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遅くまで友だちの悩みを聞いていた。悩みを聞いているとどうにも、ため息ばかりが出る。貧困、病気や健康面、社会的な問題。問題は一塊になって私たちを圧迫する。わかっている、この世の災厄は指を咥えてみてるしかない。ただ指を咥えてみてるのは嫌だから、せめて毅然とした態度で対応しようとしているだけだ。


一昨日の話をしよう。私は思ったことは言う人だから

一昨日あまりに遅くまで友人と話し込んでいたから男の人2人組にナンパされてしまった。沖縄が地元で東京に住んでいるらしい、私より若い青年たちだった。友人は満更でもない様子でわらっていた。一方私は彼らと話していても全然人間らしい気持ちになれなかった。男より猫の方がよかった。

この青年たちを見ているとなんでこんなに冷めた気持ちになるんだろう。こんなことをしていたら全身が氷漬けになりそうだ。
友人が楽しそうなら別にいいかという気持ちだった。お酒とタバコばかりがすすむ。

手の届く距離に他の男がいて、定番の口説かれをされていると、裏切ろうと思えば簡単に恋人のことを裏切れるんだなと思った。経験として理解してたけど、実感としてわいた。

私は恋人が浮気したときどんな気持ちだったのか考えた。別に魅力的でもないけどヤるぶんに私に損はない男を見ながら思考は明後日の方向でまっさらで混沌としてた。
私の頭を撫でようとするその知らない体温に吐きそうで、悲しい気持ちになった。わかりやすい罪悪感だった。軽口に酔いが覚めるから、熱のためにお酒を飲んだ。彼はこれ以上をしたのかと。今日もうすでに20杯近くのハイボールと泡盛を飲んでいても私の理性も感性もはっきりしてる。彼は、私以外の体温を感じて、なにを思ったんだろう。私は今なんでこんな人たちとカラオケしてるんだっけ。
目の前で笑う男の名前は4回は聞いたけど結局覚えられなかった。

簡単なことだ、本当に、裏切るってのはあまりに簡単すぎる。ここで私が"女"になればいいわけだ、微笑みかけて、相手のリズムを読んで、触れ合うだけ。

恋人に会ったときのことはよく思い出す。
京都に行ったときも楽しかった。一緒にゲームをしたときも。思い出に縋っているわけじゃない。
それ以降も彼と話をしているときはいつも楽しい、今でも。
私は彼の声を聞いていたいだけらしい。彼がいなくなっても、私の中の思い出に残る彼は私のことを慈しむように笑うはず。

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