長谷川貞夫さん「差別語を撤廃して貰う」
このnoteは長谷川貞夫さんがFacebookに投稿された文章ををまとめたものです。
初めてのワープロで国語審議会に『盲:め〇〇』の差別語を撤廃して貰う。
国立国会図書館のコンピュータで、『この文章は〜』を書いて二年後くらいの事でした。国語審議会が新たに当用漢字表に変わり、新たに常用漢字表を制定する案が出来たとの事でした。
私は漢字に感心があるので、この常用漢字表案を見てみました。
すると、当用漢字表と同じに『盲』の訓に『め〇〇』と言う差別語が残っていました。
私は北区の国立国語研究所でお世話になった田中章夫先生に次いで、今度は所長の林大(はやしおおき)先生を訪ねました。
林先生は70歳くらいで健康を害しているご様子で、よく咳込みながら話をして下さいました。
私は率直に常用漢字表案の『盲』の字に差別語の『め〇〇』がある事をお尋ねしました。
すると先生は、資料で確認され確かに『あります』との事でした。
そこで私は国語研究所所長の林先生から、この『め〇〇』を削除する提案をして下さいとお願いしました。
すると、先生は少しお考えになってから、私は国の研究所の者ですから審議会の調整役をしなければなりません。私から提案はできませんが、良い案がありますと仰って下さいました。
それは次の様な内容でした。
林先生が、当時の国語審議会委員49名の名簿の票を下さるとの事でした。その49名の委員の方に、長谷川さんから直接お願いするのが良いです、と教えて下さいました。
私は、49名の委員の方に六点漢字と言う点字で表現する漢字を研究する立場からこの『め〇〇』はどうしても困るので削除して欲しいと言う内容を書きました。差別語は子ども達の間などで『め〇〇』とはやし立てたりしてイジメにもよく使われる事を説明しました。
手紙を出したのは1月頃でしたが、3月の年度末までに1通の返事もありませんでした。
しかし年度末という事で、常用漢字表案が発表されました。その表からは見事に『め〇〇』は削除されていました。
私はとても感動しました。
年度が変わったので四月から新しい常用漢字表が制定されると思っていました。
ところが、数年後の昭和56年10月に『内閣告示常用漢字表』が正式に制定されました。
この数年遅れた事はとても意味がありました。
それは昭和53年に、JISの漢字表が初めてこれも制定されていたのです。
それは、JIS C 6226 情報交換用漢字符号系でした。
昭和56年の内閣告示常用漢字表に合わせ、私は六点漢字を完成していました。この六点漢字をJIS C 6226 情報交換用漢字符号系の漢字番号で表現する事が出来たのです。つまり、JIS漢字、六点漢字がともにその後一体となって使われるようになりました。それはとても幸いな事でした。
私の所にはダンボール何十個かの資料があります。これらを整理する時間的労力的余裕はありません。このダンボールのどこかに林大先生から頂いた国語審議会委員の名簿及びその委員の方々に差し上げた手紙があるはずです。
余分な事ですが、皆さんは歌の『明日浜辺をさまよえば、昔の事をぞ、しのばるる。寄する波を...』の『浜辺の歌』をご存知かと思います。
林大先生は、この作詞者、林古渓の息子さんと伺っています。
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