『梨泰院クラス』で強い印象を残すキャラクターを独自に紹介
Netflixの『梨泰院(イテウォン)クラス』をイッキ見しました。
『愛の不時着』と違って、最終話を除き毎話70分程度だったのが見やすかったですね。
何しろ『愛の不時着』は回を重ねるごとに徐々に尺が長くなり、80~90分程度が普通になっていきましたから😆
さて『梨泰院クラス』ですが、同じ韓流ドラマでも『愛の不時着』とは全く方向性が異なるドラマでした。
現代の若者目線、現代の社会課題、現代の復讐劇……といった「現代性」が特徴的です。
また、キャラクターも非常に起っておりました。
その中でも強い印象を残した3人のキャラクターを中心に紹介したいと思います。
ネタバレ含むので、ご注意を!
ストーリー(Wikipedia)
国内最大外食企業・チャンガグループに勤める父親の転勤である田舎に引っ越した高校3年生のパク・セロイ(パク・ソジュン)は、転校先の学校で〝神〟と呼ばれるチャンガグループの御曹司チャン・グンウォン(アン・ボヒョン)に出会う。 正義感の強いセロイはグンウォンの傍若無人な言動に我慢できず、一発殴ってしまい退学処分。父親は20年間勤めていた会社を辞める羽目になる。さらにグンウォンが起こした交通事故で父を亡くしたセロイは、 グンウォンに暴力を振るい、刑務所行きとなる。チャンガグループを倒すと心に決めたセロイは、梨泰院で「タンバム」という小さな居酒屋を開き、仲間たちと共に再起を目指す。
チョ・イソ(演:キム・ダミ)
キム・ダミ演じるチョ・イソは作品を最も牽引したキャラクターです。
『梨泰院クラス』は、正直2話目までは「普通のドラマ」でした。
もちろんパク・セロイの退学、投獄や父の死など、ドラマの要素としては重要ではありますが、昔から日本のドラマでも散々見てきたコテコテの設定ドラマです。
2話目まで見た感想としては、つまらなくはないけど、これって何で評判が良いドラマなんだろう?と思ってました。
が、しかし!
3話目でチョ・イソがガンガン出るようになったら、一気に作品全体が水を得た魚のように生き生きとして参りました。
IQ162の天才で、文武両道。
何をやっても軽々とこなし、おまけにSNSのインフルエンサーとしても圧倒的な「無敵の人」です。
更にソシオパス(=反社会性パーソナリティ障害)なので、他人に対して酷いことも何のためらいもなく行います。
ドラマを見ている視聴者にとっては、行動の思い切りの良さがスカッとするようなカタルシスを覚えますが、ドラマ内の当事者にとってはたまったものはないでしょう😁
ところがイソ本人は、若くして人生に飽き飽きしています。
そうした中で、年の離れた「堅物」のパク・セロイに出会った訳です。
最初は自分と全く正反対のセロイに対して興味が湧く程度したが、一気に恋に変わり、愛に変わります。
またソシオパスのイソは、恋敵に対して容赦ないストレートな言葉を浴びせるのですが、全く嫌味がないのが不思議なところです。
表裏のない彼女の性格の「良さ」があるためでしょうね。
とはいえ仕事については、セロイの夢を「叶えてあげる」と言い切ってしまう自信があるのにも関わらず、恋愛は相手の気持ちが何よりも重要です。
イソであっても一筋縄にはいきません。
非常に微笑ましいです。
あと、イソには父がいないことが、劇中ではそれほど触れられておりませんが、彼女の行動様式に影響を与えていると思います。
パク・セロイとは年の差……といっても、10歳程度ではありますが、自分を好いてくれるチャン・グンス含め、同年齢の異性には惹かれていないのですよね。
セロイの背中にどこか父の影を見ていたのかもしれません。
またイソを演じているのが、キム・ダミというのが反則級のキャスティングです。
可愛らしいことは確かではありますが、目が一重で、鼻も団子っ鼻のルックスから角度によっては、あれれ?と感じるところもあります
しかしながら、それも含めて全部が魅力的になってしまう奇跡のバランスです。
世の中に「美人」「可愛い」と称される人も多いですが、印象に残る人はどこか引っ掛かりがあります。
音楽プロデューサーのつんく♂さんは、以下をTwitterで語っています。
「世間一般的に『可愛い』とか『美人』って言われそうな子って当然誰が見てもわかるわけで。 経験値則だが、ボーカルユニットにおいてそういうタイプをセンターにしたらなぜかつまらない。てか消し合って化学反応が置きない。要はバズらないって話す」
ネットの評判を見ていると、「キム・ダミは可愛くない」という意見をたまに目にします。
しかし、確実に人々の心に残り、こうした記事も書いてしまいたくなるのが、『梨泰院クラス』のセンターであるキム・ダミなのです。
あと本人は、赤ちゃんのような無邪気な表情も魅力的ではありますが、実は身長170センチの長身で、超絶8等身のプロポーションなのです。
こうしたギャップもポイント高いですね😄
パク・セロイ(演:パク・ソジュン)
パク・ソジュン演じるパク・セロイは、自分の居酒屋&会社を韓国の飲食産業においてトップに育て上げ、業界1位の敵である「長家(チャンガ)」に復讐を挑みます。
どんなに理不尽なことがあっても決して折れることなく目標に向かって突き進む姿からは、さすがに主人公だな~と感心させられますが、反面そこがセロイの弱点にもなっているのですよね。
仲間を大切にし、常に信念を持って仕事に取り組むその姿からは、居酒屋のホールスタッフであるチェ・スングォンではないですが、「アニキ~!」と呼びたくなるような頼もしさも感じせてくれます。
しかし仕事に夢中になるあまり、一方でイソの恋心に全く気付きません……というよりか、自分の心が100%仕事(とそれに連なる復讐)に向かっているため、受け入れる余地がないのです。
『愛の不時着』のヒョンビン演じるリ・ジョンヒョクも、多少鈍感で、また内なる気持ちを外に出さないキャラクターではありましたが、セロイはジョンヒョク以上に不器用でもどかしいです。
イソの求愛に対しても、全く関心が持てず、しまいには「女性として見られない」という酷い言葉も言ってしまいます。
酷い言葉を言っているという、自覚もないぐらい鈍感です🤣
ただし、この鈍感さも魅力の一つなので、見ている視聴者としてはヤキモキさせられる訳です😁
また物語を通して、セロイの成長が見られるのも良かったですね。
学生時代は、ややコミュ障気味のキャラクターではありましたが、仲間と一緒に居酒屋を運営していると頼もしい兄貴分になっていきます。
そして主人公のキャラクターとして、既に出来上がっているので、もう成長余地はないのかな?と思っていたら、最終局面で自分が大切にしていた死より上の概念である「信念」の部分で更に人間として成長します。
チャン・デヒ(演:ユ・ジェミョン)
ユ・ジェミョン演じるチャン・デヒは、事あるごとに主人公セロイの前に立ちはだかる「長家」の会長です。
典型的なバカ息子のチャン・グンウォンの父でもありますが、父らしいところがないかなり歪んだ悪役でもあります。
①エピソード@退学
・グンウォンが学校で酷いイジメをする。
↓
・セロイが止めるが、思わず殴ってしまう。
↓
・デヒが殴ったセロイに土下座を強要。
↓
・セロイが断る。セロイ、そのまま退学へ😭
②エピソード@逮捕、投獄
・グンウォンがセロイの父を轢き殺してしまう。
↓
・セロイが怒りのあまりに、グンウォンを半殺しに。
↓
・セロイ、そのまま逮捕へ😭
ちなみに、グンウォンは、父のデヒが身代わりを立ててくれたので、刑から逃れることができました。
この2つの出来事から推察出来る通り、デヒがきっちりと分別ある大人として行動していれば、退学や逮捕といった主人公セロイの悲劇は起こらなかったはずです。
ところがデヒは反省することなく、逆に自分自身を徹底的に肯定し、周りを家畜のように従わせます。
通常こうした悪役は、それでも「偉大な悪の魅力」のようなものが備わっているものです。
そうでないと、魅力ある主人公に対抗できないからです。
『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターや『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーなどは悪役でもカリスマ性などが備わっています。
しかし、デヒは偉大さもなく、むしろ人間小せえなあ~というところばかりで、感情移入も出来ません。
よくこんな男が韓国の飲食産業界でトップを張れるよなとも思います。
ただ、こうした人物だからこそ物語全体が良い意味で、ある種偏った妙味のある作品になっているのです。
なお、デヒを演じているユ・ジェミョンのことは全く知らなかったので、韓国でもベテラン実力派俳優なんだろな~と思って調べたところ、まだ47歳の中堅俳優でしたね。
かなりびっくりしました!
中年~老齢期~死ぬ間際の3段階を演じられていて、見事でした。
検索すると、『「梨泰院クラス」でパク・ソジュンと対立、長家会長ユ・ジェミョン、親バカぶり炸裂!』という役どころと真逆の記事がヒットして笑ってしまいました。
【その他】
『梨泰院クラス』は、その他にも多くの魅力的なキャラクターが登場していますので、さらっと僕が受けた印象を書いておきます。
オ・スア(演:クォン・ナラ)
セロイの幼なじみですが、全く報われません。
超絶美人なので、逆にヒロインタイプとしては、少し感情移入し難いところがありましたが、人間として守るべき「一線」は必ず守っていたので、好感度は徐々に上がっていきました。
チャン・グンス(演:キム・ドンヒ)
グンウォンの異母弟として難しい役どころだったと思いますが、段々と「生意気」な印象を出す演技も良かったです。
最初から「芯」のあるキャラクターでしたので、長家側に寝返っても嫌いにはなれなかったです。
チャン・グンウォン(演:アン・ボヒョン)
ちょっと薄っぺらいキャラクターだったかなと。
セロイと直接的な悪縁が最もある立場ですが、主人公の敵・ライバルとしては、単なる悪いヤツという感じだったので、もったいなくも感じました。
流されるがままではなく、もっと積極的に父のために命を懸けるとかすると、だいぶ印象が違ったはずです。
カン・ミョンジョン(演:キム・ヘウン)
最初の登場時から、際立った美貌とフェロモンが目立ったカン専務です。
「女」を利用してのし上がっていくのかな?と思っていたのですが、予想は大外れ😂
冷徹なまでの判断力と侠気があり惚れてしまいます。
チェ・スングォン(演:リュ・ギョンス)
額に傷がある粗野な外見にも関わらず自分から積極的に暴力を仕掛けることがない、セロイの刑務所&居酒屋仲間。
コメディーリリーフの立場ではありますが、ドラマの要所要所を締める良いキャラクターです。
マ・ヒョニ(演:イ・ジュヨン)
難しいトランスジェンダーの役どころですが、めちゃハマってました。
居酒屋のシェフとして、イソからダメ出しされてもめげずに料理の腕を上げ、ついにはTVの料理コンクール番組でも優勝してしまいます。
地道な努力があったのだろうな~とも思います。
また、この料理コンクール番組で、自身がトランスジェンダーであると高らかに宣言しますが、『梨泰院クラス』全体を通して、個人的には最も感動的なシーンでした。
見ている人全てに勇気を与えます。
キム・トニー(演:クリス・ライオン)
ギニア出身の韓国人で英語がしゃべれない、セロンの居酒屋にとっては「使えるようで使えない」存在ではありましたが、トニーの個人的な家族の繋がりで、居酒屋が大きく飛躍します。
この辺は少し都合が良すぎるだろう……と思いつつも、いやこの物語は、これで良いんだ、こうあって欲しい~!と願わずにいられないので、良しとしましょう😁
パク・ソンヨル(演:ソン・ヒョンジュ)
セロイの父です。
ドラマの中では早々に事故死してしまいますが、その後のセロイの正しい生き方を見るにつけ、育て方は間違っていなかったなと。
一方、長家のデヒの方は真逆ですね。
この対立する設定が、良質なドラマを生む原動力になっています。
イ・ホジン(演:イ・ダウィット)
最初の方にいじめられっ子として登場してから、しばらくドラマの中に出てこなかったので、あのキャラクターは一体何だったんだ?と思ってたら、ファンドマネージャーとして復活!
人生何があるか分かりません。
オ・ビョンホン(演:ユン・ギョンホ)
グンウォンの轢き逃げ事故を担当した刑事でしたが、警察内部でもみ消され退職→現在は畜産業を営んでいます。
カン専務と良い仲になるのは、見ていて微笑ましく思いました。
とかく殺伐とする『梨泰院クラス』の中で、ホッとするシーンでもありました。
あと、演じるユン・ギョンホさんって、他の作品でも警官とか苦労人みたいな役ってやってますよね?
……と思って調べたら、やっぱり刑事とか演じてますね!
いやぁ~、それにしても面白いドラマでした。
現代の韓国ドラマはここまで進化しているのかと感じ取ることも出来ましたし、必見です!
※画像はすべて韓国の公式サイトより引用しました
http://tv.jtbc.joins.com/itaewonclass
※名曲揃い🎻🎵「梨泰院クラス」オリジナル・サウンドトラック
※「韓流ドラマFan」では、『愛の不時着』と共に、『梨泰院クラス』が特集されています!