水水水水水水原爆忌
8月、炎暑の夏の日本を覆うのは、様々なかたちの火の記憶だ 。
手の平で儚く咲いて燃え尽きるそれ 。
夜空に咲く大輪の花のそれ 。
蚊取り線香の煙を燻らすそれ 。
祖先の霊を迎えるそれ 。
祖先の霊を送るそれ 。
そして、77年前に、広島と長崎の街を焼き尽くした灼熱のそれ 。
意に反する、人の生命の終焉を思う時、火によるものほど非道で凄惨なものはない 。
「Fire is a good servant but a bad master.
火は良い召使だが悪い主人でもある」
ゼリー状の油脂を充填するナパーム弾を特集していた番組の中で、紹介されていた言葉だ 。
ひとたび着弾すれば、高温での長時間の燃焼が可能だという 。
厄介なのは、原子爆弾よりも、はるかに安価で手に入るということ 。
悪い主人が暴れ出すことのないよう、《潤い》の、あらゆる意味で《潤い》のある世の中であって欲しいと願う、2022年の夏。