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『生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った』に行った!
宮脇綾子さんを初めて知ったのは、ku:nel クウネル 006(2004.03.01)の記事でした。「アプリケの芸術家 宮脇綾子について知る。」というコンテンツで。(切り抜きがまだ手元に残っています。)作品をこの目で見たい!見たい!っと願って20年、ようやく拝観❗️本当に楽しみにしていました。
感銘を受けました!
アプリケっという響きは「かわいらしい」という印象がありますが、綾子さんの作品一点一点からは「情熱」と「覚悟」が伝わってきます。見ていてこちらの瞳孔が広がるというか、瞬きを忘れるというか。布の持つ表情に加え、ひと針ひと針縫い付ける糸の動きに至るまで、凄みがあるのです。
「家の雑用に追われながら、良妻賢母で朽ちて行くのがたまらない気がして、何か自分の仕事がしたい、何か魂の打ち込めることがしてみたいと絶えず思っていた」
昭和20年という時代背景を想像しても、相当の覚悟があったのではないかと思います。その生い立ちも波乱万丈であり、結婚してからも厳しいお姑さんとの生活は、泣きたくなるような日々だったそうですが、その経験があったからこそ手にした天職だったようです。
家でできること。ひとがまだ手がけていないこと。
仕事をするにあたって、この2つが綾子の心にあった。夫の許しが出たとはいえ、自分は主婦。3人の子どももいる。家の中でやれることでなければならない。そして、どうせやるなら、人真似はいや。
「人真似ではない」オリジナルな手法を創造し続けたいという信念が伝わる、力強い作品に最後まで魅了され、その生き方に感銘を受けました。
ユーモアのエッセンス
洋画家であった夫の導きのもと、綾子さんの創作の指針が定まっていったそうです。その言葉が今の私の胸に刺さったので、引用して紹介させていただきます。
<宮脇綾子さんの夫、宮脇晴さんの言葉>
自然をよく見ること。
デッサンをしっかりとすること。
よきものを見、感動すること。
美は真似るものではなく創り出すこと。
巧くやろうと思うな全力を尽くせ。
これは、グッとキマスね〜笑。指南されてもなかなかできることではありません。でも、綾子さんの作品には、この言葉の全てが詰まっています。加えて、どの作品にもユーモアのエッセンスがあると思うのです。和ませてくださる。見ている人の顔が自然と綻ぶような。
「あ」のサインが楽しいのだ!
作品に感動する傍ら「あ」のサインが楽しくて、今度はどんな「あ」なのかな?っと次の作品を楽しみに鑑賞するくらいに「あ」に惹き込まれてしまいました!「あ」の位置や「あ」の材質、「あ」の形や「や」もある!笑みたいな。家に帰って改めてKu:nelの切り抜きを読んで、とても腑に落ちました。
「綾子の”あ”という意味と、自然を見て『あっ』と新鮮に驚いたときの感動をひそかに縫いこんでいるつもりなのだ」と綾子は言う。
なるほど!
です!
愛なのだ!
作品たちからは、モチーフと出会った瞬間のワクワクが伝わってくる。この瞬間を濁らすことなく作品に落とし込めるって、凄いと思います。
そして、モチーフをよく観察し、試行錯誤していくうちに、それが、愛に変わっていく。手を動かしながら、その愛が増していくのがわかる。そして、何よりご自分の手仕事(制作)を愛していたのではないかと思います。自分の世界観を愛することができるのは、全力で自分の世界と向き合っていらっしゃったからだろうと思います。
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宮脇綾子さんからいただいたパワー(アーティスト魂)のギフトを、自分の活動にも生かしていけるように、選りすぐりの作品が刷られたチラシを、壁に貼ってしまいました笑。
取材して、紹介してくださったKu:nel クウネルさんに、心より感謝です。
最後まで、お読みいただき、ありがとうございました!