島津忠良のいろは歌を 普段の会話のイントネーションで詠んでみました。
いろはにほへと
いにしへの道を聞きても唱へても わが行ひにせずばかひなし
★行動に移すことが大切です。
楼(ろ)の上もはにふの小屋も住む人の 心にこそは高きいやしき
★見た目ではなく、心のあり方によってこそ真価が決まります。
はかなくも明日(あす)の命を頼むかな 今日も今日もと学びをばせで
★明日のことは誰にも分からない。今この瞬間を大切にしましょう。
似たるこそ友としよけれ交(まじわ)らば 我にます人おとなしき人
★自分とタイプの違う人や先輩・後輩とも友になりましょう。
仏神他(た)にましまさず人よりも 心に恥ぢよ天地よく知る
★自分の心に恥じない行動をしましょう。
下手ぞとて我とゆるすな稽古だに つもらばちりも山とことの葉
★継続は力なり!
科(とが)ありて人を斬るとも軽(かろ)くすな 活かす刀もただ一つなり
★もう1度チャンスを与えることもできます。人を裁く時は慎重にしましょう。
ちりぬるを
知恵能は身につきぬれど荷にならず 人は重んじはづるものなり
★身につけた知識や技能は一生ものです。
理も法も立たぬ世ぞとてひきやすき 心の駒の行くにまかすな
★自分の正道は貫きましょう。
盗人はよそより入ると思ふかや 耳目の門に戸ざしよくせよ
★人の心を迷わす盗人は耳や目から入って来る情報です。
流(る)通(づう)すと貴人(きにん)や君が物語り はじめて聞ける顔もちぞよき
★人の話は真剣に聞きましょう。
小車の我が悪業(あくごう)にひかれてや つとむる道をうしと見るらん
★自分のやるべきことを楽しく、一生懸命しましょう。
わかよたれそ
私(わたくし)を捨てて君にし向はねば うらみも起り述懐(しゅっかい)もあり
★私利私欲を捨てて、素直な心で相手と接しよう。
学(がく)文(もん)はあしたの潮のひるまにも なみのよるこそなお静かなれ
★武士は、昼間は武芸に励み、夜は勉強をして頑張っていたのでしょう。
善きあしき人の上にて身を磨け 友はかがみとなるものぞかし
★友達は自分を映す鏡です。
種となる心の水にまかせずば 道より外(ほか)に名も流れまじ
★自分の弱い心に負けないようにしよう。
礼するは人にするかは人をまた さぐるは人を下(さ)ぐるものかは
★自分の行いは自分に返ってきます。礼儀正しくしているとよくしてもらえるし、人を見下していると自分も見下されます。
そしるにも二つあるべし大方は 主人のためになるものと知れ
★寛大な心で言葉を受け止めよう。
つねならむ
つらしとて恨みかへすな我れ人に 報ひ報ひてはてしなき世ぞ
★恨みには徳で対処することが大切。
願わずば隔(へだ)てもあらじ偽(いつわり)の 世に誠ある伊勢の神垣
★天は必ずみています。誠を持って事にあたりましょう。
名を今に残し置きける人も人 心も心何かおとらん
★偉人も同じ人間です。努力次第でどうにでもなります。
楽も苦も時過ぎぬれば跡もなし 世に残る名をただ思ふべし
★名前は後の世にも残ります。世のために尽くして良い名を残せるよう努力しよう。
昔より道ならずして驕る身の 天のせめにしあはざるはなし
★悪いことをすると、必ず天罰がくだります。
うゐのをくやま
憂かりける今の身こそは先の世と おもへば今ぞ後の世ならん
★因果応報です。現世の行いを大切にしよう。
亥にふして寅には起くと夕(ゆふ)露(つゆ)の 身を徒(いたずら)にあらせじがため
★早寝早起きして、時間を有効につかうことが大切。
のがるまじ所をかねて思ひきれ 時に到りて涼しかるべし
★どちらにしようか迷った時は、正しいと思う決断をすれば、後に「ああすればよかった」と後悔しないでしょう。
思ほへず違(たご)ふものなり身の上の 欲をはなれて義を守れ人(ひと)
★欲のままに不正をすることは慎みましょう。
苦しくとすぐ道を行け九曲折の 未は鞍馬のさかさまの世ぞ
★辛くても、面倒くさくても、正道を歩もう。
やはらぐと怒るをいはば弓と筆 鳥に二つの翼とを知れ
★文武両道のように、優しさと厳しさを持ち合わせましょう。
万能も一心とあり事(つか)ふるに 身ばし頼むな思案(しあん)堪忍(かんにん)
★1番大切なことは心です。
けふこへて
賢(けん)不肖(ふしょう)用ひ捨つると言ふ人も 必ずならば殊勝(しゅしょう)なるべし
★内面を見抜くことは難しい、しっかりと人を見て評価しよう。
無勢(ぶぜい)とて敵を侮ることなかれ 多勢を見ても恐るべからず
心こそ軍(いくさ)する身の命なれ そろゆれば生き揃はねば死す
回向には我と人とを隔つなよ 看(かん)経(きん)はよししてもせずとも
★亡くなった方には真心をこめて接しましょう。
敵となる人こそはわが師匠ぞと 思ひかへして身をも嗜め
あさきゆめみし
あきらけき目も呉竹(くれたけ)のこの世より 迷はばいかに後(のち)のやみぢは
★これからのことは分からない。迷いのない人生を送ろう。
酒も水流れも酒となるぞかし ただ情あれ君が言の葉
★思いやりのある言動が部下のやる気を引き出します。
聞くことも又見ることも心がら 皆まよひなりみな悟りなり
★聞いたり見たりする時は、素直な気持ちでいよう。
弓を得て失ふことも大将の 心ひとつの手をばはなれず
★リーダーの心の持ちようは大事です。
めぐりては我が身にこそは事(つか)へけれ 先祖のまつり忠孝の道
★人に優しくすると、自分も優しくされます。
道にただ身をば捨てむと思ひとれ 必ず天の助けあるべし
★いつも正しいことをしよう。
舌だにも歯のこはきをば知るものを 人は心のなからましやは
★人間にが心があるのだから、相手のことを考えて行動しよう。
えひもせす
酔(え)へる世をさましもやらで盃に 無明(むみょう)の酒をかさねるは憂し
★酒を飲んでいるだけでは問題の解決にならない。
ひとり身をあはれと思へ物ごとに 民(たみ)にはゆるす心あるべし
★人には優しく接しましょう。
もろもろの国や所の政道は 人に先(ま)づよく教へ習はせ
★決まり事はしっかり説明しましょう。一人で決めて行っても何にもならない。
善に移り過(あやま)れるをば改めよ 義不義は生れつかぬものなり
★間違いに気づいたらすぐにやり直そう。
少しきを足れりとも知れ満ちぬれば 月もほどなき十六夜(いざよい)のそら
★欲を出しすぎるのはやめましょう。
星印の意訳 ワンポイントアドバイスはこちらのサイトを参考に
させていただきましたm(__)m